8月21日(土)

能「檀風(だんぷう)」

シテー前シテ  大槻 文蔵
      後シテ  観世銕之亟  
    子方   上田 顕崇
    ワキ   福王茂十郎
ワキツレ 福王和幸・福王知登・山本順三・是川正彦
アイ  山本泰太郎・山本則孝
大鼓  亀井忠雄
 小鼓  大倉源次郎
 太鼓  三島元太郎
笛   一噌仙幸


横浜能楽堂の「シテとワキ」シリーズの五回目ということでした。
今回は曲自体が復元曲ということで、それかあらぬか、問答形式が多くて、謡の部分は殆ど地謡が担当したような感じで、
ちょっと物足りない気分ですが・・・(^^ゞ
一度観たい、観たい、と思っていた観世流の大槻文蔵と福王流というワキ方の御流儀です。
しかし、結論から言えば、今日は亀井忠雄・大倉源次郎・一噌仙幸に尽きる!!ということです(^^)v

勿論、大槻文蔵もよかったし、福王茂十郎なんて、もぅ〜、すごぉ〜いよかった\(^^)/
子方も素晴らしくて信じられないくらい(*^-^*)

でも、でも、でも・・・・あの大鼓・小鼓のバリエーションと、あの笛の音色は・・・初めての経験!!
大倉源次郎と言えば、あの大倉長十郎師の長男です(^^)
長十郎師は、あの道成寺バリエーションの全てに登場してシテに合わせて打ち分けていた大名手です!!
泣いちゃうよぅ・・・感激、感動・・・んでもって、やっぱり最高\(^^)/
ナマで聞いて、こんなに素晴らしいとは思わなかったのです♪
それにもまして亀井忠雄師の大鼓も素晴らしかったのですよ!!
過不足ない調子と深い音色から紡ぎ出されるスケールの大きさがなんともいえません。

で、これでお笛は〜?と心配したら、もう〜素晴らしいのです華やか過ぎず沈みすぎず。
今日は「名乗り笛」という感じの第一声ではなく、そこからドラマが始まる、という「開幕ベル」という役割でしたけど。

しかも、この素晴らしい囃子方が、当然のことながら邪魔にならないのです。
自分たちの役割でない時は、さーっとその存在をかき消してしまうのですよ!!
よく分からない(^_^;なんでそんなことが出来るのでしょう・・・いるのにいない!!
そして、出番の時には、凄然と、粛々と自分たちのパートを打っている筈なのに一つの音にしか聴こえない!!
大変なものを聴いてしまいました\(^^)/

大槻文蔵氏はさすがに、関西の観世流の雄、と言うことなのでしょう。
小柄で声もちょっと線が細い気がしますが華やかな音色と
直面でも見劣りしない美々しい顔立ち・気品ある風采で大変結構でした(^^)
ことに、今日のシテの役柄としては「後醍醐天皇の腹心、壬生大納言」という格式なので、
それに関しては文句なしm(__)m
オーラもまぁあるし・・・でも、今日の曲自体がちょっと物足りないからその辺はいたし方ない所もありました(^^ゞ

感激は福王茂十郎・和幸父子?だろうなぁ・・・二人とも直面で絶品の、
特に和幸氏の方は、今日のお役の御家人本間三郎という武骨ながら情のあるキャラにピッタシのエエ男はんどす〜(^^)
声も言うことなし!!歌も問答もさらに言うことなし(^^ゞ惚れた、惚れた♪

茂十郎氏の方は、風采・問答とも言うことなしですが、
山伏として、壬生大納言の亡骸を葬るシーンが荘厳で素晴らしいですm(__)m最敬礼
会場に悲壮感と粛然とした雰囲気が漂います。

後シテに観世銕之亟氏がご出演で、この間のことがあるから心配していたのですが、
こちらは謡もはっきり聴こえたし、オーラもソコソコあったし、
わずかの出ですが結構でした(^^)
ん〜、大槻文蔵氏と良い勝負、というところですか(^^ゞ
だとすると、お互いによかったのかな♪

