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4月16日(土)

能「西王母」
狂言「苞山伏」
仕舞「桜川」「野守」


仕舞「桜川」「野守」

桜川  長島 茂
野守  中村邦生

地謡  佐々木多門・内田成信・大村 定・大島輝久

仕舞を見て感動したのは初めてです(^_^;
今まで、仕舞というのは、よっぽど格式のある舞い手でない限り、顔出しさせた、させてもらった、
というパフォーマンスだと思っていました。
しかし、確かに仕舞は一つの物語の中の一場面を切り取った物なのですね(^_^;
今日の二人の舞い手は、ちゃんと物語の中にいました!!
ビックリした!!
失礼ながら、どちらも、そうそうメジャーな能楽師と言うわけではないようですけど(勿論喜多流の中では重鎮なんだろうけど)(^_^;

しかし、感動!

もうひとつ感動だったのは、やはり喜多流というのは、江戸時代の武士の流儀なのですね(^^ゞ
もともと、観世・宝生・金春・金剛の四流派が室町時代からの京都の能楽の流派で、
江戸時代になって、徳川将軍の後援で独立したのが喜多流だそうですが、「四座一流」と言う風に区別して言うし、
先行の流派には差別?されているのか、と言う発言を聞くときもあります。(と、言い切っちゃうとまずい?)
なるほど、この仕舞を見る限り確かに武家の仕舞だ!

ソノブン、優雅さに欠けるのかも知れませんけど・・・ちょっと、切れ味が鋭過ぎる気もしたんですね(^_^;
しかし、感動的で魅力がありました!!

いや、仕舞をナマで見たのは優雅派最右翼の観世だけだし比較にならないですが(^_^;
大昔は金剛も宝生も見ているはずだけど(金春は確か見ていませんね)、完全に忘れてるしm(__)m


狂言「苞山伏

シテ(男)  野村 萬 
アド(山人)  野村扇丞 
小アド(山伏)  野村万蔵
 

こ・れ・が、ですねぇ・・・よかったの(^^)v
いやぁ、和泉流だし、岩佐又兵衛を気合入れて見てきた所で疲れて寝るわ〜、とお友達に宣言していたんですよ(^^ゞ
ところが、おもしろかった!

山人が昼寝をしている間に通りかかった男が、その弁当(苞―つと―)を盗み食ってしまう。
そして、また、その傍に寝ている山伏のところに空の苞を置いて、盗み食いの罪を着せようとするけれど、
山伏の調伏でばれてしまう、と言う話です。

そのずるい男を、あの野村萬師が演じます。
野村萬という狂言師を始めて見たんだけど・・・いや、
なんたって、「人間国宝」と言う肩書きがついただけのことはある、と思いました(^^)
盗み食いする仕草も調伏されてきりきり舞いする仕草も巧いわ\(^^)/
顔を真っ赤にしての大熱演で、そんなに真っ赤にする所が未熟なのかな・・・とも思うんだけどね(^_^;
例の山本三兄弟の山本則俊師の狂言「寝音曲」での大変なことを、さらっと何気なく演じる素晴らしさが目に残っていますから。
キャリアから言ったら断然野村萬師の方が上なんだけどさ(^^ゞ
まあ、真っ赤になっても、これはこの場面で調度いいんじゃないのかな(^^)
(“タケシの誰でもピカソ”で、才能のある弟に嫉妬して名前継がせないとか、
弟は弟で俺の方が巧いのにって兄貴馬鹿にしてさ〜といわれた兄弟って!!)
タヨリの8世万蔵を継がせるはずだった長男万之丞に死なれて、それなりに感じる所があったのか、
私は、これが始めてなので、どうとも言えませんけどね〜(^_^;

9世万蔵を継いだ与十郎というのもいいですね(^^)
分家与左衛門家の名跡野村与十郎を襲名していたのが、昨年(2004年)6月10日に兄万之丞が急逝したことに伴い、
本家万蔵家を継承し、
今年1月には兄に8世万蔵を贈り、9世野村万蔵を襲名して、披露公演も盛大に無事修了した、という所です。
これが、顔も体も大変におかし味のあるタイプなんです♪
ちょつと柄本明に似てます♪
これは武器です(^^)
やっぱりねぇ、差別ではなく、狂言師というのは、体からおかし味が発散しなくては駄目だと思うのね(^^ゞ
ペーソスというところまで行かなくてもいいから・・・でも、本来はペーソスがなくては駄目だと思うのですけどね(^_^;
でも、東京の狂言師にペーソスを求めても無理かな・・・と、この頃ちょつと悲観しています。
だから、せめておかし味が欲しい!!
この9世万蔵は期待できそうです♪
少なくとも、二枚目で悲劇的な味わいの深い、大スターの萬斎よりは!!

