高島忠夫

―ミュージカルスターからイエ〜ィのおじさんに―

新東宝という映画会社があったこと知っている人がもういないでしょうね(^_^;
もともとは東宝から分かれた会社で、東宝大争議という、
映画会社としては珍しい、労働条件の問題で大規模ストを打って、袂を分かった会社です。
「湯之町エレジー」という戦前の大ヒット曲わ歌った近江俊郎という人の兄の大蔵貢という人が社長になって、
最初はそれなりにヒットしたものも有ったようですが、だんだんジリ貧になってしまいました。
そこで起死回生を狙って、当時の日本映画としては破格の予算をつぎ込んで
「明治天皇と日露大戦争」とかいう明治天皇シリーズ三部作を作ってしまいました(^^ゞ
映画自体はソコソコよく出来ていて・・・名画?は名画というのかな・・・あれ(^_^;
まあ鞍馬天狗のアラカンが明治天皇で偉く立派だったのを覚えています(^^ゞ

後、大蔵貢の愛人だったという高倉みゆきという女優を昭憲皇太后にしちゃつたことね♪
まあ、これはこれで、けっこういい女優さんでしたよ・・・そんなに大根でもなかったし、美人だし(^^)v
クールで知性さえ感じさせるトコもあったし、上品というのとはちょっと違うかもしれないですけど(^_^;
まあね、当時としては社長の愛人が主役の女優だった!なんてよくあることですから(^^ゞ
大映の永田ラッパで有名な永田雅一も愛人の中田康子のために、ミュージカル映画作らせて、
やっぱり、落ち目の大映に留めを指しましたけど(^^ゞ
この中田康子という人は、ホントに色っぽくてなまめかしくて好きでした(^^)
宝塚から東宝に移って、鶴田浩治の眠狂四郎シリーズで文字若なんてやってたのです。
そこから大映に移って、長谷川一夫の相手役で「四谷怪談」のお岩さんとか、
「山田長政」では、長政正妻のシャム国王の王女とか、異国風の色っぽさがピッタリでけっこうソコソコの仕事してました。
でも、どうしても色っぽいのが先にたって、なかなかまともな人妻とかOLとか普通の女性は出来なかったのよね(^_^;

アララ何時の間にやら話は大映に!!
とにかく、この大作が更に傷口を広げてしまったのですね(^_^;
新東宝倒産!!

でも、最盛期には、
嵐勘寿郎の鞍馬天狗シリーズや、例の美空ひばりが杉作をやったという、あれです。
その鞍馬天狗シリーズでアラカン共々一世を風靡したり、
その美空ひばりの「雪の丞変化」などをつくり、
また、今大御所のような顔をしている丹波哲郎が悪役で凄みを利かせ、
宇津井健が爽やか・誠実・知性の塊のようなイメージで売ってました(^^)
彼には「スーパー・ジャイアンツ」という子供向けキャラのシリーズ物もあって、
私は好きだったんだけど、今はそのタイツ姿がけっこう笑いのネタにされる!!
いいじゃないさ、そういう、超アナログの時代だったたの!!
若山富三郎もいたんだ!!もう〜超いい男♪人形佐七のシリーズでピッタシカンカンだった・・・御所人形そのままでねぇ♪
でも、彼は、新東宝が駄目になる前から、東映に移り、更に弟の勝新太郎のいる大映に移り、恵まれませんでしたネェ(;_;)
結局テレビで当てて、フリーになってからの方が断然いい仕事してました(^^)
しかも、体を壊して、剣豪の役じゃなくなってからの方が♪

女優では大好きだった北沢典子!!横浜ベイスターズの近藤昭仁と結婚しちゃったんだけど、
新東宝が潰れる直前に東映に移って、キンちゃん萬屋錦之助の相手役だってしたんだから♪
清純派の可愛い女優さんでした♪
久保菜穂子なんて人は、当時としてはスラリと八頭身で、知性的でお洒落な感じで、
歌も歌うし、という万能選手でした(^^ゞ
この人も東映に移って、それなりに活躍していたんだけど、いつのまにか消息不明(^_^;
と言ってもかなりの年まで出ていたから息の長い女優生活ではあったんだ(^^)
最後に見たのは、宅急便のドラマ仕立てのコマーシャルでした。
これも悪役のベテラン・小林重四郎と、へぇ〜!という家庭的な雰囲気でやってました(^^)
山中湖のゴージャスな別荘がレポートされた事もあるから、生活に困っているわけではないだろうけど・・・(^^ゞ

