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6月6日(木)

鎌倉能舞台で、源氏能「夕顔―山之端之出」と言うのを見てきました。
ちゃんとした鎌倉能舞台さんの「公演レポート」はこちら↓にあります。
http://www.nohbutai.com/report.htm

まあ、ひとまず、私の戯言観覧記です。

「夕顔」という出し物の中でも珍しい「山之端之出」という演出で、小書きで作物(藁屋)が登場します。
ヒロインの夕顔は、その藁屋からの登場となります。「出し置き」と言うそうです。
私は「葵上」はナマもTVも、二〜三ど見てますが、「夕顔」は初めてで、何もわかりません(^_^;)

上演前に「源氏物語と能」ということでね共立女子大学の上坂信男先生の解説がつきます。
お能の解説といえば、増田正造先生しか聞いたことがないので・・・まあ、この先生の解説については、「源氏店」の方で(^^)

朝の部のシテは中森貫太、午後の部は観世喜正。
当然、朝の弱い私は午後の部です。
鑑賞のきっかけとなった鎌倉能舞台の関係サイトの管理人さん、ポーさん、ごめんなさいm(__)m

シテ・観世喜正は、「観世の分家・銕仙会」の更に分家になる「矢来能楽堂」の通称「矢来の観世」というそうです。
「矢来の喜正先生」は美声で姿も美しくて、「時分の花」というところ!!というと、「真の花ならず」みたいだけれど、
そうではなく、正しく「今を盛りの花」です。
面も装束も凄く素敵で、と思っていたら、後で、別の方がBBSでお聞きになっていたところ、

午後の部は矢来の若先生がご自分の面とお装束をお持ちいただいたので、全然雰囲気が違うらしいです。とても良い面をお持ちになったのだそうです。こうやって比較してしまうと、「良い面」というのは、値段が高いとか時代が古いといった事だけでなく、見た目がやはり素晴らしい面という事なんだなーとつくづく実感しました。

うちは見所と舞台がとても近いので、皆様良いお装束をお持ちになるようです。近くで見ると、特に装束や面に関しての知識が無くても、良い物はちゃんと良くと見えるので不思議なものです。逆に、大きな会場や外の舞台の時は、化繊でも舞台映えのするものの方が豪華に見えたりすりようです。

ということでした。

母も「久良岐の能舞台」とどっこいかもうちょっと小さいかも、と言ってましたけど、こじんまりとして見やすい能舞台でした。
橋掛かりは、もう少しあれば、と思いますけど(^_^;
やはり、橋掛かりって大変なのよね・・・久良岐は勿論、銀座能楽堂も寸法足りないですから(^_^;

これは、私ごときが言うことではないのですが、やはり、美しいヒロインを「時分の花」の頃の演者が舞う時は、
見ていてもすっきり、その世界に入り込めます。
いくら、名人・上手と言われても、あまりに年配の方に「夕顔」や「羽衣」を舞われてもなぁ・・・と思ってしまいます(^_^;
まあ、私ごとき、だから、こういう感想が出るのでしょうけれどね(^^ゞ

ワキの旅僧は森常好、・ワキ方 下掛宝生流・重要無形文化総合財指定者・芸術選奨文部大臣新人賞受賞
人間国宝<森 茂好>の長男というワキ方の大スター!!
観世のご宗家清和さんたちと「花の会」なんてのもやって代表幹事も引き受けてます(^o^)丿
当然声も貫禄も十分!大体第一声ですから、この方の声が良くなければ舞台そのものの品格が落ちます。
素晴らしい旅僧でした。

実は囃し方は並んだときから、あの「お笛」ダイジョフかぁ?って感じの弱弱しい雰囲気だったのですが、
さすがはじまつたらそんなことはないのです(^_^;
でも、御足が悪くていらっしゃるのか、行儀が悪いなら問題外だけど?って思う座り方(^_^;
そういえば、今私はちょつと足を痛めてびっこひいてるんですが、鎌倉能舞台さんも、この公演にあわせてのリフォームで、
椅子席が大幅に増えた、ということで宛にしていたのですが、残念!超満員で出足も早く、
一時会場で5分過ぎに着いたときは、椅子席どころか座椅子で座るお席も殆ど埋まっているという大盛況!!
まあ、あっちこっちに足組替えて、かなりお行儀の悪い観客でしたm(__)m

小鼓・幸正昭、大鼓・柿原弘和、共にいい音色で、ここは音響もよいのでしょうか。
(時々小鼓の方?外しているように思ったのですが、あれワザとですよね・・・私初心者だから、そのへんは?)

