2月19日(木)

宝塚月組「薔薇の封印」

―紫吹淳さよなら公演―

というわけで見てきました。
昨夜が歌舞伎の夜の部、今朝午前中に「紫式部日記」があって、かなり大変でしたけど良かったです(^^)
でもねぇ・・・紫吹淳の良い所は、やはり二番手時代に出し尽くしてしまったようで、
とにかく存在感だけは大変なものですが、ニンにない役というか・・・
前回の「シニョール・ドンファン」が久々のヒットだったので、あれでさよならにさせたかったな・・・と(;_;)

ただ「月組」としての公演として考えるとなかなかの作品で、完成度でもありました。
月組って、なんでかこういう「雰囲気物」といっていいのかな・・・時代を超える雰囲気を伝える、というような作品がうまいんだ!!
これは剣幸の「大いなる遺産」あたりからの伝統なんだろうか?
涼風真世にもそういう雰囲気物の流れで「PUCK」があって、久世星佳には「バロンの末裔」にちょっとそういう感じがあった。
これを決定付けたのが真琴つばさで「エルドラド」のお披露目から
「ALAS」「LUNA」「螺旋のオルフェ」「ゼンダ城の虜」・・・全編これ雰囲気物だよねぇ(^_^;
紫吹淳も、そういう意味では「ドリアン・グレイの肖像」という代表作があり、
実力的には三拍子揃って、しかも、三番手頃からトップ?と錯覚させるような貫禄があって
(まあ、それで、花組にも星組にもいられなくて月組に来るっきゃなかったんだけど(^_^;)
月組の雰囲気にはぴったりのトップだったのだけれど、トップ就任からこっち、
月組自体にぴったりくる雰囲気物の作品がなかったんだよね・・・難しいものです。

紫吹にとって不幸だったのは、大和悠河が思ったほど伸びなかったこと!!
これは痛かったですねぇ・・・ファンとしても痛かったけれどトップとしても痛かったでしょう(^_^;
大体二番手にいい男役がいないと組が盛り上がらないのと芝居やショーに厚みが出ないのですよ!!
宝塚はトップ至上主義のようですが、実際良いトップ、売れてる組というのは、
トップと二番手が拮抗するほどの、ある意味二枚看板で売れるようなところじゃないと駄目なのよねん(^^ゞ
古くは日向薫vs紫苑ゆう、ヤンミキなんてのが好例です♪
も〜っと古くはツレ・オトミ、ジュンコとターコみたいなのもありますが・・・古すぎるm(__)m
今なら春野vs瀬奈のオサアサコンビ?
これいいですねぇ♪手前味噌m(__)m

さもなければダントツのトップと娘役のゴールデンコンビで売るか・・・これはもうマリ子さんとあやか様\(^^)/
和央とハナちゃんがそうなると期待してたんだけどなぁ・・・(;_;)

月組公演から大幅に外れてる(^_^;

でぇー、しかし、霧矢大夢が予想を超えた大躍進で、「長い春の果てに」では紫吹と対等の雰囲気をかもし出した!!
もともと、真琴の最後のバウ公演「プラクティカル・ジョーク」では、本との相手役は檀ちゃんじゃなくてキリヤンだ、
と言われたらしいです(^^ゞ
それが、オー!と思った時期も時期、膠原病で休演しちゃつた(^_^;
もう、この時期では紫吹の退団は決まっていたんだけど、ね・・・惜しかった(^_^;
まあ、今回の公演で見事に復帰して、おまけにオープニングに出しもらったところを観ると、
歌劇団でも、霧矢の大躍進と、病気休演の反響の大きさに霧矢の商品価値を見直したところがありますね(^_^;

それと、紫吹トップ不振の原因はやはり、相手役の映美くららと合わなかったこと!!
が、私はこの映美くららを演技力も存在感も、大変買っているのですが、
「宝塚の娘役」としてはナマ過ぎる、というか、男役を立てて、ということはしない?できない、というか・・・
要するに彼女一人では大変いいのです(^^ゞ
四季の「マンマ・ミーア」を観た時、あっ、このイヴの娘は絶対エミクラにやらせたい、と思ったもの!!
美人じゃないのに舞台で見るとすっごい綺麗なんだ♪これ、舞台人の絶対条件です(^^)
しかし、紫吹と組むとまあ学年差(年齢差)もありすぎるのかもしれないけど、
やはり雰囲気が違いすぎるのですねぇ(^_^;
檀れいを相手役からはずしたのは、踊れない檀れいではダンスで売る紫吹の相手役が勤まらない、
と考えた歌劇団か紫吹か、の判断だったのでしょうが、これは諸刃の剣でしたねぇ。