扇丞というのは、高弟と言う所でしょう。口跡に癖がありますけどなかなかいいですよ。
ということで、今日の狂言は思わずハナマル◎♪


それで困ったのは・・・

能「西王母
シテ(前シテ/女、後シテ/西王母) 友枝昭世
ワキ(穆王)   宝生 閑
  ツレ(侍女)   友枝雄太郎
        ワキツレ(従者) 梅村昌功・則久英志
  アイ(官人)   小笠原 匡
大鼓  柿原崇志
 小鼓  観世新九郎
 太鼓  三島元太郎
笛   一噌幸弘


「西王母」の解説チェックした段階で、ヤバイなぁ〜、と思ってたんだわ(^_^;
大体、題名聞いたときから、ちょっと嫌な予感してましたん(^_^;
ドラマチックな展開ないんじゃないかなぁ・・・はい、ありませんm(__)m
解説(あ事前に解説がつきます。この解説は面白かったんですけどね・・・後で書きますけど)でもドラマチックではありませんがー、
と断言しておった!!
友枝昭世という人は、ドラマの中に生きる人物を演じてこその能楽師です!!
そこが梅若さんと違うトコ!!
梅若六郎は出てきただけで、もう能楽堂全体が梅若六郎になっちゃうんですけど、
友枝昭世は、演じている人になりきって、そのオーラを発するのですね・・・参った(^^ゞ
ただ、やはり、立ち姿などは綺麗です。
後シテで橋懸りに出てくればそれなりのオーラはあります・・・でもなぁ・・・お友達に大宣伝した手前・・・ちょっと哀しかった(^_^;
謡いも少なかったのね・・・。
けっこう意識ない瞬間がありました(^_^;

あ、地謡はよかった!!久々のホームラン♪
揃って明瞭で謡いの詞もよく分かるし、ユニゾンの厚みの中に大変な華やかさがあって(^^)ホ〜
地頭は分かりませんが、塩津哲生師と香川靖嗣師が入ってました。
あ、それから↑の仕舞「野守」を舞った中村邦生師も♪


後見は長島茂・佐々木多門となってましたから、仕舞の時の地頭は佐々木氏かしら(^^ゞ
顔が分からないのですが、仕舞の時の地頭って一番右でしょうか?
素晴らしいお声が響いてました\(^^)/
あ、そうそう,MOAの能楽堂は初めてなのですが、音響が素晴らしくて、というか素晴らしすぎてビックリ!!
件のお友達は、マイクつけてる?と不思議そうでした・・・ソレほど響くのです(^^ゞ

囃子方も、ねぇ・・・お調べの段階から、ん?と思った所もありました。
まず、お笛がねぇ・・・ちょっと煩い!!
あの一噌幸弘さんて、ソロ活動もしてるし、ロックグループと合わせたりもするでしょ。
ソレはそれでいいんだけど、本来の場所に戻った時に・・・んー、ナント言おうか、「芸が荒れる」という雰囲気でした(^_^;
これは私だけの感じではなく、お友達も同じような事を言ってましたね。
観世流の小鼓は初めて聞きましたけど、あんなにに掛け声を押し殺したように出すもの?耳障りでした。
柿原崇志師の大鼓だけが救いだった!!
三島元太郎師の太鼓もよかったかな。
それだけ(;_;)

嗚呼、せめてこれでお能がよかつたらなぁ(^_^;

で〜、この解説なんですが、仕舞の前に、金子敬一郎という若手能楽師のかたが解説したんです。
解説は余り巧くない!!
でも、必死に話していて微笑ましいんですね♪
それで解説終わって、切戸口に引っ込んだ瞬間、「あー」という大きな溜息が聞こえました(^^)
終わった、終わったぁ♪と言う感じの(^^ゞ
みんな笑っちゃった(^^)


というわけで、今日の友枝師は、ん〜・・・点数つけられないかな(^_^;


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