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7月17日(木)

妹背山女庭訓〜蝦夷館の場
澤潟十種の内桧垣
盲長屋梅加賀鳶〜本郷木戸前勢揃いから赤門捕物まで

歌舞伎に行ってきました(^^)

猿之助の道玄良かったです(^^)
ごひいきの東蔵の「おさすりお兼」よかったし、梅玉の松蔵も最初はアレレと思いましたが、ゆすり場の捌きはよかったです(^^)v
滅多に出ないという「桧垣」を見に行ったんだけど、結局は「加賀鳶」で帰ってきました(^_^;

決して、「桧垣」が悪かったわけではないのです(^_^;
ただ、やはり地味で、ちょっともたれるところが長いのです。
でも、これは清元の名曲だそうで、清元大好きの私には嬉しい驚きでした(^^)
それと、舞台装置も!!美術が朝倉摂なんですけど最高!!
やれやれ、では最初から(^_^;

妹背山女庭訓〜蝦夷子館の場
↑は、初めて見ました(^_^;
妹背山というと「吉野川」と「御殿の場」ばかりで、「大判事と定高」の両花道と名優ぶりを見られるのはともかく、
お三輪が苛められる「御殿」はあまり好きではありません(^_^;

で、これはまた、昭和58年の国立劇場以来というのですから・・・生まれてないわ♪と言えればよかったんですが(^^ゞ
でも、見ていません!!
どちらにしても、初演が昭和37年で、次が44年、その後が↑の58年、そして今回の平成15年というわけで、
偉く間遠な上演演目です。
「桧垣」も少ないですが、もっと上演記録が無い!!つまり、つまらない、というかちょつと無理がありすぎるのですね(^_^;

いくら、親の器量では天下を取るのは無理だと思っても、その親を利用した挙句に詰め腹を切らせ、
さらに妻をも見殺しにして意気揚揚と引っ込んでいく、というのは、いかにピカレスク礼賛の歌舞伎狂言としても疑問なのですが、
これが「人形浄瑠璃史上で序段の切りの代表的場面」と言われていたそうなのです(歌舞伎座プログラムから)(^^ゞ
わかりまへんなぁ・・・(^_^;
で、まあ右近の入鹿は一見真面目、ブッカエリの大悪党!!というのはまあソコソコ♪
でも、新聞評にも出ていましたが蝦夷子の米吉ともども「時代物の大きさに欠ける」っていうのが、ピッタシカンカンですね。

入鹿の妻をやった笑三郎!これはよかった(^^)v
ちょっと加賀屋歌江に似た大柄でいい女形です。このごろよく名前を聞いてましたが初見参だったのです。
笑也を、私はあまり買わなかったんですが、これはいい女形です。また何かやったら見たい、と思わせる。
それより、一条大蔵卿のお京なんていいだろうな、と今日のコスチュームなんか見ると思います。
もっと大きくなれば「政岡」だってできるかも・・・と言ったら褒めすぎかしら(^^ゞでもそれほどよかった♪
まあ、赤姫はちょつと浮かばないですが・・・けっこう貫禄があって、老けていたというか、難しいところです(^_^;

澤潟十種の内桧垣

これは、昭和24年東劇で猿翁が初演ということです。
その後は、25・26年と三回ほど続いて演じられそして、今回です。

元々は安永5年(1776年)江戸市村座の顔見世狂言の中で富本で上演されたものを、
その昭和24年に、五世清元延寿太夫が増補し、当時の二代目猿之助が上演した、と同プログラムにありました。
これは母も見たことが無くて、一度、当代猿之助の勉強会か舞踊会かであったらしいのですが、
それで見損なったら本興行にはまるでかからなかった、というのです。

で、結論から言うと、先に↑で言っちゃいましたか(^_^;
「やはり地味で、ちょっともたれるところが長いのです」ということになりますね。
まして、「黒塚」というものがありますから、やはり部が悪いです(^_^;
そういう意味では「黒塚」の完成度に及ばない、と言う言い方もできますかね・・・それにしては、清元がよかったのです!!
まあ、演奏がですが・・・歌詞はどうなんだろ・・・筋売りとしてはやはり記憶に残る詞がない、ということは・・・m(__)m
しかし、立唄は清元清寿太夫・美寿太夫というのでしょうか、ホントに名唱でした(^^)v
三味線も切れがあってよかったし清元美治郎・美多郎・・・私などはあまりわからない弾き手たちですが演奏はよかったです。

筝曲に川瀬白秋が出演していました。いい音色だな、と思っていたのですが、後でプログラムを見て気がつきました(^_^;

