8月13日(金)

歌舞伎座「元禄忠臣蔵・御浜御殿網豊卿」
舞踊劇「蜘蛛の拍子舞」


夏歌舞伎です。
13日の金曜日です。
それより何より、今夜はダンナ叔母御のお通夜です(^_^;
いいのかねぇ・・・こんなことしててて・・・(^_^;
というわけで、躊躇する間もなく、ダンナがいいよ、と言ってくれたので出かけました。

今月の歌舞伎は三部制♪
第一部が↑、第二部は24日にチケットとってあります。
で、私の今日の第二部はサントリー美術館の「徳川美術館名品展・姫君の華麗なる日々」ですm(__)m
そして、第三部、上野発の○○線でダンナと待ち合わせて、ダンナの実家に参ります(^^ゞ

あちこち見て歩いて帰って夕ご飯作ること思えば、特急電車のリクライニングシートでぐっすりお休みして、
御弁当食べて・・・嗚呼極楽♪極楽♪
ビールが飲めないのが唯一の残念ですが・・・ワタシャどこまで厚かましい!!??

と、いうのも、叔母さまは、ダンナの両親(厳密に言えば父方の)の最後の兄弟で90ン歳のご高齢で、大往生なのです(^^ゞ
昔なら、地域の別もあるでしょうが、紅白饅頭配ってご長寿にあやかりますように、というところです。
というわけで、みんなのんびり(^_^;
子どもの代どころか、グスグスすると孫の代になっているお家もありますからね(^^ゞ

何しろ親戚の多い家系で義母の葬儀の会葬者、約500人のうち150人が親戚だと聞いてぶっ飛びました(^_^;
そういえば、無我夢中で挨拶回りしたけど、結婚した時の親戚周り大変でした(^_^;

うっひょ!長話!!
というわけで、今回は、若手のがんばり公演です!!
で、私としては、勘太郎の富森助右ヱ門がお目当てだったのですが・・・(^_^;

一時期、八月の歌舞伎座は、ずっと、「お客様は神様です」の三波春夫特別公演でした。
それを何時の頃か、勘九郎・三津五郎という若手が歌舞伎に取り戻して、定着させ真夏の人気興行に仕立て上げました\(^^)/
今やその彼らが中堅となって、息子たちの世代を引っ張っています(^^)

(今月のプログラムの永山会長の挨拶文を読むと平成2年8月に31年ぶりで納涼歌舞伎として復活し、
平成5年から三部制になったそうです。
そして、その三部制の仕掛け人は誰でもない、この永山会長だと言うのは、小山観翁氏の文に中に見えます。)

「元禄忠臣蔵・御浜御殿網豊卿」

「元禄忠臣蔵」というのは、江戸時代のワイドショー・実録版の「仮名手本忠臣蔵」ではなく、
昭和になって書かれた「忠臣蔵」を舞台にした外伝とも言うものが多く、近代的な台詞劇・心理劇です。
華麗な足利御殿の「兜改め」や「刃傷松の廊下」など、またおなじみの「勘平腹きり」や「七段目、一力茶屋の場」
・・・という場面は無くて、
「江戸城松の廊下―刃傷―」「最後の大評定」「南部坂雪の別れ」「大石最後の一日・琴の爪」などと合わせて
連作10篇ということだそうです(岩波のサイトにて)。
よく出される演目も限られてますし、私も全部は見てませんm(__)m

「御浜御殿」はその中でも出色の心理劇と言われています。
主役は、甲府宰相網豊、後の六代将軍家宣と、赤穂の浪人富森助右ヱ門です。
赤穂の浪人たちに吉良を討たせて元禄の武士道の緩みを戒めたい網豊と、
吉良を討って主君の恨みを報じたいと必死に生きる青年武士富森との葛藤です。

納涼歌舞伎はいわゆる勉強会的雰囲気で、普段若手が取り組めない大物に取っ組んでみる、というのが眼目です。
今回の「御浜御殿」などというのは、全くその大物中の大物なのです。
で・も・ね・・・真山青果の「元禄忠臣蔵」というのは、
今じゃ返って若手にとっては取り組みやすい芝居なんじゃないかと思います。
台詞劇とも言われるほど、理論的な台詞が多く、
心理の綾を投影した役の組み立てを緻密にしていかなければならない、というのは昔の役者には大変だったろうけれど、
今の役者にとっては難しいけれど取り組みやすくはあるのではないか、と思います。