生活に困ったと言えば、三ツ屋歌子と言う人も清純派でそれなりに出ていたけど、
小野田幹夫という監督と結婚した矢先に倒産で、彼女自身がたいした女優でなかったし、ダンナの監督の腕前もパッとせず、
かなり苦労したそーです。
ところが、真面目に一つずつ与えられた役をこなしているうちに昼メロのヒロイン?で当てて、
それなりに仕事も順調に来るようになり、
ダンナはダンナで、彼女の支えでテレビドラマの監督が回ってくるようになって、
芸能人としては穏やかな家庭と仕事ができるようになつたそうです。
昨年亡くなった時には、それなりにニュースになって、けっこう幸せな女優さんでしたよね(^^)

大空真弓は今でもソコソコ活躍しているから知ってる人は知ってたるるでしょうね。
一時は石井福子のシリーズは全編制覇というほど出ていましたけど。
この人は大変な富豪(父親が貿易商)の令嬢で、なんでも、映画の出演料なんて聞いたことがない!
というほど生活に疎かったそうです(^_^;
まあ、あの時代の女優と言う人たちは、「お金なんて持った事がない」というようなお嬢様が多かったんだそうですが、
それでも新東宝の女優は生活感溢れた人が多かったようですよ(^_^;

大本の東宝は、超のつくお嬢様嗜好で、
司葉子の実家は「駅から家まで人の土地を通らずに行ける」とか「五人姉妹のそれぞれに乳母がついている」
大体、女優にしたい、と東宝が申し入れた時、お話伺いましょう、と司葉子の実家庄司家が用意した席が吉兆だそうですから(^^ゞ
まあ、そんなご令嬢なんてのを筆頭に白河由美の大分の○○家(聞いたけど忘れた!)といえば、お殿様が遠慮する、
酒井和歌子の、お金を持った事がない、というのもあったなぁ・・・落語の世界ですよ、ここまで来ると(^_^;
だから、「下町の太陽」の倍賞千栄子が新人賞総なめにした時、東宝社員が、
「まあ、いい子ですけどね。内(東宝)じゃあ駄目だったでしょうね。何しろ、うちはいい家の子が多いから」
と、毒づいた、というのは有名な話(^_^;
倍賞の父は、都電の運転手で、彼女は当時長屋住まいだったんだけど、
ちっとも恥ずかしがらずに、堂々とその長屋を写させていた!!
倍賞千栄子は嫌いだけど、そういう姿勢はいいですね(^^)

あいや〜、話はどんどんそれていく!!
新東宝、監督には中川信夫、なんて人がいて、この人が製作した「東海道四谷怪談」が素晴らしい傑作だったらしい(^_^;
当時は子供でお化け映画なんか見ないもの!!
中川信夫の映画といえば、やはり新東宝倒産後に移籍した東映で撮った「旗本退屈男」ですね・・・
「謎の珊瑚邸」てな題名だったかな?
何しろ、当時の退屈男シリーズはなんでもかんでも「謎の――」と付いたから、今の推理小説の「――殺人事件」を笑えない!!
その時の台詞や映像の際立った中川美学というのか、中川ワールドというのは印象的で、
且つ、退屈男映画としてはだいぶ違和感があったなぁ・・・(^_^;
でも、ラストシーンで退屈男が花吹雪の中を、まるで花道の引っ込みのように歩いて行くカットは素敵でした!!
これは未だに目に焼きついています(*^-^*)

