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6月10日(金)

能「葵上」
狂言「蟹山伏」

朝十時開演!という私としては信じられない時間に行って来ました(^_^;
「葵上」のためですが・・・凄いですネェ・・・満杯よ!!
しかも、今日は台風の雨模様というのに・・・まあ、朝早いほうが雨もそうは降りませんでしたから楽だったのかな(^_^;
私も、雨の方が発作はおきる可能性が少ないのでGOOD♪
でも、頭痛は相変わらずあるし、ふとした時にグルグル(@_@;)感はあるし・・・で、まああまりよくはない(^_^;
でも大体もとの感じの頭痛とグルグル感になってきたので、まっいいか(^_^;

当然上坂先生の解説はパスです!ごめんなさいm(__)m
狂言に間に合わせ他のがギリギリでした・・・もっとも根解半分だけでも聞こうと思えば聞けたのですが、
根性がなくて、室外で解説終わるの待ってました(^^ゞ

狂言「蟹山伏」
山伏 大藏吉次郎
強力  宮本 昇
蟹の精 榎本 元

まだ若い方たちなんでしょうね・・・頑張ってください(^^ゞ
でも、けっこう笑いを取ってましたよ(^^)

能「葵上」

シテ(六条御息所)   中森貫太
ツレ(巫女)      小島英明
ワキ(横川小聖)   野口能弘
 ワキツレ(朱雀院臣下) ?    
下人          大蔵教義
笛  寺井宏明
小鼓 古賀裕巳
大鼓 柿原光博
太鼓 徳田宗久


今日のお囃子は過不足なくて、けっこうでした〜♪と思ったら・・・後の質疑応答で、そのわけがわかりました(^^ゞ

でも、言い訳ではないですが、チラシで囃子方のメンバー見たときから、
あ、このメンバーならお囃子はまあ大丈夫、と思っていたのです(^^)
でも、肝心の能楽師さんたちが、シテ以外ははじめての方ばかりで?だったので不安ではありました(^_^;

でも今日の感じで言えば、要するにシテのワンマンショーの感じなので、まあ大過なく・・・
ソノブン地謡の役割が大きかったのですが、こちらも大過なく・・・今日は全てに大過なくだったのですね(^^ゞ
凄くよかった!というでもないし、悪くはなかった・・・難しい所ですネェ(^_^;
ソコソコ満足、でも大満足ではない(^_^;

やっぱり、こういう演目だと橋懸りがもう一寸欲しいです!!
出はいいです・・・形も綺麗だし・・・でも小さくなっちゃった(^_^;
前回、ダイエット成功で随分スマートになられた、という気はしてましたが、
今日は小さくなっちゃった、という気分。
まあ、お父上の大病で心労も重なったんでしょうけど、質疑応答でスッピンのお顔は頬がそげてる気がしましたから(^_^;

シテの六条御息所の謡いは演劇的というのかな・・・押し殺した謡い方で恨みを含んだ生霊の〜という感じは出ています。
でも、なんとなくソノブン弱いのねぇ・・・。
ただ、橋懸りの欄干にもたれて萎れる様子を見せる所は、これはいいです(^^)v
いつも言いますが、中森さんはこの黙って座っている時の風情が何よりも良い!!
ただ、今回の六条さんで言うと、もっと強くていいんじゃないかと思うのですね(^_^;
それは後ジテになった時にことに感じた!!
優しいんだ、全てに関して(^_^;
執念が弱い、というか・・・。
だから、六条さんの哀しみの部分は良く出ていたと思う。
でも、その哀しみが怒りになる、というエネルギーが感じられないんだよね・・・。

面を切る、というの・・・きっ!っと横川小聖を睨みつける時のきっ!が弱いと思うんですね(^^ゞ

私、何のときかな・・・「源氏物語」と「伊勢物語」を演じる時の区別はありますか、
みたいな事を質疑応答で伺ったことが合ったんですけど、その時
そういう区別の仕方はありません、と仰ったんですね。

素人のおばさんは、ある、と考えます(^_^;
要するに役の性根、ですよね。
まあ、そういうと全てを抽象化していく、象徴化していく、という能のルールに反する事になるのかもしれないけど。

でも、私は、このおシテさんは絶対「伊勢物語」の人だと思うんだな・・・優しいんですね、ひたすら(^^ゞ
「斑女」も良かったし、「花筐」は見てませんけど、もきっといい思う・・・そういうキャラですよね。
だから、源氏でも「空蝉」とか「浮舟」ならいいのかもしれません・・・去年の「浮舟」見たかったなぁ(^^ゞ
しかし、六条御息所という、自分のプライドのために悪鬼になるようなそういう執念のこもった役は・・・どうなんでしょうか(^_^;

唐織を引き抜くところも形よく決まって、そういうところは、さっすが〜♪なのですが(^^)v
(質疑応答で大変心配されていたと聞いてビックリ)
それと、後ジテになって、ノットを聞きながら、小聖の傍で蹲っている時の形がいいですね・・・巧く言えないけど、
無様じゃない、というか、悪鬼になっても優雅さを失わないイメージは凄くいいと思った。

そういえば「枕の段」というの?あそこの扇の使い方が良くわからない・・・?
蛍を追うのかな?・・・追っ払っているように見えました。本とは追っかける感じじゃないとおかしいですよね・・・。
私の見方がおかしかった?

