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3月9日(水)

「十八代目中村勘三郎襲名興行」
歌舞伎座

今日は、朝、源氏物語
昼、国立博物館
夜、歌舞伎座「十八代目中村勘三郎襲名興行」
疲れ果てて帰宅(^_^;

え〜、で結構でした\(^^)/
殆ど完成品の人なんだから、よくて当たり前!悪けりゃ困っちゃうんだけどよかったです(^^)
でも、と〜ってもよかった、とか多によかった、と書けるかと言うと・・・微妙だなぁ(^_^;

まず、 「近江源氏先陣館―盛綱陣屋―」

これは、「微妙」という老婆の役が、俗に言う「三婆」と言う大役なんですが・・・
これ芝翫に全部持っていかれた、と言っていい(^_^;
しかし、ホントに良い役なんですね(^^)
佐々木盛綱・高綱兄弟の母です。武家の後室という品位と「女ながらも武士の妻」という意気が無くてはいけないわけで。
それでいて、子・孫に対する愛情も遺憾なく発揮しなくてはならない!!
芝翫は素晴らしい微妙でした(^^)v
福助の篝火も小太郎の小四郎もまあまあよかつた(^_^;
まあ、現実の親子孫三代で、これも果報だよね♪
しかし、小三郎の宗生には負けちゃいましたね♪いくつかな?たいしたもんだぜ(^_^;
舞台度胸もあるし、台詞もしっかりしてるし、ちゃんと寸法覚えてわかって動いてます。フーム!
親父の橋之助も子役時代は名子役だったんだけど・・・名子役が大成するのは難しい(^_^;
だから勘九郎と三津五郎は別モンなんですよ!(三津五郎にも、それをよく考えて欲しいんだけど(^^ゞ)


中幕は孝夫さん(仁左衛門)の「保名」

これは退屈な踊りでネェ・・・最初の出が綺麗なだけで、どうって事ない踊りです。
四回目くらいでしょうか・・・毎回眠ってますが・・・だから、よく覚えていないけれど、
橋蔵が特別公演で踊った「保名」だけは・・・なんとなく記憶にある。
後、橋之助の「保名」があまりに下手で呆れた事(^_^;
だから、嫌な予感がしたんだわ!案の定半分くらい眠った!
でも清元がよくて、此れが清太郎の延寿太夫ですよ♪ホントに巧くなったのですよ・・・年月って大変なものです(^_^;
あ、田中伝左衛門が鼓のソロを、地方のひな壇の下に一人分の緋毛氈が引いてあるから、あれ?と思ったら。
伝左衛門、つまり亀井忠雄さんの次男、弘忠くんの弟さんね♪が出て、鼓のソロです♪
凄い巧いと思う。ただ打つだけでなく、弱い調子のバリエーションが巧みです(^^)
お能の鼓も強靭なしなるような音色と弱くて遠く響かせる打ち方をする時とあったりしますが、
こういう曲に乗った弱い調子の打ち方はお能ではしたかな?歌舞伎独特?

孝夫さんは十二分に綺麗だし、スイスイと踊っているけれど・・・なんとなくそれだけ(^_^;
んんん・・・今月は引き立て役なんだから致し方ないですが、まあ、丸々一本自分の出し物出すだけで大変なものですけどね(^^ゞ
幸四郎なんて、「盛綱陣屋」で「ご注進、ご注進」だよ(^^ゞ
これまた豪華なご注進だったけど♪


「鰯売恋曳網」

これは、三島由紀夫が歌右衛門と勘三郎に宛書のように書き下ろした傑作で、
勘三郎の生前から、勘九郎が玉三郎と復活してやってました♪

これで、お姫様が売り飛ばされた傾城、というのが玉三郎で、「風鈴お姫」をパロった設定ですね(^_^;
で、同僚?の傾城に扇雀・勘太郎・志のぶと並ぶのですが、本来はここに七之助が入るはずでした(^_^;
それを誰が変わったのかな・・・もうプログラムにも痕跡なく書き換えてあって分からないのですが・・・。

まあ、とにかく綺麗!!玉三郎が!!

一連隊が並んでいると、やっぱり志のぶが一番綺麗で目を引くし、台詞もうまいんだけど、
私は贔屓が勝ってるからか、幸せ薄そうな勘太郎がいかにも親のために苦界に身を沈めた優しい娘のように見えて好き♪
いや、勘太郎!もうゴツクナイデス!!ホントに(^_^;
扇雀はいかにもふっくらはんなり、その上しっかりのオキャンな傾城ぶりでいいんだけど、ちょっと濃すぎるなぁ(^_^;
とにかくこの一連隊がけっこう綺麗だと思っていると、もう玉三郎が出てくると、綺麗のレベルが違います!!
棲んでる世界が違うのよ!!
なんと言っても言わなくても玉三郎は月の世界の人なんですねぇ・・・。
汚くならないうちに早く死んで、と○右衛門の晩年を思うと、つくづくそう思う!!

