10月5日(火)

「ミス・サイゴン」

ん〜・・・3700円(ホントは4000円の席、OMCの全館貸切のため)返して、とまでは言わないけど、ねぇ(^^ゞ

まあ、市村正親演じるエンジニアというアメリカン・ドリームを夢見る底辺に生きる男のバックに、
マダム・バタフライのキムの恋がある、というところかな(^_^;

セットとアンサンブルの処理は良い。
スペクタクルの仕掛けも結構・・・ヘリは思ったよりチャチだったけど(^_^;

ストーリーがねぇ・・・もうちょっと練りあげて欲しい。作ーアラン・ブーブリル。
音楽がねぇ・・・曲がイマイチだと思う、クロード=ミッシェル・シェーンベルクだって。
ストーリーと音楽がイマイチで何でミュージカルだよ!!って感じだなぁ・・・何がよくてロングランなんだろうか(^_^;

これ、市村正親じゃない時は、どうなるんだろうか?
筧利夫はソコソコ良いと思う♪市村よりもっとセコクテ、そのぶん粒は小さいかもしれないけど、見せるんじゃないかな♪
別所哲也はどうかな・・・ニンにはあってるよね♪
ただ、ちょっとマフィアみたいになっちゃ困るわけで(^_^;
橋本さとしって人も劇団☆新幹線だって・・・筧利夫と一緒。筧はソノアト第三舞台だそうだけど、
この頃、ちょっと良い役者だな、と思うと、みんなこの当たりなんだよね(^^ゞ

キムの松たか子はソコソコ(^_^;
クリスってつまんない役でねぇ・・・俳優が可哀想(^^ゞ
坂元健児って人は歌は巧いけど、声伸ばしすぎなんじゃない(^_^;
声量豊かなのは分かるけど、ウルサイ(^^ゞ
石井一孝は別の日はクリスをやっていて、今日はジョンで、役として儲け役♪
でー、よかったです(^^)
ついでに言えばクリスの坂元健児は別の日にジョンをやっているそうです・・・たぶん、そっちの方がいいと思う(^_^;
石井一孝は、どうも「大地真央の相手役」というイメージしかなくて、主役が来ても評判イマイチのようですが、
二枚目の雰囲気だけは持ってます(^^)

ジョンは今井清隆もやってるのです♪それが見たい!!

「モーツァルト」のナンネルで大ショック(良い意味でです!)だった高橋由美子は、今日もヒット!!
松たか子と代わってもいいんじゃないの、てな感じでした(^^)
敵役のトゥィという役をやったのが今日は泉見洋平という人で芝居も歌も巧かったな(^^ゞ
主役と言う感じじゃないけどソコソコの舞台なら主役張ってもいいかな・・・但し二枚目ではないm(__)m

総じて気になったのは「地声」で歌う発声法、というか歌唱法!
今時のミュージカルの特徴なんだけれど、これがちゃんと発声の出来ている人たちが歌う地声ならともかく、
地声で歌うしか出来ない?というのかな、発生の基礎がきちんと固まってないような、
ただ音程をはずさず、声量があればいい、というようなベタな歌い方なのが気に掛かるのですね(^_^;
私はよく「ナマ声」と言う書き方をするのだけれど、地声ともいえないナマ声なのです。

ドッカのジャズメン狂いのおばさんが書いていたような「ミュージカルの方が」というのは、実はわからなくもない(^_^;
昔、宝塚の演出家の内海重徳氏が歎いていたことですが、
「日本人は声量が豊かだということは大変評価するけれど、柔らかく歌う、と言う技術が理解できない」
ということで、
当時、日劇ダンシングチームの藤代彩子だけは、
日本人にはみられない柔らかい歌い方のできる人だと評価していたのです。
そう!彼女の「アドロ」忘れられない!!何歳の時聞いたのか・・・たぶん17〜8歳だと思うんだけど(^^ゞ
で、それに続くのが上月晃で、その柔らかな歌い方を大事に伸ばして欲しい、ということだったのです。

これは喉を中心に歌うからなんだと思うのですよ(^_^;
それこそおばさんたちのカラオケみたい!!
声帯を平べったくしてるというか、ホントは、もっと縦にしなくちゃ駄目なんだよねぇ・・・そして体全体に共鳴させる。
歌は腰で歌うという都はるみみたいな人もいるけど、とにかく喉だけでは歌えないのです。
勿論、昔と違って今は専門のヴォイストレーナーが付いているんだから、そんなはずはない!
昔よりよくなっているはずなんだけど、昔より体全体に共鳴させて歌う人が少なくなっているのです。
特に女性・・・今回の松も高橋もそうだよね(^_^;
あんな歌い方で、よく喉を壊さないと思う!!
で〜、だから二人とも歌い方そっくりで、声そっくりで、
エレンとキムの二重唱になる所なんかが、かえってバランスとれないんです(^^ゞ

美輪明宏なんか勿論体全体を共鳴させて歌ってるし、
あの淡谷のり子の最晩年のヨロヨロした歌だって、体を通して歌ってましたよね。
石井好子なんて、82歳で、まだまだ十分体全体でバッチリ歌ってる(^^)v
例えば同じ地声で歌っても島田歌穂だと、体全体で歌うのが分かります。あんなふうに聴こえない!!
普通の歌手でも岩崎宏美やマリーンは体全体で歌うでしょ。
亡くなった越路吹雪なんて人は、ささやく様な小さな声で歌っても体全体で歌っていました♪
あ、体全体って言っても単に体当たりで歌う、というのとは違うのですよ!!
体全体に共鳴させて歌う!!

