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7月8日(日)

劇団四季「ハムレット」石丸幹二版を観て来ました。

嫌な予感していたんだよね(^^ゞ
ガートルードができる女優が四季にいるんなかいな?
でさ末次美紗緒でしょ?
オチャミのカーチャンなんだから、ひいきしたいは山々なれど、今まであの人見ていてよかった!と思ったこと一度もないのですよ(^_^;
浅利慶太が太鼓判のごひいきだそうなんだけど、どこがいいのか?というほど存在感がないんだわ。
ひょっとして、その存在感のなさが浅利氏ご推奨物件てことなんかしら?

大体、私は「ハムレット」はガートルードで決まる!と思っているからね。
だってそうでしょ、彼女が原因で、クローディアスが兄殺しをするんですから。
勿論、王位も欲しい!
でも、第一条件は兄嫁への横恋慕だよね。
だからこそ、最初はハムレットを懐柔しようとしたり、いざ殺すことを決めても「后が嘆く」と心配したりするんですよね。

ハムレットだって、父を殺された、というだけでの怒りではないですよね。
勿論、父を殺されたのは悔しいだろうけれど、それを大きく上回って、母が叔父と「早すぎる再婚」をしたことが許せないわけです。
ある意味でエデイプスコンプレックス〜マザコンの様子が色濃く見えます。

私としては、「ハムレット」のヒロインはオフィーリアではなく「ガートルード」だと思っているくらいです。
そういう意味でも、私のベストワンガートルードは草笛光子なんですけど(^_^;
新橋耐子も批評では良かったけど、イマイチ華やかさに欠けたしね(^_^;)
どう考えても、末次じゃ無理よ!!
存在感ないし、老けてるし!!
あんなに老け作りしなくてもいいと思うのに、それとも、本人がホントにあんなに老けているのかしら??

それにオフィーリアは、ちょっと透明感がなさ過ぎるよねぇ〜(^_-)
野村玲子という人は今の劇団四季にしたらトップヒロインということなんだろうけれど、イメージ的に顔の皮が厚いのだ。
つまりさ、汚れ役向きなんですよ。
だから、「李香蘭」なんかよかったのだろうけれど、オフィーリアのような顔の皮が薄い、透明感のある声で台詞を言わなくちゃならないような役には向かないと思う。

それに比べるとクローディアス(この日は広瀬明雄)は結構良かった!
私は「ハムレット」の中では、このクローディアスが一番好きなのです!
え?こんな悪人?
だって人間の欲望のシンボルじゃない、地位と女(男)!その欲望にひざまずいてしまった挙句罪を犯し、その罪に戦く。
しかもその罪を認め、神に助けを求め、さらに、求めたところで救われるはずのない大罪だと認めるわけですよ。
今まで見たクローディアスの中では、桑名正弘のロックオペラで上条恒彦が演じたクローディアスが一番よかった。
普通に生きていればけっこう気のいい女好きな男が、王位と美しい女のそばにいたことで
悪逆非道な男に代わってしまうというところが良く出ていたと思う。
次は宝塚でハムレットの世界を現代アメリカのマフィアの抗争に移した時の海峡ひろきのクロード(クローディアス)!
こっちは徹底的にマフィアのボスの地位を狙って、グロリア(ガートルード・美月亜優もよかった!)も手段の1つと割り切る非常な男で、
ものすごくかっこよかったよぉ〜ん(^^ゞ

ポローニアスは、日下武史で全然危なげない、当然の満点演技で、ポローニアスじゃもったいないですよね(^^ゞ
まだまだクローディアスが見たいよ!
そういえば、墓掘りはうまいから誰がやっとんのけ?と思ったら松宮五郎ですよ〜(^_-)
こういうのご馳走というのでしょうね(^_^;

ホレイショーは可もなく不可もなく、存在がハムレットの影で良いわけなんだけど、ちょっと薄いなぁ!
フォーテンブラスがけっこうよかったけど、どうしても調子が良すぎるように思えるのは役回りのせいでしょうね。
でも、今回は、なぜハムレットがフォーテンブラスに王位を託すのかが、けっこう説得力があった。
いつもは、父王がフォーテンブラスの父と戦って、この国を取り上げたから、
それをフォーテンブラスに戻すだけ、という感じだったのだけれど、
今回は、ハムレットが、父の敵を討ちあぐねているところに、遠征中のフォーテンブラスの軍隊に出会い、
彼とその軍隊が名誉のためにだけ死地に赴くのだと聞いて心打たれる、というのが下地にあって、
フォーテンブラスの男気を高く評価したのだ、とわかるようになっている。

レアティーズは最悪だった。
みんな、存在感はなくとも、台詞や動きに関しては、それなりのレベルに達しているのに、こいつだけは台詞が心もとない。
エロキューションが悪いのかな?
妹に対しても、父親に対しても愛情が感じられない!

そういえば、ガートルードも息子を愛してないねぇ(^_^;
クローディアスが心配するほどのことは全くない!
草笛のガートルードは息子も愛しているし、クローディアスも愛している、オフィーリアも可愛いと思っているし、
ポローニアスにもそれなりの信頼を寄せている。
たぶん死んだ先夫王も愛していただろう。そういう女なんだよ彼女は・・・というところがあったからこそよかった!
だからこそ「弱きものよ汝の名は女なり」なのだ。

最後になったが、石丸ハムレットは、これらの俳優達に比較すれば、断然ましだった。
よかった!とは言わないよ、ましだった(^_^;
存在感が少しはあったからですよ。
下村尊則の方はどうだったろう?
友達でもないアメリカのダフ屋が何年も前にチケット売ったのを覚えている、と言うくらいの濃〜い個性の持ち主で、
本人だって自分がハムレットをやると言うのが信じられないということですからね(^_^;
クローディアスが二人になっちゃうかもしれないけど(^_^;
ホントは、下村版が観たかつたんだけど、アホボーズが行くと言うので、そんならオーソドックスな方、と思って石丸版にしたんだけど、
下村版のほうが面白かったかもね〜(^_-)
でも、いずれにしても、ガートルードが変わらなくちゃ仕方ないものね・・・

あ、そのアホボーズの感想!
あの帝劇みたいな、と言い出すから、
(「商業演劇っていうの」と教えてやった。でもおかしいよ、四季だってお金とって見せてんだから)
うん、その商業演劇の俳優達みたいな存在感がみんななかったよね。
さすがに主役をやった石丸って言うの、あの人はちょっと違った観たいだけど、
俳優の方がシェークスピアに負けてるみたいだ。
もっとも、観る方もシェークスピアを見る、ってことに負けてるかもしんないけど。

とのことでした。
結構言うぜ!!
でも、ホント!
スターシステムをとらない、ってことも人材育成上は大事だし、いつ誰が出ていても同レベルの舞台が見られる、
ということはいいことだけれど
やはり、四季が面白くないところは、役者に色がない=存在感がない、ってことなんですよね。
浅利慶太氏にしてみれば、四季にスターはいらない、四季のスターは俺一人!と思っているところがあるんだろうけれと゛、
全てがそれじゃつまらないよね(^^ゞ







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