だから、きっと染五郎もいいだろう、と思ったのですが、ドンピシャ!!
よかったですよ(^^)
今まで染五郎見たうちのナンバー1ではないかなぁ・・・但し前半ね(^_^;
でも、芝居終わった幕間に、染五郎のファンの女の子かしら・・・染五郎、超かっこいい〜♪と大きな声で話してましたから、
ホント!まあよかった(^^)
そのかわり、後半は貫禄不足(^_^;
前にも言いましたけど、この人萬斎と同じで育ち悪いんですよ・・・苦労してるねって感じ(^_^;
二人ともお坊ちゃまなのになんででしょう(^_^;
妹の松たか子は大根で何をやっても松たか子だけれど、舞台全体を席巻するエネルギーとオーラがあって、
育ちがいいとか悪いとか言わせない君臨の仕方をするのに・・・(^_^;
だから、前半の悩める殿様はいいんだと思う。チッチャクテも気にならないです(^^ゞ
遊び人の振りして真面目に悩んでます・・・ぴったりです(^^)
台詞もしっかりしていて、富森に「そちゃ、余に憎い口をききおったぞ」と、軽くいなしていくところなど、台詞としては巧い♪
でもさぁ・・・何度も言いますが、大きさが足りないのねぇ・・・(^_^;
ここは下手でもいいから大きさを残して欲しい(^^ゞ
だから、もろ、後半の能装束になってからがよくない!!
声もね・・・さっきまであんなに張っていたのに?と不思議なほどかすれたりして(^^ゞ
あそこは、富森と網豊のスケールの違いを見せなくちゃいけません!!

拾い物は、橋之助の新井白石です(^^)
ほんのわずかの出でしたが、ちゃんと白石先生になっていたと思う(^^)
でも、殿様に座布団を滑らせるほどか?と言うと・・・ん〜(ーー;)
でも、もともと年寄り臭い橋之助にまったく不自然でなく少壮学者というよりは、ここでは円熟の侍講という雰囲気が(^^)

えっと、イッチャンえー役の「江島」の孝太郎!!
この江島の役は宗十郎が目に焼きついて、耳に声がこびりつくほどよかったのです(^^)
まあ、あそこまでは行かなくとも、大合格ですね(^^)v
もともと美人とは縁遠い顔立ちで、本人も実力つけるしかない、とわかっているところが好ましい(^^)
江島自身の台詞にあるとおり「才はじけて」いるご祐筆で、まったくピッタシカンカンに演じていました。
貫禄も思わぬほど出ていたし、情もあり、ちょっとオキャンなところも出ていて、
後の江島を髣髴とさせるところがよかったです。
そこまで、と思う人もいるかもしれないけれど、やはり、「江島といえば・・・」と、
皆が持っているイメージを忍ばせるのは立派です♪

さて、お喜世は七之助(^^)
これがまた思いのほかの拾い物♪
まず、美しい\(^^)/
このところ、公演ごとに綺麗になってびっくり!!
台詞の声も艶が出て・・・ん〜、惚れちゃいそう(^^ゞ
ただ、やはり、時々気になる声が出るのよネェ・・・男に戻る声!殆ど無くなったけどゼロではない(^^ゞ
でもよかった!!
何が?
一番よかったのは、お喜世の性根です。
これはちょつといつも欲求不満になっていたのは、富森助右ヱ門との関係です。
同じ赤穂の浪人で、甲府宰相家に奉公に出るための親許として名前を借りた、というだけ、というのが建前。
で、いつもそこまでなんですよ・・・玉三郎も(^_^;
でもさ、それだと、お喜世が吉良の舞の折に手引きをする、というのがホントにその場しのぎの口実になってしまうんですね。
いかにも、助右ヱ門にはそう言っておいて、網豊に告げ口したように思われるのです。
また、私も無事でいようとは思わない、といかにも命をかけて手引きしよう、という様子が、どうしてそこまでするんかな?
瑶仙院にもそれほど恩ゃ義理を感じるほどの勤めではなかった(というのは一場の台詞でわかる)はずですしね。
ところが、今日の七之助のお喜世だと、名前を借りる親元と言うだけではない、
もと赤穂の朋輩というだけではない、ましてや瑶仙院への義理立てではない、
その昔の助右ヱ門との仲が感じられるのです。
勿論、今は網豊のお手つきになっているけれど、実は心は助右ヱ門に残っている、
だから、助右ヱ門を止めるために命を懸けて手引きすると言う、と言うところに繋がるんだよねぇ(*^-^*)
だから、吉良ではなく網豊が能装束で出てきても、お喜世が裏切ったのではなく、
お喜世の異変に気が付いた網豊がそれと見抜いてこうしたのだな、と勝手に納得します(^^)v