松も高橋も舞台経験も豊富なはずだし、体に共鳴させて歌う歌唱法をトレーニングしているはずなんです。
そうでなければ何ヶ月も毎日歌い続けることは出来ないですから。
一つには今のマイクの性能のよさも否定的な意味でよくないのだと思う。
そんなに出ない声でもミキサーの具合でどれほどにも大きく出来るでしょ。
そうすると、今日のクリスみたいになるんじゃないか、と思うのです。
とにかく、あのベタな歌唱法はどうにかなりまへんか(^_^;

これは、四季の歌唱法の影響もあるのかな、と思う。
四季はベタな歌い方するよね・・・オトコもオンナも・・・ミュージカル全体に四季出身者が増えている、
ということもあって影響は大きいんじゃないかな(^_^;
あそこはそれこそ音大出がゴロゴロしていて、発声だって凄い訓練されているのに、かなりベタな歌い方をするのです。
宝塚も、この所ベタな歌い方が増えてますよね・・・代表が一路真紀と涼風真世なんだけど。
ただ、涼風は喉が強いから、あのベタな歌い方でも喉を壊さないけれど、
一路は喉がそんなに強くないから何度も炒めている!!
何もオペラのように歌えというんではないんでっせ!
ただ、ベタな歌い方をナントカして欲しい。体全体で歌って欲しいのですm(__)m
体全体を通してナマ声でなく歌って欲しいのですね。


もうひとつ
私が、今迄、ミス・サイゴンを見なかったのは、ベトナム戦争を舞台にした、ということにチョイ引っかかっていたのです(^_^;
沖縄に遊びにいけないのと一緒(^_^;
(そのわりにグァムには二回行っているから大きなことは言えません)

私たちの年代で言うと、ベトナム戦争というのは、他国の戦争ではない、と言う気がしているのですね(^_^;
勿論日本が参戦しているわけではない。
日本が被害を受けたわけではない。
でもねぇ・・・(^_^;

先日、某サイトで若い子が、日本人は第二次世界大戦から、戦争はないと思ってる、
なんて偉そうに言ってたけど、お前なあ・・・と言いたかったけど、
此ればかりはあの時代に生きていた人間じゃないと分からないんじゃないのかな(^^ゞ
私の大嫌いなテ○ー伊藤だって、彼の片目を潰したのは、
ベトナム戦争反対のデモに行ったからだよ!!
そういう点では、たとえ嫌いでも、テ○ー伊藤はそれなりのオトコだと敬意は払っています。
大体「殺し屋ブルース」も知らないガキが何をほざくか!!

まあ、見終わってみれば、結局「ベトナム戦争」なんて言葉遊びの程度でどうってことはないのだわ。

ただ、ジョンという人間の役作りは「アメリカの正義」ということを皮肉にもあぶりだしているように思えるのです。
戦争に打ちひしがれたというイメージのクリスに比較して、
戦場では優秀な仕官、戦場から戻れば、GIの残した戦争孤児の面倒を見て、我々の責任をとろう、と
民主社会での自分の役割を、居場所をしっかりみつけて旗を振る・・・
機会を設けはするけれど、それから先は皆さん、ご自分の責任で〜と、放り出す(^^ゞ

正にこのミュージカルはアメリカン・ドリームを目指すエンジニアと
アメリカの正義を歌うジョンの戦いなのかもしれない(^^ゞ

キム?クリス?エレン?・・・そんな人たちはどの時代でも、どこにでもいるからねぇ(^_^;
大体、あのストーリーでは、キムはクリスを愛してる?
特別の環境で出会って最初に体を与えた男、と言うだけで愛している、とは思えない・・・錯覚はしているのだろうか?
彼女が愛しているのは自分の夢と子どものことでしょう。

クリス?彼だって特別な環境でキムというものめずらしい対象を見つけて逃れただけでしょう。

可哀想なのはエレンだよねぇ・・・アメリカ社会で、ベトナム帰りで失語症にもかかっていたと言う男を支えて、
やっとナントカしてきたと思ったら、戦地に愛人と子どもがいたと知らされて・・・
おまけに今度はその愛人の子を育てなければならなくなるわけで・・・(^_^;

「百十一万の人が泣いた初演」という・・・どこで泣いたのかな?
泣くとしたら、二部のオープニングで、ジョンがベトナムのGIの残した戦争遺児たちを「我々の子」として、
救援を求めた時位かな(^_^;
バックに当時の映像が映ります。
ベトちゃん・ドクちゃんの姿も思い出されて涙が出ます。
もっとも、アメリカでベトちゃん・ドクちゃんのことは丸秘事項だと聞きました!知っている人は大変限られているそうです(^^ゞ

まあ25分の休憩を挟んで一部70分、二部65分じゃ、こんなものかね(^_^;
それにしても、帰りに口ずさめるワンフレーズくらいは用意しろよ!音楽家!!


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