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11月18日(金)


――鎌倉能舞台横浜公演――

能「江口」
狂言「鈍太郎」

恒例によって中森晶三氏の解説がつきます。
今日はその前に中森貫太氏が、カレンダーができましたので、ということと、
今日は能も狂言も長いので10分間の休憩を入れました、というお話をしました。
それはよかったのです。
このところ、どこの公演でも狂言と能の間に15分くらいの休憩は入ります。
特に、今日来て公演時間予定表を見てのけぞっちゃいましたから(^_^;

ふだんの鎌倉能舞台の公演は解説を含めて、大体二時間が基本です!
嗚呼、それなのに、それなのにヌァ〜ント今日は三時間!!
ええー、「江口」はいいよ!!
こちらも「しっかりやれば一時間四十分はかかります」と、聞いてるし、
だけど狂言40分かよ!!
やっぱり時間問い合わせて、狂言パスすれぱよかったなぁ・・・(;_;)

と、思っていたら、解説も長いのよ!!
それでもこないだの40分はさすがにクレームがついたのか、
「早く終われ、といわれているから」とか言いながら20分!!
まあ、それでもお年には思えない早口で(^_^;
正座しても立ってもシャキシャキしてるし、とても、入院して医療過誤で殺されそこなった!とは思えない(^_^;
ご家族は一時訴訟も考えた、とか、チラ〜、と聞いたけど、
あの姿を見たら、門前払いを食わされそう(^_^;

でも、ソロソロ、VTRを見せるなり何なりして、引き際を考えていただいた方が良いかな、とは思います。
それでも、当日一番拍手が多かったかも〜(^^ゞ
それに↓で書きますが、この解説が一番面白かったもという話も合ったりして・・・(^_^;


狂言「鈍太郎」

太郎冠者 野村萬斎
下京の妻 深田博治
上京の妻 高野和憲

ウーム、萬斎なんですよ〜(^_^;
だから、私は、今日の狂言はパスしたい、と思っていたのですが・・・
なんとなく朝起きられてしまったので出てきたのですネェ(^_^;

もう、萬斎は狂言無理です!!
えー、歌舞伎の松羽目ものというのは、狂言からとったものが多いのですが、
その口伝?に「松羽目モノは春風が吹くように」というのがあるそうです。
なるほど、いろんな馬鹿馬鹿しさも時代錯誤も、ふんわりと春風の中に包まれればそういうものかと、笑える物でしょう。
本ちゃんの狂言なら、ことにそうなんじゃないでしょうか?
茂山家のフンワカホンワリというのは上方という土壌もあるかもしれないですがねぇ・・・(^_^;

萬斎の体には、フンワリホンワカの欠片も無い!!
ジャンプでは高さも優雅さも宗彦に適わない!!
足の運びはちょっとガサツジャナイカナ〜(^_^;
ただ、鐘を打つタイミングや同じ調子を保つのは素晴らしいですけどね・・・(^_^;

とにかく、フンワりホンワカのない狂言は狂言ではない!!

確かにオーラはあるし、台詞劇は巧いかも知れないけれど、とにかく狂言師ではない!
もう萬斎の狂言はたくさんm(__)m


能「江口」

シテ 中森貫太
ワキ 殿田謙吉

アイ 石田幸雄
 
お笛 寺井宏明
 小鼓 観世新九郎
大鼓 安福光雄

今日はホントはもう寝ていたい、と思ったのですが、
「小原御幸」後遺症を吹っ切るためにも、意気の良い若手?中堅の舞台を見なくちゃならん、と出かけました(^^ゞ
まあ、正解だった、と思う・・・まだ吹っ切るまでには行かないけれど、
なんとか時差ぼけを標準時に戻したというか・・・(^^ゞ

えー、中森貫太という人は、どうもスタートが遅いのかな・・・大体後ジテになってからのほうがいいことのほうが多いように思います。
特に、今日は地謡も含めて全体的にそう感じたんですけどね(^_^;

ただ、揚幕から初出のトコは良いお声ですねぇ♪
これは、前回私が母の定期健診で行けなくて、行っていただいたお友達も、
「中森さんて、お声の良い方ですネェ」と感心してらっしゃいましたから、ホント!!

