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10月12日(水)

能「楊貴妃」―臺留―
狂言「悪坊」


能「楊貴妃」
―臺(うてなどめ)留―

シテ・梅若六郎

ワキ・宝生欣哉
アイ・山本則孝

笛・松田弘之
小鼓・曽和正博
大鼓・安福建雄


後見・ 観世銕之亟
後見・木月孚行
後見・山崎正道


地謡・観世清和
武田宗和/岡久博/観世芳伸/上田公威/藤波重彦/藤波重孝/角当直隆

行って来ました♪
行く事情・経過のてんやわんやについては、母の日記のほうを御覧下さいm(__)m
けっこう大変な思いをして行ったんですよ(^^ゞ
それでも、ナンセあの「小原御幸」の後ですからネェ・・・ちょっと辛いものもありました(^^ゞ
母の日記には・・・
まして、今日はシテの謡が少なくて、為所も多くはない(^_^;最後にちょっと舞の見せ場が少しばかり・・・(^_^;
でも、梅若さんはやっぱり素敵です(^^ゞ
引っ込みで、終わりよければ全てよし!と帳尻合せさせるトコはさすがですm(__)m
なんて書いてます。
まあ、早く言っちゃうとそういうことなのですが・・・(^_^;

立合能となって、第一日目・第二日目とあり、演目も同じ「楊貴妃」と「悪坊」なので、
はぁ〜立合、つまり競演ってことねぇ・・・と思っていたら、
「赤江瀑ファンページ」というサイトの「立花能楽堂――禽獣&阿修羅大辞典」というコーナーで、
大変よくまとめてらっしゃいましたm(__)m

第一日目は、シテ・高橋章、ワキ・森常好、アイ・山本東次郎で、囃子方は同じ、地謡が三川泉、
で・・・後見が何かと話題の宝生英照!
まあ、今夜の地頭も何かと噂の観世清和なんだけどさ(^_^;
(今回のプログラムでも三郎太君についてべた褒めの句を高橋睦郎氏が載せてましたよ(^^ゞ)

そうそう、プログラムと言えば、土屋恵一郎明大教授(観世座プロデューサーにして明大教授)の「能楽随想」が載っていました。
そこで、今回の「楊貴妃」第一日目の地謡の地頭三川泉という人の地謡について、
「宝生から学ぶ事は多くある。この舞台での三川泉の地頭は、現在の能にあってももっとも大事にしなければならない地頭である」
という事だそうです。
この文の前にも書かれていましたが、
あの観世寿夫氏が、宝生流の野口兼資師に私淑して、流派を超えて謡を習っていた、というのは有名な話!
(偉そうに言うけど、私はM先生の講座で伺ったわけで・・・m(__)m)

大体「謡宝生舞観世」って言うんですよね♪

なるほど、第一日目は宝生色の「楊貴妃―玉簾―」で、今日は観世色の「楊貴妃―臺留―」なんですね。

それにしても、今日の梅若氏は歌わなくてねぇ・・・涙
「楊貴妃」って、みんなこんな演出なんでしょうか(^_^;
プログラムに「上演詞章」が載ってましたけど、プログラム開けた途端
地謡と言う活字が殊更多くて、えっ?!
って感じだったんだよネェ(^_^;
まあ、一日目・2日目共通プログラムのようなので高橋章さんも謡わなかったんでしょうなぁ・・・(´∧`)〜ハァー

勿論、お能初心者の私でも、何本か観ていれば、地謡の重要性はよくわかりますし、
その一党を率いる地頭の大変さ、重さもよくわかります。
でも、でも、でも、やっぱり謡いはシテの謡を多く聞きたいじゃないですか(^_^;
お能というものは、謡が命と思うんですよ(^^ゞ
勿論舞の要素も重要だけど・・・謡があって舞がそれに従うように体が動いていくんじゃないかなぁ・・・
とシロトのおばさんは考える!
でー、その能楽全体の主旋律を歌うのは、やはりシテであって、シテを引き出すワキがあり、
シテの謡いきれぬ心の内や、筋を動かす黒衣の役をするのが地謡だと思うんですよね(^_^;
黒衣は大事な役だけど目だってはいけないんじゃないかなぁ・・・(^^ゞ
まあシロトのおばさんの地謡観ですm(__)m

ストーリーは「長恨歌」の最後のトコ、
玉三郎の「楊貴妃」でお馴染みのトコですけど、
玄宗に楊貴妃の霊魂を探してこい、と命じられた方士が、天上を彷徨して蓬莱宮に辿りついて楊貴妃に逢うという、
昔のSF版ですね(^^ゞ

