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6月22日(金)

「蜘蛛の巣城」観て来ました(^.^)

(松竹系で)寄せ集めのカムパニーとしては上出来の纏まりで、みんながプロ!というのは久しぶりによか気分ですじゃ(^.^)

まず、シェークスビアのマクベスというよりは、黒澤映画の「蜘蛛の巣城」を原作としている、という限定の仕方がよかった!と思います。
黒澤映画の「蜘蛛の巣城」は観ていないのでわかりませんが、これは、少なくもマクベスではない、と思うのですよ。
まぁ、黒澤原作ともだいぶ違ってもいるらしいのですが、これはかなり日本人的性善説的主人公で、その分スケールが小さくなった気がします。

もともとは、心正しく勇敢な武将鷲津武時が、ふとしたことから見た幻に幻惑され、妻の浅茅にそそのかされて、人間本来の欲望に目覚めて主殺しから転落の道を辿る、
というわけで、大筋的には、マクベスと変わらないのだけれど、
マクベスが持ってる人間の持つ人間の普遍的な欲望に対する弱さ、というのしはチョイ違うような気がします(^_^;
それに、武時と浅茅の夫婦愛と正当性を強調するあまり、ストーリーに無理が生じているように思えるところも多いのです。

しかし、ラストの壮絶にして憂愁美溢れる世界は、これがために二時間半引っ張ってきたのかな、と思うほど!
これで、いろんな疑問も物足りなさも吹っ飛んだね!!
但し、これ吉右衛門だから出来たわけで他の人だと・・・まぁ、仁左衛門ならいいかもだけど(^_^;

概して、吉右衛門だからこそ、あんまりこせつかずに演じていたけれど、他の人だったらどうだろうか?
レディマクベスにあたる役の麻実れいももともとスケールの大きい人で、上手・下手は別として堂々としていて、着物姿の動きもスムースだったのは特筆者!
あのメンバーの中で、着物さばきが悪目立ちしないということは、これはたいしたものだといってよい!と思いますね。
ことに内掛けの捌き方がスムースでびっくりでした(^_^;
ガタイがでかいことはどうしようもないけれど、吉右衛門とならまぁ似合いだし、後姿で、ちょっと男役?思い出させるところはあるけれど、不自然じゃない程度。
でも、宝塚退団一作目のレディマクベスのほうが男役が抜けきらないところがあったとしてもよかったように思えるのは・・・

後、いつもながら英太郎が大変よくて、出すぎずに自分の存在だけをきちんと出しきっていてよかったと思ったけど、脚本の方で、もう少し為所作ってやってもよかったかな、とは思う。

左団次が随分殊勝にやっていておかしいくらい。役のニンにもあっていて丁度適役というのでしょう。
しかし、男寅は切ないわね(^_^;
帰ってきて、アホボーズにかれこれ聞かれて、左団次の名跡の話をしていて、男寅は継げるか、と聞くから、
親父が死んで、何年もして、どうしようもない年になったら、仕方なく継がしてもらえるんじゃないの、と答えたけれど、ま、その辺だわ(^_^;
子役の頃よかった子は伸びない、と這いうけれど、孝太郎と偉い違ってきたもんだわ(^_^;

子役の・・・といえば、歌昇は可哀想!
こっちは実力があるのにねぇ。なんだかオーラも乏しくなったような気がします(;_;)
永山会長、ナントカしてやってくださいよ、貴重な人なんですから!!

特筆すべきは、ピーターと茂山宗彦。
後者の方は、さすがに育ちと(狂言師茂山千作の孫)修練と演技力とを見せ付けて、年は若いようだけどたいした者です!!
前者は、声がちょつと若かったのが惜しまれるけれど、メーキャップ・所作・台詞回し・雰囲気作り、非の打ち所なく素晴らしい!!
しかし、これで、来月「男の花道」を草刈正男とやるんだってよ!?
ちょつとレトロに過ぎないかしら???

曾我廼家文童は新聞評であっちこっち誉めてあったけど、儲け役だし、この程度出来て当然だと思うから、ね〜。

まぁ、3000円安かった!と思います。私が出したわけじゃないけどさ(^_^;




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