この新東宝版「四谷怪談」の時の民谷伊右衛門が天池茂で、
後日、中川作品へのオマージュというような番組で、「日の当たる椅子」をオーバーラップさせて演じたと言う、名演技だったらしい。
天知は当時悪役専門だったけど、創世記のテレビに移ってから、「孤独の賭け」というドラマで一躍スターになった!!
そこから舞台にも進出して
三輪明宏の最初の「黒蜥蜴」の明智小五郎で素敵でした\(^^)/
私は、やはり舞台中継で、ヌァ〜ント!水谷八重子と芥川比呂志の「黒蜥蜴」を見ていますけど、
断然、三輪・天知の方がよかつた\(^^)/
後年、玉三郎と北大路欣也のも見ているけれど、「黒蜥蜴」はやっぱり三輪明宏ですね♪


嗚呼!!いつになったら高島忠夫が出てくるのかな(^_^;

えー、高島忠夫は、その新東宝の「坊ちゃん社員」という、
まああまり芸術的でも文学的でもない大作でもない、要するにB級映画、と言う奴ね。
でも、新東宝の映画って、「明治天皇」シリーズ以外はみんなB級映画でしたよね(^_^;
ま、とにかく、主役でスタートしました♪

何しろ、当時歌えて、楽器が弾けて(ピアノとドラムとギター)歌が歌えるというのは、彼と裕次郎くらいですもの(^_^;
特にギターとドラムは、一応それでジャズバンドで飯を食っていた、ということですからソコソコ(^_^;
どんなジャズバンドだ?
とにかく、その手のスターは裕次郎が出てくる以前は彼、高島忠夫だけです(^^)v
裕ちゃんが慶応ボーイなら、彼は関西学院のお坊ちゃま、それでニックネームがボンなんだけど(^^ゞ
まあ大学は中退したけど、ジャズバンドで高校時代からアルバイトしていたおかげで英語だけは喋れて、
フランス語もいくらかいける、という話でした。
(ハネムーンの時の話で英語は喋れるけど、フランス語はホンのちょっとしか喋れへんで、と言う事だったんですね♪)
なんでも、最初の高校の時にジャズに嵌って、そのバンドで仕事はおもしろい、金は稼げる、遊びは激しい、
・・・で退学しちゃった(させられた?)のだそうです。
でー、これではいかん、と思い直して関西学院の高校は二部で入って、大学に進んで、
今度は映画に入ってまた中退!と(^^ゞ
あれれ・・・こちらには卒業と出てる・・・そうなんですか?
まだ「高島忠夫」と検索していろいろ出てくるところが嬉しいです(^^)

このへんはちょつと感じのいいスターだな、くらい(^_^;
と・こ・ろ・が・・・新東宝が駄目になりかけた頃、彼は東宝に移籍します!!
なぜか?東宝が本格的にミュージカルを製作し始めたから♪

それより以前、彼は当時の宝塚のトップスターだった寿美花代と結婚していました。
これも大きな原因だったんじゃないでしょうか(^^ゞ
寿美花代は、単なるスターと言うだけでなく、東宝のみならず演劇界を牛耳る菊田一夫の秘蔵弟子でもありました。
宝塚のスターで、たとえワンクールにもせよ、自分の名前を冠したショー番組を持ったのは彼女以外ありません(^^)
そして、寿美花代は宝塚をやめた後華麗に女優に転進する、と思われたのに、
引退して、高島をバックアップしました。
相当後でのインタビューで、あの時、何で舞台を続けなかったのか?と聞かれたとき、
「自分も女優してたら、相手がいい仕事してると、もの凄い妬けるんです。そら、嬉しい気もしますけど妬けますね。
このまま行ったら離婚や、思ったんですね」
というわけで、見事に添い遂げた・・・今の所!!