ただ、本当は、もうちょっとふくよかな声が出ていたんじゃないかと思うんだけど、
やせてから、声まで痩せたような気がします(^^ゞ
あ、声量ではなくて、あくまで声の質です・・・わたしの思い込みかもしれないけれど、
最初に聴いた時のお声はかなり温かみのあるふっくらした声だったと思うのですねぇ。

まあ、今日のように江口の幽霊?なんですからか細くて良いのかもしれませんけど(^_^;
姿もよかったですし・・・。
ただなんとなく無事に前シテが終わって、
後ジテになってからはよかったですねぇ!!
作り物の舟に三人の遊女が乗っている。
橋懸りで三人コーラスが有りまして、あれは良いですね♪楽しい♪
でも、このへんになるとさすがに見る方もちょっと疲れてくるのですが、
ここで舞になるんだけど、大体私は、このへんの舞は苦手だし、記憶がなくなることもあるんですけど、
今日は、ちょっと違った!
この舞、「序の舞」ですね、になった時、丁度席も席だったのですね・・・中正面の自由席なんだけど、
ちょうど舞手の真正面になるのです!!
そこで、舞い手が迫ってくるように見えるのですね(^^ゞ
私は、基本的に舞台全体をワイドに見られる中正面というのが好きなのですが、
こういう風に真正面に迫ってこられるのもど迫力で凄い!!

そこで乱拍子とまでは行かないんだけど、ちょっとした足使いがあったんですよ!!
これがよかった!!
ふだんは退屈な舞の時間があっという間!!
へぇ〜♪の世界でした(^^)

地謡もね、前半はなにやらぱっとしなかったのが、後半になってお!っという感じになって気合が入った!!
たぶん地頭の人が(あれ、何方のお声?ひょっとして五木田さん?)が突然響いてきて、
そういうのは、もしかして邪道なのかしら?
でも、そこから地謡がしまってきました(^^)


とにかくけっこうでしたよ(^^)
お囃子オーケストラもアンサンブルがよくて、どこだっけ・・・大鼓と小鼓の掛け合いの凄い良いトコがあったんだ(*^-^*)
ええ、小原後遺症は吹っ切れた、とまでは行きませんけど、
普通に見られるようになったと思います。


もう終わったら5時です!
鎌倉能舞台の人気メニューの「質疑応答」は聞いていけません・・・残念!!

でー、帰りの電車、桜木町で待ってました。
そこから横浜までの何分間かの間に、私の前に立った二人連れのお姉さま!
どうやら、出演者のお知り合いらしい(^_^;
「○○さん、よくあんなことやるねぇ」・・・はぁ?
「昔だから、娯楽が少ないからさ、あんなもんでも笑えたんだよネェ」・・・いやお笑いブームの笑いとは違いまっせ(^_^;
「私、後のほうが笑いかみ殺すの苦労しちゃった、お面つけてさぁ」・・・ってお能のこと?笑いますか?
「あのおじいさんの解説が一番面白かったよね」・・・はぁm(__)m最敬礼


小原後遺症?!
一世一代?の凄い舞台見ちゃうと、全部それがアベレージになってしまって、
何を見ても満足できなくなります。
「小原御幸」素晴らしすぎました!!
あれで、私のお能観劇記全部終わってしまったみたいです(^_^;

大昔、歌右衛門の揚巻見て「水入」の場面ね、助六を自分の襠の下に隠して、両袖を張って
この揚巻に指一本でも触れたなら、仲ノ町の灯が消えますぞえ!
って大見得を切るのです(^^)
もう〜、私は、この時代に生まれて、この人を見られて、もう死んでも本望だぁ!と思うでしょ。
私は、この人のこの舞台を見るために今日まで歌舞伎を見てきたんだ、と思うでしょ。
この時代に生まれ合わせてよかった・・・と思うでしょう!!
そうすると、全てがその舞台が平均値になって、なに見ても駄目になっちゃうのです。
当然歌右衛門自身にも大ブーイング!
あの歌右衛門が、こんな舞台を見せるのか?
なんで恥さらしに生きているのだ!となっちゃうのよネェ・・・(;_;)
でー、勘九郎だったかな・・・当時の若手のバリバリを見て吹っ切れた!!

爛漫の大輪の牡丹・芍薬の豪華さ素晴らしさと
若木の新緑の芽吹きの美しさと、美しさにはいろいろある、芸にもいろいろあるのだ、ということがねぇ・・・
舞台百態、役者百様・・・なんて言葉は今作ったんだけど(^_^;

まあ梅若・友枝の日本を代表する大御所に比較しては恐れ多いようなものですが、
中森氏も中堅の良い能楽師さんです。
まだまだあの「小原御幸」に対抗するような舞台は出来ないけど、
とにかく現実の今日、良い舞台を見せてくれましたよ(^^)v

先日の国立は芸術祭参加だったそうです。通るといいですねぇ(^^)




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