はぁ・・・長々と関係ない?前説でした(^_^;
まあ、その程度の作品と言うか・・・(^^ゞ
さっき、良かったって言ったじゃない!?
だっから〜、月組には合っている作品なんですよ。
個々のスターも若手もそれなりにやっます(^^)
でも、小池修一郎の作品として、ということと、重いテーマ(「平和」)を持ち出している割には扱いがあまりにもお手軽です。
「ロード・オブ・ザ・リング」を意識しているらしいところは感じますが、全くテーマの一貫性を感じません。
ただ、月組にあっている、ということと、確かに一本立てであきさせなかったのは立派!!

まず、オープニングは、霧矢の劇中劇、ホンのチョビットですが♪
颯爽と現れて、ちょっとコント風なこともやって、まあ期待される二枚目像で結構でした♪

ここから、星原美佐緒がダントツにいい!!
もう〜、この作品で誰が良かったかというと星原美佐緒です。
この人には「国境のない地図」の東ベルリンの総督という大ホームランがあるけれど、
今回のオープニングの航空会社会長というチョイ女好きのエグゼクティブの役とナチス活動隊隊長という野卑な役と、
もう〜素晴らしいの一語です\(^^)/
もちろん一部の温厚なバンパイヤ一族の王様もよかったけど、こっちは星原さんなら当たり前の出来です。
でも、今回もこの人がいなければ、ほんとに薄っぺらになったと思われる、ことにナチス活動隊隊長は結構でした\(^^)/

この公演で紫吹と一緒に退団する美原志穂が大人の雰囲気をかもし出して惜しいです。
朋舞花とか、この人のような大人の女優の雰囲気を持つ人はなかなか育たないのでネェ・・・女ばかりの歌劇団なのに(^_^;

月船さらら以下若手たちも意気が良くてけっこう(^^)
ダンスシーンは、絶頂期の花組を思わせる充実振りで・・・(;_;)涙、涙
でも、この頃の花組は負けてないよ!!
紫吹自身も霧矢と顔を見合わせるときは、二人でニヤっとするのですよぅー(^_^;
去年のTCAでの匠ひびき休演を告げる時の涙といい、
今回の卒業メッセージの中での「大浦さんに育てられて」という言葉と言い、
やはり花組時代の大きさを感じているんだろう、と思うのですよ。ちなみに霧矢は花組からのお付き合い♪
紫吹自身の飛躍は、やはり星組時代の「ブエノスアイレスの風」や先ほどの「ドリアングレイの肖像」、
本公演では「エリザベート」ということで星組時代が一番短いけれど印象が強い、というのも言ってましたけど、
ファンにしても、全くその通りですねぇ(^^ゞ

今回は二番手で敵役に回った次期トップの彩輝直は作品的にもやりようもなかったのだろうけど平凡(^^ゞ
しかし、存在感だけはもうトップ♪
しかし、この人もこれからどんな作品に当たるのか、というところが大問題!!
紫吹ほどの色の濃さはないけど、そう薄い方でもないからねぇ・・・(^_^;
やはりダンスと姿のよさで売るだろうし、芝居が学芸会を抜け出したか、というのが明るい材料です。
それに彩輝と霧矢のツーショットは、これはなかなかのものだと思う\(^^)/

この組で美々杏里の存在は大きいが、今回の使われ方はちょつともったいない(^^ゞ
そういう意味では夏川ゆらももうちょっとしどころを作ってもよかっんたじゃないの〜!!
紫城るいがいい所で使われていいんだけど、エキセントリックな役所で、
もっとふつうに娘役で使ってもいいんじゃゃないかと思います。
嘉月絵里がいつもおんなじ使われ方で、ここまで来るとまたか、と思うところだけれど、
今回は堂に入ってきた感じで、お!!となりました(^^)v
親父(南原宏二)が死んで、やっぱり期するものがあるのかも。
もともとダンスもうまいし、普通の芝居はうまいのだからもうちょっとまともな役で使って欲しい気分が合ったのだけど、
今回の出来を見て、これもこの人の一つの引き出しだと考えられるようになりました(^^)

最後に、小池修一郎の作品としては・・・?ってこれが全てなんだけど、ですねぇ、
まあ、出来不出来があって当たり前の世界だけれど、やはり作家の黄金期10年は過ぎたか・・・という気がします。
次回を期待して・・・いいのかな(^_^;




表紙へ