左団次も痩せてスッキリして・・・本とは病気のせいで痩せたんだろうけどかっこよくなったし(^^)
弥十郎もこの披露興行のメンバーで良い役取ってるな、と思ったら、勘九郎と幼馴染で遊び仲間だったのね♪
どうりで、この所、よく一緒の舞台で良い役とって、しっくり相性もいいと思ったんだ(^^ゞ

さあそこで
新・勘三郎。
どれも外見はとってもいい!!
「盛綱陣屋」の盛綱も、「鰯売恋曳網」の猿源氏も・・・顔も所作もも大変に形よく決まって、スケールも大きいし。
勘三郎にこんなに似ていたかな、と思わせるし。
ところが、台詞回しが、気にかかる・・・まあまだ一週間で手探りということもあるんだろうけど。
「鰯売り」はともかく、「盛綱」は苦しいです(^_^;

時代物では台詞回しが、はっきり明解というだけのものでもないんですよね。
巧くいえないけど、例えば・・・
命じられて「ハハァ」と平伏する所、[hahaa]ではないのですね。[hyahyaa]と言うと近いかな
同じく「武士の末」という「末」は[suwe]でなく[tuwe]が近いかな(^_^;
ストレスが書き込めないけど・・・。
それをわざとらしい発音しては駄目なんですよ(^_^;

時代ものでよく気になるのは「きゃいのう」って、これは落語の題にもなっている、有名なフレーズというか、語尾なんだけど、
これが、笑い事でなく、今の若い役者には言えないらしい(^_^;まあ、今日の話ではないですが・・・。
「ゆきゃ(行きなさい)」「こちゃへ(ココへおいで)」「しや(しなさい)」・・・なんて、とこが、
もろ「や」が大きくなってそのまま発音しちゃうんですね、これがぁ〜!!
「そちゃ(そちは)」と言う言い方はみんなできるんだから、言えるはずだと思うんだけど(^_^;

世話物なら、例えば直次郎が三千歳を尋ねてくる寮の戸をあける所では、手引きの花魁に、
「おー千代鶴さんか」「直はんかえ」という応答が
「おー、ちよつらんかぁ」「のおはんかいえぇ」という・・・これもうまく字面で表現できないんだけどね(^_^;
そういう、字面で表現できない音が話せなくちゃ駄目なんで、というか話せるはずなの、勘九郎、いや、新勘三郎は!!
もう後一週間いるのかな(^_^;なんたって、歌舞伎は稽古が少ない(すけない)からね(^_^;

玉三郎と一緒に花道引っ込む、最後の最後に吹いたりするのはお行儀悪い!!
こないだから、この点については、私は面白くないのです(;_;)
「浅草パラダイス」で、悪い癖が付いたと思う(;_;)
藤山直美は吹いてた?
親父の藤山寛美は、「人を笑わせても自分が舞台でわろたらいきませんわなぁ」と言うてたよ!!

そういえば禿をやった清水大希って何者?
猿源氏が蛍火との間に座っている禿を突き飛ばすシーンで見事に回転レシーブ決めて、
吹きだしもせずに「貞子風髪すき」をやって見せるのね♪偉い!!

玉三郎は、新勘三郎と普段から仲良くて、自分の番組にもゲストで出したりしてるし、
「あんたとやるなら三味線の手、倍にしよう」とか持ちかけて、
それにノッタ勘九郎がアリゾナまで三味線背負ってバカンスに行った、とかね・・・(^^)
まあ兄弟付き合いと言う感じなので、この花道で、わざわざのご披露挨拶(^^)


そうそう、今日気になったのは、花道の揚幕チャリンの音色が静かになって・・・寂しい!!
誰か煩い、とでも言ったんだろうか(^_^;
揚幕チャリンはやっぱり景気付けだもの・・・華やかにチャリンとあけて欲しいです(*^-^*)
昔は「揚幕のキサブロウ」というチャリンの名人がいたそうです♪
そういえば、「盛綱陣屋」の絡みのツケ(打ち)がどうも巧くかみ合ってないように聞こえました・・・残念!!
歌右衛門は自分の芝居のツケ打ちに決まった人が居て、年老いて引退した後も、
成駒屋の舞台だ、というと、そのおじいさんを呼び出して、歌右衛門の分だけはその人が打っていたそうな・・・遠い昔の話かな(^_^;


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