で〜、なんで、高島忠夫好きかと言うと、その時ね、
「えー、あんた、そないなこと考えてくれてたん?」とオメメウルウルさせてたのね♪

そして、もう一つ、実は高島夫妻は最初の男の子をお手伝いさんに殺されているんです!!
寿美花代のファンから、お手伝いに採用された女の子が嫉妬したそうですが(^_^;

やはり、その時のインタビューで、おしどり夫婦の秘訣は?と司会者に聞かれて、
「死んだ子供て、両方の親の肩に片方ずつ足乗せてんだそうです。
夫婦別れしたら、死んだ子供が迷うやないですか。だから分かれられん、というのありますね。」と言った後に、更に
「勿論、夫婦の愛情もありますけど。あんな事あったらねぇ。お互いにしかわからんこと多かったですから」と言った時の優しい様子ね。
で、お守りが好きで、アチコチで頂いたお守りを全部持って歩くんだそうです。
「そんなにあれもこれも持ってたら、神様同士喧嘩しはってよくない、言われたんですけど、神様は喧嘩なんかしやはりませんよね」

その時に好きになったわけではなくて、まあ、いろいろな所で見たり聞いたりする感じですねぇ・・・
このインタビューは特によく記憶に残ってるのですね(^^ゞ

だから、ミュージカルにどんどん新しいスターが出てきて、それは嬉しかったけど、
ボンちゃんの出番がなくなってとっても寂しかったですね(^^ゞ

関西風の「浪花のボン」シリーズなんてので、けっこう大村昆・林与一なんかと座長公演もして、結構好評でしたけど、
ちょっと違うなぁと思ったし(^_^;

活動の場をテレビに映して「ごちそうさま」という料理教室とグルメ番組をドッキングさせた番組を成功させたり、
「どれみふぁ・ドン」なんて、曲名宛の番組も走りでしたよね・・・これはけっこうあっていると思ったけど
とにかく、司会者としては、アチコチでよく見かけて、大きな番組やセレモニーの司会もしていました。
何しろ、ルックスがよくて、タッパもあって、英語が喋れて、というと、ビューティコンテストなんかにはピッタリ!!
そういうとこに出てカッコがつくのは彼とファンファン岡田真澄くらいでしょ(^^)

まあ、ミス・ユニバースの奥さんがいた、という経緯で宝田明もやってましたけど、彼は冷たいんだよね(^_^;

歌謡音楽祭の司会でも音楽全体に目が届いている司会者は難しいけど、彼はジャズ・シャンソンから始まって、
演歌の歌詞も書いたりしてましたよ、「西大寺ひろみ」って人だったけ(^_^;・・・当たらなかったけど(^_^;
「難しい事分かりませんからね、難しい言わんとええ曲はええ、で楽しく聞くのがええんちゃいます」
と、言うの聞いたな(^^ゞ
そうそう、嫌な事があると、家族にあたっり愚痴を言ったりするのは嫌なんですって!
自分のオーディオルームに閉じこもって、ヘッドフォンで最大の音にして、ジャズを掛けて、
そうすると最期の頃には鼻歌が出てきてハッピー♪になるそうです(^^)vイェ〜ィ♪

でも、なんだかなぁ?と思ってた(^^ゞ
高島忠夫はモーリス・シュバリエの大ファンで、いつかシュバリエのような渋い役者になりたい、と言ってたのです。
いいな、ボンちゃんならきっとなれる!と思っていたのに・・・んー微妙(^_^;
あ、だから、東映のやくざの抗争映画で、悪の親分を演じて好評だった、と聞いたときはちょっと嬉しかったです(^^)
あれは監督中島貞夫?降旗康雄?(映画見てないから知らないのです。)
凄く善人そうな悪の親分がいたら面白い、そんなら高島忠夫だ!って言ったんですって(^^)
ボンちゃんはいい人で、雰囲気あるスターで、それなりに人気があって、稼いで、終わりなのかな・・・と、ちょつと残念だったので、
これから、年をとって、益田喜頓みたいになってくれるならいいな、と思っていたのですが・・・(^_^;

でもそのうち子供たちが芸能界に入って、高島ファミリーなんてなると、嗚呼世代交代なんだなぁ、という気もして。
で、このあいだは、鬱病ということで、ロングヴァケーションがあったし・・・
イメージ壊さないうちに死ぬ事も大事だよ、と思ってしまう冷たいファンでもありますm(__)m


なんだか、高島忠夫の話より、新東宝の噺の方が長かった!!