そして、特筆は、前回と同様子方の上田顕崇君!
前回の小田切亮麿よりは幼いようで10歳くらいかな〜と思ったら、ピッタシカンカンでした(^^)
しかし、自分の紹介サイトがあるとはビックリ!!
まだ変声期前のボーイソプラノとも言うべき高音で、しかも相当鍛えられているのです。
さすがに立ち居振る舞いでは小田切くんに一日の長があるように思いますが
(キャリアは分からないけれどあっちの方が年上だと、と思う)、
謡いというか、発声では、断然上田君でしょう。
さすがに、声を張り続けると揺るぎがでますが、張りが強く節回しも「巧み」と言ってよいと思います。
橋懸りでの茂十郎氏との二重唱は低音と高音が素晴らしいハーモニーです(^^)

今、検索して、関連記事を見つけてきたのだけれど、
「檀風」は一九八五年、観世流では百年ぶりに復曲したもので、福王氏自身が手がけた、ものだそうです。
しかし、あまり後味の良い話ではないのですネェ(^_^;

粗筋は・・・
後醍醐天皇の腹心の壬生大納言資朝が謀反の罪によって佐渡に流されている。
その佐渡を預かる御家人が本間三郎。
幕府から命令が来て資朝の処刑が決まる、とそこへ、都から資朝の子、梅若が山伏に付き添われて父親に逢いに来る。
本来、囚人には絶対合わせてはいけないものを、わざわざ都から幼子が訪ねてきたと知って、会わせてやろうとするが、
資朝は自分には子どもはいない、と偽って逢おうとしない。
しかし、いざ処刑の時、梅若が飛び出してきて、名乗りをし、
本間に子どもが同罪にならないために偽ったことを侘びて、せめて、この子は助けて欲しい、と頼む。
本間は、当然、そのつもりでいる、明日早朝に船を仕立てて送り返してやるから安心せよ、と言って資朝を討つ。
山伏が亡骸を弔いたいから下げ渡してくれ、と言うのにも快く下げ渡してやるので、
資朝は手厚い弔いをしてもらえる。
ああ〜、それなのに、それなのに、
梅若は、本間を討つのだと言うのだ!!
山伏から、本間は幕府からの命令に従っただけで、本当の敵は北條高時だ、と諭すが、
現在、自分の目前で父を討った本間が敵だと、耳を貸さない。
致し方なく、本間を討つことにして、二人かがりで寝込みを襲い本間を殺してしまう。

その後、佐渡島という閉ざされた敵地を逃げるために船をとらえるが、そのような咎人は乗せられない、と断わられる。
そこで、山伏が日頃三野詣に精進していることから、熊野権現が現れて「神風」を吹かせて、
船を無事に捕らえて都に逃げ去ることが出来る、
というお話です。

ねぇ・・・あの時代には無理もない、と思われたのかもしれないけれど、
今ならかなり恩知らずだなぁ・・・と思ってしまう(^^ゞ
まあ、子ども心に、自分の目前で父を討った本間が敵だ、というのは理解出来なくも無いけれど、
どうして、そこで、山伏があっさり承服しちゃうのかな・・・(^_^;
これって、主従?念者?の関係だというのを表しているのでしょうか(^_^;
船を出さない、船頭に、山伏が、自分はともかく、この稚児だけは助けて欲しい、というところもあります(^_^;

そうそう、この福王さんは2001年に「泰山木」という曲の復元で、文部大臣賞も受けているのです。
復元はお手の物なのかな?
それにしても、作品自体、いくら能や歌舞伎は理屈を言ってはいけない、と言ってもちょつとなぁ(^_^;

福王氏がよかった分、作品自体、もう少し後味がよければよかったのに・・・と思うのは欲張りですかね(^_^;

。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜

終演後、アホネーチャンが迎えに来てくれる、というので待っていたら、お友達に会えました(^^)
お友達はご主人様とお出ましでした(^_^;涎、涎
いいなぁ♪
大体、いつもズボンとトレーナー姿が多いのに、今日はとってもドレッシーに決めてる!!
フゥン、ダンナと一緒にお出かけって言えば、ヤッパこうなるわけか(^_^;

アホネーチャンが来たので車に乗り込んで早速その話をして、
でも、ママなら、やっぱり、この格好だなぁ・・・と溜息三斗(^_^;
だって、スカートだとヒールのお靴履かなくちゃならないでしょ・・・この足では無理だわ(^_^;
明日は、また整体で、ちょっとはビッコが直るといいな(^^ゞ





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