能「井筒」

シテ  梅若六郎
ワキ  宝生 閑
アイ  山本則俊
大鼓  柿原崇志
小鼓  北村 治
笛   一噌仙幸


本日、初めてナマの梅若六郎を見てまいりました!!
横浜能楽堂です。
まぁ〜、すごかった!びーっくりしました!
今まで、鎌倉能舞台の中森氏とか、
観世宗家の清和氏、分家の喜之氏とか見ましたけど、
もう〜世界が違うのです(^_^;

もしかしたら、今日は手抜きだったかもしれない、という思いはちょっとなくはないのですが、
それでも、そのオーラというか、それと謡の巧さはド素人にもわかりました!!

失礼ながら、囃子方も違うみたい・・・(^_^;
気合の入れ方が違うのかな(^_^;
まず、あんなにいいお笛初めてです(^^)v
今まで、良かったと思った囃子方は、去年の横浜能楽堂の笛・寺井宏明/小鼓・幸 正明/大鼓・柿原弘和
   というオーケストラと、
    観世能楽堂の笛・寺井久八郎/小鼓・清水皓祐/大鼓・亀井忠雄、という諸師でした。

特にお笛はなんとも言えず良い音色だなぁと思いました(^^)
なんたって第一声ですものねぇ・・・但し、今回はいつものようにピーっと響き渡る感じではなく、
静謐に、静々と、という感じの秋の音色です。
その点で気になったのは、小鼓、今日は湿気が足りなかったのか、大分ハアハア息を吹きかけていましたが、
それでも?と思う音色が何度かありましたけど(^_^;

「世阿弥」の講義を受講していた横国の○○先生は、「梅若さんは、もう・・・」とおっしゃってましたが、いやいやまだまだ♪
その○○先生にもお会いしました。
先生お奨めの「岩波の謡曲集」をうまくネットで手に入れました、とお礼を申し上げたら、
喜んでくださって、つい「次の“葵上”楽しみにしております」なんて、調子の良いこと言っちゃいました(^_^;
行かれないんですよぅ・・・(^_^;
いろいろアチコチありまして・・・(^_^;

今回のチケットも、気がつくのが遅くて、残り後三枚、と言う時に電話したので
二階席の隅っこでしたが、あそこは、どこからでもよく見えますね(^^)

今日の興奮が収まらないのと、もしかして次回行くかな、とお友達に電話&メールをしたりしました(^_^;

「ワキとシテ」と言う六回シリーズで、数日前の朝日新聞でも取り上げていました。
「ワキの魅力は優れたシテと出会ってこそ光り輝く」という趣旨だそうですが、
やはり、今夜は梅若六郎に尽きる、と思うのです。

ただ、鎌倉能舞台で「井筒」を上演した後のご挨拶で、
「『井筒』は静かな曲で、動きのある『船弁慶』『安達が原』などと違いますから。
初心者にもわかる『県民のための能を知る会』ということで、いつもよりサラサラと3割方カットして演じました。
ふつう1時間55分というところを1時間15分でやりましたから。位をしっかりとってやれば、ここでも1時間40分はかかります。
『雑』な井筒で申し訳ありません」

――ということでしたが、今日の梅若氏の「井筒」は1時間35分でした。

で、思い上がり、怖いもの知らずで言わせて頂けば、
「鎌倉能舞台の1時間15分」はあっという間でしたが、雑だとは感じませんでした。
今日は、雑だとは思いませんでしだか、ずいぶんサラサラ・・・だな、と感じました。
途中で、ちょっと早過ぎないか、と二度程時計を見ましたから(^^ゞ

まあ、昔のお能は今の能よりかなり早間だったそうですし、
梅若氏の謡い方がそういう流儀なのかもしれませんが・・・(上演時間は120分、という予定でした)
聞いていて、かなりサラリと謡っているのはわかりました(^_^;
それでも巧いなぁ、と私のようなド素人でさえわかる下りが何箇所かありました。
それは今までの観世の謡にはなかった節回し(^_^;というのか、謡い方でした。
やはり梅若流ってのがあるんじゃないの?と考えてしまいました(^^ゞ

ちょっと手抜きじゃない?と思ったのは、やはり、第一には、↑サラサラなのですが、
第二には、クセの部分で床机にかけたことですね(^_^;
中森氏もおっしゃっていましたが、確かに床机を使う能楽師もいらっしやるそうです。
しかし、やはり、ここは、一つの見せ場でしょうからねえ(^_^;

ことに下掛は右膝を立てるので大変だそうですが、上掛は左膝なので上前どおりなんですから、
ソノブンだけでも楽なはずですよね・・・それだって大変なのは十分わかりますけれど(^_^;
でも、ただの能楽師ではない、梅若六郎なんですから(^^ゞ
観世寿夫の言葉に「自分が花になったように」座っている、という言葉が残されているそうです。

勿論床机にかけていても美しい風情はあるのです♪
それより、上から見ていたせいもあるのでしょうが、地謡の謡いに合わせて、
体を動かすために足を細かく捌いて上体を回していくのが大変よくわかって興味深かったのですが、
「自分が花になったように」座っているようには見えませんでしたm(__)m
そうそう、上から見るので足捌きは良くわかりましたが・・・この足捌きは・・・?ちょっと雑?というのもあったような(^_^;
全般的に舞の部分で物足りない思いはありました。
後姿でちょっと・・・優雅じゃないときもあったし・・・。
でも、それもこれも越えてよかったと思う・・・もしかして梅若氏の影武者だよ、と言われれば、
あっ、やっぱり、と言いそうな感じだけれど、それでも世界が変わるほどのオーラを感じました。
最期の「見ればなつかしや」で井戸の中を覗き込む姿は決まっていました(^^)v

地謡が全般に大変低くて、あれ?こんなもんだっけ?と言う疑問はあります。
でも大変よく揃っていて、地謡というよりはコロスというイメージが浮かんだなぁ・・・。



ロビーでお会いした○○先生はどうご覧になったでしょうネェ(^_^;

それと、これは社交辞令でも、ひいきの引き倒しでもなく、
今まで見せて頂いた能楽師の方たちが丁寧に楷書の能を見せてくださっていた、ということも良くわかりました。
梅若氏のお能は確かに別の物ではありますが、
それは、きちんとした楷書を見せていただいたからこそ理解できたのだと思いました。

そうそう、今日は狂言がなくて助かりました\(^^)/
こういう会があってもいいんじゃないでしょうか。
狂言は狂言の会で狂言を見たい人が行けばいいし、お能の会はお能だけでいいんじゃないかと。
それで一番だけでいいからリーズナブルなお値段でお願いしますm(__)m
今日のはS席6000円、A席5000円、B席4000円でした♪
梅若六郎を4000円で見られたのはラッキーだと思いました(*^-^*)




表紙へ