そういえば、当然のことながら狂言が付きます!!これは困った(^^ゞ私は狂言苦手なのです。
大体、狂言の時は、能の本番に備えてグッスリお休み!というパターンなのに、ここは、ほんとに舞台と見所が近くて、
眠るってのは暴挙です(^_^;これには困った!!

大体お能の一時間余りはあっという間ですけど、狂言の30分は長いよ(^_^;
歌舞伎の松羽目物ではそう感じたことはありません。
大体出典が狂言からとしても、「歌舞伎の狂言」と本来の「狂言」は似て非なるものです。
歌舞伎は、はっきり作り物の「虚実のおもしろさ」を全面に出していますし、更にはっきりいえば見た目の美しさが圧倒します。
お能は舞手(面・装束を含め)の美しさ・囃子方の見事さに加えて謡の詞文と曲の美しさ・・・・
聞き所・見所がたくさんあって、何よりその緊張感が溜まりません。

でも、「狂言」はねぇ・・・美しさを求めるではない、生身を晒して、別世界を表現するわけです。
緊張感ではない、逆に言うと、笑いとかアイロニー・ペーソスを求めるものだとするならば、
ナニヤラ、今の狂言て、ことに関東の和泉流の狂言て「狂言」なのでしょうかねぇ(^_^;
私だけでなく、どうやら、母もお能はいいけど狂言はつまらない、という口で、アララと思っていたら、
お能も狂言も学校の単位取得のための公演一回しか見ていない娘までが、
狂言はつまらない、お能ならまた見てもいいと思うけど、などと言います。

ただ、大蔵流の狂言は一度しか見ていないのですが、これは面白かった(^o^)丿
みなさん関西在住の狂言師の方たちです。このへんが違うのではないか、と狂言無知のわからないおばさんはふと思う。
「狂言のセリフ」は昔の現代語ですよね。
やはり、そのへんが、京都に住んで、京言葉で暮らしている狂言師の強味ということもあるのでしょうか。
狂言師の方たちから滲み出る体臭というか、空気が違うのです。
セリフの間も響きも違います。間延びしたような間の中に魔が感じられる間なのです。

大蔵流も関東在住の狂言師の方たちで見たなら違った印象を持ったかもしれません。
勿論、子供の頃からの訓練を受けている狂言師たちの技術は関東・関西・流派を問わず素晴らしいものです。
口跡・所作・どれ一つとっても、高度な訓練の成果・絶え間ない研鑚の成果を現しています。
しかしねぇ・・・それだけなら、平べったくいっちゃうと「劇団四季と同じ」なんですよね(^_^;

とにかく、今は和泉流の当代の天才と言われる万作!というより「萬斎のお父上」を見てみたいと思っています。
なんちったっち、富士山を見なけりゃ百名山がどうこうは言えませんから。
そのあと当代の人気者萬斎ですねぇ!!「オイディプス」なんて即日完売ですってヨ(*^^*)

当日の狂言の感想はお察し下さいm(__)m

そうそう、たいした事件ではないのですが、5日の夜に、その矢来能楽堂の「九皐会」の事務局から
6月定例会のチケット当選のメールが来ました(^_^;
それが9日なんですよ!!日付がくっつきすぎでしょ(^^ゞ
私も応募の時に気がついて、途中でリセットしたはずだつたのに、送っちゃったらしい(^_^;
で、もう仕方ないので「当選辞退」のメールを、泣く泣く送りました(;_;)
演目も「船弁慶」でかなり見たかつたのですが・・・その何日か前、NHKで野村四郎さんのを見たばかりで、
今度はナマで見たいなぁ、と思ったばかりだったのに・・・(;_;)
ホントはお友達に回したかったんですが、当日簡単なアンケートを、と言うことがかかれてあったので、ホント泣く泣くでした(;_;)
高いう時は、こういうものですねぇ(^_^;




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