ソノアト、被きの下から小聖を見上げる時、あの般若の面はいいと思った!!
眼が爛々と輝いて、小聖を睨みつけるように、嗚呼いいな\(^^)/と思ったんだ(^^)
ただ、それが続かないのねえ。
調伏されてシオシオと橋懸りを行く時は・・・もう少し六条さんの位が欲しいと思いました。
もっとも考えようで、位の有る人から位がなくなってしまった哀しみ、というように思えばいいのか・・・解釈の相違ですかね。

ツレの巫女はどうだったんだろう?座ったきりで印象薄い(^_^;
小聖はあんなもの?やりようがあるようでないですよね(^_^;
延臣はよかった!声もよかったし(^^)これ何方?チラシに名前入ってない!!

今日の地謡はよかったです♪
私はどうも華やかな感じの歌い方が好きなようです(^^ゞ


―質疑応答―

どうせメモを取る根性がないのは分かっていたので何も持たずに行ったのでうろ覚えです(^_^;
間違えてたらごめんなさいm(__)m
だいたい、質問が良く聞こえなかった・・・中森さんの声だけは良く聞こえましたけど♪

装束
無地の黒朱子、私どもではカラスと申しますが、これに丸尽(まるづくし、と聞こえたんだけど、本とは紋尽かな(^_^;)と、
決まっております。
唐織の方は六条御息所というのは身分の高い女性ですから、普通の花模様は仕えません。
今日は扇の中に花もようでしたが、花が籠に生けてあったり、御所車に飾ってあったり、という模様になります。
唐織も今日は壷折にして糸で留めております。それを引き抜いて被くので、大変に傷みます。
あまり何度もやりたくないのですが、また、ある程度練れていないとうまく引き抜けません。
何しろ自分では見えませんから、後ろがどのようになっているのか、うまく抜けているのか。
後見が着付けをしてくれますが、着付けも大変な所です。


今日の前シテは泥眼です。泥(でい)というのは金泥のことで、眼の所に金が入っている、ちょつとキツイ面です。
特に今日のような役ですと、泥眼の中でも強い方を使います。同じ泥眼でも「海士」のような母親が竜女になったようなのは優しい泥眼を使います。
後ジテの般若も、今日のは中成と申します。生成というのが嫉妬の形相で「鉄輪」に使います。
中成はもう少し嫉妬が強くなった面ですが、今日の面は、普通の中成よりもう少し強いんです。
普通の中成は舌がありませんが、今日の面には舌が出ています。
もっと強くなると「道成寺」の般若、あれは本成と言います。

謡い
出し物で、声の高い低いというのは余り関係ありません。
声の質というよりは、謡い方、節付けです。
極端な話、謡を聞けば何流のどの師匠の流れかというのがわかります。
師匠のところで兄弟子たちと長い間一緒に稽古しているわけですから、同じように謡えるはずですし、
お互いよく分かっているはずで、合わせられなければ困ります。
能はシテの歌に合わせますから、ワキもシテの高さに合わせます。
ただ、地謡との兼ね合いは難しいですねる
シテが余り高いと、地頭が大変です。
私ももともと低くはない声ですし、若い頃は無我夢中で声を張ったとこもございますから、その時は地頭が大変でした。
でも落ち着いてくると自分でも修正してきますし、地頭が元に戻してくれルこともございます。
そのへんは出演者を決める時にこちらも考える所です。

今日の演目
「葵上」は大変な人気曲で、今日も大勢おいでいただきました。
囃子方も、(「葵上」という演目が)よく出るネェ、この所毎週一回はやっているよ、と言ってましたので、
もう、それだけ、よく整って(?)おります。
今日は60分を切るくらいでしたでしょうか。
初めてご覧になる方でも面白く見ていただけるのではないかと思います。
こちら(鎌倉)でやるのは大体ソレ位ですが、
次の6月19日には国立能楽堂で致します能はもう少しかかります。
「古事記」から題材を取った物で、私は海幸彦・山幸彦の「玉井」
兄弟子の五木田三郎さんが草薙剣の「小鍛治」を演じます。
まだチケットもあるようですので宜しくお願い申し上げます。

秋の横浜の「江口」は、これは大変な忍耐を要します。目標一時間四十分でございますから。
挑戦してみようとお思いになる方はどうぞ宜しくお願いいたします。






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