新聞評で褒められていた亀治郎は意外によくなかった・・・可愛げが無いんですね(^_^;
顔はけっこう可愛いんだけど気分として可愛げが無い。
例のナメクジの時もそうだったんだ・・・うまいんだけど、何か足りない、と言う奴です(^^ゞ
母は、もともと女形じやないからね、とヒイキの引き倒し発言をしていましたが、そういうことじゃないと思います。
要するに可愛くないの(^_^;
芝翫はちょっと背が小さいのが玉に瑕ですがやはりさすがの少将でした♪
このあたりになるとなんでもやっちゃうのですね(^^)V
ただ、役としてだらしの無い男でねぇ・・・こんな男になんでこの老女がこんなに入れ揚げるか、アホクサ!!となります。
そりゃぁ、当然いい男だからなんだけど・・・そのへんの説得力がイマイチなんですね(^^ゞ

いやぁ、舞台美術が朝倉摂なんですけど最高!!
本とはこれを一等最初に書かなくちゃいけなかったんですが、
照明は吉井澄夫、舞台技術は金井俊一郎・・・まあほかにスタッフもいるんですが・・・まあ素晴らしかった!!

まず、幻想的な霧の彼方から美男・美女が現れる四位の少将と恋人の小野小町というわけです。
山深い東国の薄ヶ原というのが本当にそこにあるようです。
そして、月の光に照らし出される恋人達の美しさ・・・斜めになった舞台で足元もスモークで見えないはずなのに、
芝翫も亀治郎も危なげなく滑るように降りて来ます。その辺もなんだか幻想的です(^^)
本来なら、人間の役なんだから、一寸足元悪そうに来なくてはいけないのでしょうが、
この場合はこの滑るような降り方がよかったと思います。

そして、そこへ一人の老女が・・・花道のすっぽんが上がって、猿之助の老女実は少将を恋い慕って訪ね歩くうちに盗賊に殺されて、
少将への妄執だけが残った亡霊、ということなのですが・・・これは現身でやってもよかったと思うんですが(^_^;
そうじゃないと、井戸に水を汲もうとして、わが身の醜さを水鏡で見て愕然とする、
というシチュエーションが生きない、と思うんだけど(^_^;
そのかわり、亡霊ですから、「骨寄せの岩藤」よろしく骸骨ダンスがありまして・・・この時井戸から燃え上がる妄執の炎が素晴らしい!

で、まあ、一通りのやり取りが舞踊であって、観世音菩薩のご利益で老女も自らの妄執もろとも姿を消す、ということなんですが。

まあ、それだけ、といえばそれだけ。
老女の恋の悲しさまでは出ていないし・・・ちょっと滑稽味が強くなりすぎているためもあるし、
少将がいくらつっころばしでも今のご時世にはやりきれない(心柄も)頼りなさで(^_^;

「黒塚」がちょっと似た感じで、もっと人間の悲しさとか、虚しさを追求している事を考えれば、しかも所作も華やかだし、
演出も派手で効果的ですから、似た演目として損をしているのですね。
それに清元の名調子と言えども、耳に残る詞がない、というのは痛いです。
猿之助も力は入れているでしょうけど、何かいつもどおり、と言う気がします。
それより、演出のほうに気合入っている気がするなぁ(^^ゞ

盲長屋梅加賀鳶〜本郷木戸前勢揃いから赤門捕物まで

もぅ・・・ヒッサシぶりの加賀鳶でぇ・・・いつ見たのか・・・プログラムの記録で見ると、たぶん47年の歌舞伎座だと思うのだけど、
もうはっきりしません(^_^;
名優「多賀之丞のお兼」を忘れちゃうとは自分でも情けないですけど(^_^;
で、今回は、この「お兼」をごヒイキの東蔵がやります。
この人は地味だけれど実力だけは大変な物だと思う!!口跡もいいし・・・顔は悪いけど(^_^;
そのかわり喜劇味があって、今回もそれがよかったですね(^^)
そのかわり、色気は乏しい・・・母にはそこがお気に召さないらしいですが(^_^;
まあ「おさすり」という二つ名にはちょっとかったるいかもしれないですが、猿之助と組んで負けない悪党ぶりで(^^)v

日影町の松蔵の梅玉も、最初の木戸のところでは、やっぱりこの人にこういう男っぽい役はなぁ・・・と思っていたら、
伊勢屋質店の場では、いい男ぶりで捌きもドウに入ってよかったのでおお安心♪

猿之助は、道玄みたいなのをやらせたら今やぴか一ですからね(^_^;
ちょっと滑稽味が強すぎるかとも思うけど大変結構でした(^^)

笑也の十四はちょっとつらいけれど十八くらいには見えそうで感心!!
やっぱり、こっちが若女形、笑三郎が立女形だなぁ・・・(^_^;
でも、それで十八に見せるんだから笑也は確かに凄腕ではあります(^^)v

夜の部は、直助権兵衛を主役にした四谷怪談で、忠臣蔵を表面に出したもので、こっちのほうが話題にはなっています。
母もどっちがいい?なんてやっていたのだけれど、「桧垣」が見たい、ということで昼の部にしたのですが、
「桧垣」もよかったけれど、結局「加賀鳶」を見に行った、と言うことになりました、ということでしょうか(^^ゞ




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