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8月24日(火)

「蘭平物狂」

「仇ゆめ」


夏芝居第二弾・・・第二部です(^^)

これが今月の一番面白い所じゃないかと思いますが、
「蘭平物狂」の方は三津五郎、「仇ゆめ」は勘九郎、と主演を分けて、がんばっとります(^^)

「蘭平物狂」
こちらは、刃物を見ると錯乱してしまう、という奴、実は伴義雄(伴善男ではない(^_^;)が親の敵討ちのために
在原行平の邸に住み込んで、どんでん返しの連続で、
歌舞伎によくある、実は、実は・・・と言うわけで、ストーリーはどうってことないのですが、
立ち回りを見せるのが大眼目の出し物です。

歌舞伎に必要な殺陣が全部納まって、またそれ以上の大掛りな殺陣もあって、
主役は勿論、絡みの連中が大車輪\(^^)/
こういう出し物は主役が大根だと絡みが本息になれないし、絡みが本息で絡まないと、これまたみっともない(^_^;

もう、今日は、三津五郎も大車輪、絡みも命がけ、という大技を披露して会場は熱気むんむん(^_^;
ことに、最初の歌舞伎らしいまったりした殺陣から、後半になってみんな疲れてきたところに、
もの凄いスピードの棒術あり、花道に梯子ブッ立ててその上で逆立ちする絡みあり、
屋根の上からトンボを切るのは当たり前で、
わざと石灯籠の上に落ちて、床にトンボ切りなおすのもあり・・・大変でした\(^^)/
三津五郎も、逃げたり、追っかけたり、
グルグル回るところでは、ぶっかえりの衣装の裾が綺麗に円錐形に広がって、
体の心がまっすぐになっているバランスの良さが良くわかります・・・普通の役者ではなかなかこうはいかなくてネェ(^_^;



「仇ゆめ」

これはその昔、日生劇場でやった、西川鯉三郎主宰の西川会で、
勘九郎の親父の勘三郎と、天下の二枚目長谷川一夫がつきあって、出した演目で、
いかにも北條秀治が書いたらしい脚本です(^^)
あの↑三人は、ゴルフ仲間でもあり公私共々仲良しグループでしたから、まあ宛書ですね(^^ゞ

よって、勘九郎も労せずして、というところもあり、また一寸手に入りすぎて、
舞台で吹いたりするところもあって・・・この所、これが勘九郎の悪いくせ!!
舞台で吹くのは最高に行儀悪いですよ!!・・・嫌だナァ(^_^;

で、まあ、島原の深雪太夫に恋した狸が、深雪太夫が恋している踊りの師匠に化けて郭に行って・・・、
最後には、正体が見あらわされて、ひどい目にあって、それでも、深雪の傍で死にたいと命がけでやってくる、
狸の心を汲んで深雪太夫も「こちの人」と呼んで見取ってやる・・・というお話です♪

いかにも鯉三郎のイメージです(^^)
それを福助が過不足無く演じて、今月はいいですね(^^)
こちらは、玉三郎のマネッコでもなく、普段の福助で、それでも、
第一部の声の出し方の影響か、普段のキンキン声でなくて大変よいよい(^^)
この人の良いところは、普通の女形ではできない三枚目のところで、それもぴったり\(^^)/

扇雀の踊りの師匠も、長谷川張りで二枚目なのに真面目一方というのがぴったり♪
この長谷川と扇雀の縁も知っている人はもういないでしょうねぇ・・・寂しいです(^_^;

染五郎が郭の亭主を引き受けて楽しそうにやってますが、せいぜい番頭どまりだね(^_^;
こういう役は、一に年期、二に年期、三・四が無くて五に年期!!
まあ、番頭だと思えば、ご陽気でけっこうで♪ということかな(^^ゞ
勘九郎とアチャラカだけど一緒に踊るシーンがあって、
よく幸四郎の踊りを、あれは日本舞踊じゃない、ダンスだ、という人が多いけれど、
幸四郎はそんなに気にならなかったけど、染五郎のこれはモロ、ダンス(^_^;

勘九郎は↑手に入りきってらくらく\(^^)/
惚れた弱みと畜生の浅ましさ、それでいてお馬鹿っぽい純粋さも出して、
ドタバタの中にも、ペーソスがあるところがさすがです(^^)v


ナント!清元の立歌を延寿太夫(清太郎)が歌って・・・まあ、ビックリの巧さですm(__)m
「十六夜清新」(2002年3月)の時、
延寿太夫の名前が立唄しか歌えないなら
立唄らしい立唄が歌えるようになるまで出るな、と言ったんだけど、今月はお見事m(__)m
二年の月日は凄いものです(^_^;

両演目で、福助の子どもの児太郎がけっこうしどころの多い役を男女両役振り分けて、
こなしているんだけれど、先月・今月のお能で凄い子方を見てしまうと、やっぱり声が物足りないです!!
まあ、歌舞伎の子役の台詞の言い方があるから、たどたどしい感じで喋らなくてはならないけれど、
現に名子役だった幸二はもっとしっかり喋っていたんだからネェ(^_^;
まあ、昔の幸二今いずこ(児太郎のおじさん、橋之助(;_;))!!
ただ、演技力と立ち居振る舞いは、まあソコソコ、と言ったところです。
それと芝居心はあるらしい・・・声ですねぇ(^^ゞ
だって、役者は一・声、二・目、三・姿だよん(^^ゞ





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