これは七之助の大手柄じゃなかろうか(^^ゞ

さてさて、本日の眼目の富森助右ヱ門こと勘太郎!!
ワタシャ、あなたが見たいがために、9時30分のデータイムグリーンも使えぬ時間にエッチらオッチラ行ったんだよ!!
でも、この間、スタジオ・パークで喋っていた時、ちょっと心配してました(^_^;
だって話し方が凄くソフトで、物腰もホントに優しげなんだもの(^_^;
あれはと〜っても感じよかったけど・・・でも、でも、でも・・・!!??
危惧はドンピシャ(;_;)
巧いのよ!!どうしてこんなに巧いのか?という
律儀で清廉で一途な田舎侍で、それでいて甲府宰相をギャフンといわせる気概があって(^^)
敵を討ちたいという必死の思いと、それを大っぴらに言えないもどかしさ、
肝心の大石の気持ちが読めない焦燥感、それでも信じたいというせつなさ・・・全部が克明に伝わってきます!!
でも、エロキューションが強くなりきれない(^_^;
キリキリと網豊に迫っていく場では、声が高くなると、あ、この人女形なんだ!と思い出してしまいます(^^ゞ
ん〜、此れは困った!!

もう少し落ち着いてきたら声も使い分けバッチリになるのでしょうか・・・あんまり強くなられても
女形が良い分、その辺も微妙だわ(^_^;

敵役のお年寄りに歌江が出てます(^^)
さすがの雰囲気です♪この人出ているだけで大家の奥御殿とわかります(^^)
下げ髪なんかにして(^_^;
良い役やらしてもらってねm(__)m
永山会長、こういう人大事にしてくださいませm(__)m


「蜘蛛の拍子舞」

もう〜、これは夏芝居の中詰めか!フィナーレか!というトツプ揃い踏み♪
ニューヨーク公演で気を吐いた勘九郎が、とにかく一部・二部・三部に全部顔出しします、という気合の舞台です(^^)
メズラシヤ!赤っ面です♪坂田金時なんだも〜ん♪
蜘蛛の呪いに取り付かれてる源頼光が三津五郎、
碓井貞光が橋之助、渡辺網に弥十郎、卜部季武に高麗蔵です。
弥十郎といえば、俳優祭りのテレビ中継のレッドバトラーを思い出していかん、いかん(^_^;
ツケまつげがやたらに似合って、ホンちゃんで行けそうだった・・・怖い\(^^)/

まあ、要するに「源頼光と四天王と鬼」のシリーズなのですが、主役は勿論鬼女の福助なんだけど、
弟の福助に似た化け物、とか、兄貴の福助に似た化け物とか言われてお気の毒ですm(__)m

しかし、これ、芝翫もやっているはずなのに、ナント玉三郎だよ、福助(^_^;
黙ってオメメ閉じて聞いていれば、まんま玉三郎です(^_^;
九月は五代目福助(例の「慶ちゃん福助」、芝翫の父)の没後七十年ということで、芝翫は忙しいのかな(^_^;
それとも、やはり、習うなら他人に習っておいで、という親心なのでしょうかねぇ?

まあ、玉三郎も「関之扉」の墨染なんて、芝翫そっくりの墨染でやりましたから、
そのへんの梨園の貸し借りはわっかりまへん(^_^;

もともと「蜘蛛の拍子舞」って六代目の歌右衛門しか出してなくて、その死後、芝翫と玉三郎が一回ずつやっているだけです。
まあ、「お艶殺し」や「時鳥殺し」など、福助も玉三郎によく教わっているから、本人たちは自然なんだろうけど・・・。
でも、教わるのは教わるで、もう自分の声で演じて良いと思うんだけどなぁ(^^ゞ
そっくりさん大会じゃあるまいし・・・しかし器用ですよ、福助(^_^;

蜘蛛の糸も華麗に撒いて、御引きずりのままの六法も一回踏みそこない?と思ったところもありましたけど巧く決まって、
けっこうでした(^^)
大体、こういう後ジテありの役は、芝翫や玉三郎ではひ弱に感じますが、
趣味が野球で体育会系の福助だと逞しくて安心してみてられる(^^ゞ

結構でないのは、病鉢巻の頼光の三津五郎で、いくら病人の役でも、お疲れ?と聞きたくなる感じです(^_^;
団十郎の代役で見事な弁慶をやったり、今月は第二部で蘭平で大車輪で疲れたのかな?
もともと小柄なんだけど、なにやら今月はちっちゃいと感じてしまう(^_^;
ちょっと心配!!何しろ24日は三津五郎の蘭平を見に行くんだから♪
えっ?勘九郎?第三部はパスです・・・四谷怪談だもの・・・嫌!!
そのかわり、第二部はこの興行の主眼部分で「蘭平物狂」と勘九郎の舞踊劇「仇ゆめ」という組み合わせなのです(^^)
とにかく、三津五郎さま、お大事にm(__)m