まず、出が藁屋!じゃない・・・あれなんていうのでしょうね、豪華な作り物の「蓬莱宮」がありまして、
(だって、大きさといえば藁屋と同じで屋根が綺麗ですけど、その四方を緑の布で覆って、その布を取ると、
正面に玉簾というべきか、絹の簾が掛かってます!)
これがさぁ!中に座っている楊貴妃が見えないのだぁ!!
そりゃあ、かすかな揺らぎが察せられるし、私の席だと足の運びが見えます。
手も動かせば、その優雅さがわかるのよ!
でも、でも、でも・・・(;_;)

でまた、ホントに謡が少なくて、問答が有って、地謡が謡って、最後に
地謡が「はかなや別れの常世の台(うてな)に、伏し沈みてぞ、留まりける」・・・ふうん、それで「臺留(うてなどめ)」かあ(^_^;

とにかく、出のところから、見えない、見えない、で欲求不満(^_^;
まあ、たとえ問答でも、梅若さんの声が聞こえてお〜\(^^)/
でもすぐ地謡になってシーン(´∧`)〜ハァー

今日の地謡はけっこう錚々たるメンバーのはずなんだけど、要するに調子が低いのですね。
それは、この演目の地謡が全体的に低い調子で謡うものなんでしょうけど・・・(^_^;
私、地謡でも声バーンと張る華やかなのが好き!!←馬鹿!素人!何とでも言ってm(__)m

でも、まあ、梅若さんのトコはよかったし、ワキの宝生欣哉さんもまあよかったのでいいかぁ、とは思いつつ(^^ゞ
梅若さんは親父の閑さんより、欣哉さんの方が好き?多いですよね組み合わせかな(^_^;
欣哉氏は親父殿に声そっくりな分、ちょつと辛いトコもあって、あっ、ここ閑さんならもっと違うだろう、と感じてしまいます。
どこがどう、と言えないけど、まあ親父は親父だよね♪
初心者が生意気ですけどねm(__)m

囃子方は、初めて見えたお方達ばかりで゛した!!
人間国宝の安福さん!ナマは初めてですよ〜\(^^)/
VTRとCDでも安福さんはなかったなぁ・・・あるかな・・・(^_^;
あるじゃん!「能楽囃子」のCDは小鼓・北村治で、大鼓安福さんでした・・・例の観世寿夫逼迫の「道成寺」ね(^^)

お笛は存在感なかったなぁ・・・小鼓も・・・ひたすら安福さんm(__)m
掛け声も良いのですが、ちょっと謡いにかぶるの・・・あんなに大鼓の掛け声って謡いにかぶっていたかなぁ・・・?
思えば今までそんなこと気にかけたことなかったなぁ(^_^;
今日は非常に気にかかったのですね(^^ゞ

後見は、誰だか見ていなかったら、あっ!銕之亟だ!!
で、プログラム確かめたら銕之亟さんでした(^_^;へぇ〜、でも座ってるだけでした(^_^;
よく動いていたのは、誰だろう・・・先代の銕之亟さんに似ている人だったなぁ(^^ゞ
梅若さんが台座から降りる時(けっこう高い台で心配でした。無事降りましたけど)、絹簾の一本が面にかかって、
あっ!と思ったのですが、その時すっと立ったのね。
でも、梅若氏然る者で、そ知らぬ振りで全体を自然に傾けて、うまく振り落としたのです。
面をつけていて、そのたかだか一筋の絹が面にかかったのがわかったのですかねぇ・・・それも凄い感覚ですが!
で、それで梅若氏が自分で絹を払ったのを見届けたら、またその後見氏は自然に台座の覆いをはらう仕事に回ったのでした(^^)
全てが自然に滞りなくて・・・これは後見というものの「重さ」を見せ付けられました。

何年か前、某会で、シテが舞台から落ちた時、別家の喜之氏が後見で出ていて、サッと抱き上げて舞台に戻して、
ことのほか鮮やかな後見ぶりだったという話も聞きましたけど、
やっぱり後見て凄い!!

でー、さんざっぱら文句だらだらでしたけど、その地謡の
「はかなや別れの常世の台(うてな)に、伏し沈みてぞ、留まりける」の後、
橋懸りにかかって行く梅若さんの素敵な事!
能楽堂全部が梅若さんに気圧されている(酔っている、というんじゃないトコが哀しいんだけど)ような緊張感!
梅若さんが揚幕に吸い込まれるまで皺葺一つ聞こえない!!
全体に引っ込みおわるまで拍手もなかったし、今日はそういうお客さんが多かった、と言う事も言えるけど、
要するに、出演者全員が拍手をさせないだけの緊張感を保てた、と言う事が大きいですね(^^ゞ

こうなると、「拍手いゃ〜んの会」ということでなく、
「拍手できないほどの感激を与える能楽師の出現を待つ会」というのを作ればいいのですよね(^^)v



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