そうそう、これは大薩摩連中が、最初から床に座って歌うのですね(^^ゞ
のっけに「文五郎!」って掛け声がかかってびっくりしちゃいました(^_^;
長唄の方で岡安晃三郎ってのが立歌だったのかな?
大薩摩に張り合ってなかなか良い声でした(^^)
(大薩摩も長唄の一流派らしいのですが不詳m(__)m)

イヤホンガイド

この辺のこともイヤホンガイドを使えば解説があるのかも知れません。
勿論耳の不自由な方が、イヤホンガイドによって台詞が聞こえた、という場合は別ですが、
ふつうに見る、聞くことが出来る人が使うのは、私は大反対!!

演劇やオペラ・バレエなどは感性で見るもの、触れるものです。
舞台のライブを五感の感覚を総動員して受け入れて、それから後の解説です。
先に解説を聞いて、右見て左見て、花道から出ます、といわれて花道向いて、それで何を観劇するのでしょう。

言葉がわからなくても、筋がわからなくても良いものなら、本物なら全身全霊で受け止めることが出来るはずです。
また、そういう舞台を見せることが出来なければ本物の役者、本物のエンターテイナーとはいえないと思います。

いつぞや「屋根の上のバイオリン弾き」の最前列にズット眠ったままの観客がいる、失礼な奴だ!
と、舞台で怒っていたら、どうも変だ?
よくよく見たら、目の不自由な観客だった!!
一同ビックリして、目が不自由で舞台見に来てわかるんだろか?と疑心アンギでいたらお礼が届いたんだそうです。
舞台の素晴らしさに触れて感動しました。目では見えないけど、全身で舞台を見ることが出来ました、って!!
舞台ってそういうものです。
こないだのギリシアの蜷川オイディプスも、ギリシアの観客が字幕など要らない、よくわかるって!!
それが舞台です(^^)
私メも大昔、ジルベール・ベコーの公演で、日生のイッチバン後、背中が壁にくっつくところで見ました!聴きました!!
もう、その頃、既にピークを過ぎたと言われていたベコーのナント素晴らしかったことか!!
勿論歌はおなじみのナンバーですから知らないものは殆ど無い。
でも、当然語りはフランス語です(^_^;
私はフランス語なんてまるでわかりませんm(__)m
でも、わかるんですよ!!
何を言っているかが(^^)v
こちらが全身全霊でベコーを受け入れようとすれば、ベコーの言う言葉がわかるのです(^^)
それは錯覚かもしれない?思い込みかもしれない?
でも、演劇って、芸術ってそういうものでしょ。
解説など、自分が不思議だと思ったことを後から調べる、まあ調べるのが面倒なら聞いても良いのです。
全身で感じることが出来なくて、何を見るのかな(^_^;

そうそう、今日はまた久しぶりに三階後部B席ですか・・・今月なんて1680円ですよ(^^)
ヌ−34です♪
歌舞伎座は、他の劇場に比較しても三階が低いのでよく見えます(^^)
まあ、花道は無理ですが、今月の出し物などはさして使うところもないし♪
例えば使ったとしても、花道が直に見えないときは、劇場の空気で観ることも出来るのです(^^ゞ
所作事なら、囃子方の表情で、今花道をどうやって出てくるかとか、ね(^^)
初日早々に囃子方に見捨てられてる主役もいれば、楽も近いというのに囃子方がじっと目を凝らして見ている踊り手もいます(^^)
それもライブの醍醐味です(^^)
歌舞伎の三階!安い!!ありがたい!!
今月なんてホントにおとくです!!
ねぇ、だから、見てくださいませm(__)m

思い出した!!
そういえば私は、三階の常連ですが、昔は一階も桟敷
(桟敷は下手側だけ、まだ畳みに座椅子の頃です(^_^;)もけっこう見たのです。
勿論、ご招待、ご招待♪
でも、二階って見たことないのよ!!
普段三階だから、見るときは平土間が良い、と、つい一階になりますが・・・ケチ(^_^;
一度は二階で見なくっちゃね(^_^;

いやぁ、でも今買うとなると自費ですからね(^_^;
もう、きっと三階onlyだなぁ・・・(^^ゞ



歌舞伎座の公演案内

「歌舞伎のお勉強」という「おたべ」様という方のサイトを見つけました(^^)



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