09月10日(水)
「六週間のダンスレッスン」
個人的な愚痴ばかりなってしまったので、
それは「母の日記」にチョイと移して、只今新しく書いてます♪
初演の時から、見たかったのに、なかなか日程が合わなくて、とうとう再々演になってしまいました(^_^;
まあ、それだけファンがついた、人気の高い演劇、ということなんですが・・・
んー、再々演ということで、ちょっとビビッテいたこともありましたけど、当たっちゃったな(^_^;
つまり、ねぇ・・・オリジナルの出演者で、オリジナルの脚本で続けていたとしても、
舞台は変わります(^_^;
そこが舞台の面白さ、なんだけど、ねえ〜(^_^;
「ラマンチャの男」だって、やっぱり(初演は見て無いんですけど)
再演から十年以上・・・かれこれ二十年見続けた身としては、やっぱり駄目になった!と思うもの(^_^;
だから最近は行かなくなっちゃった(^_^;
それがナマの怖さです(^_^;
某能楽師の奥さんが、勘三郎(あ、今の勘三郎のお父さんの17代目勘三郎のこと)が、
凄い名役者なんだけど、その日の気分で出来不出来が激しい人で、ということを書いた時に、
そんなのは名人じゃない!プロじゃない!と仰ってましたけど、
凄い名人で、凄いプロであるからこそ、
他の名優と言われる人でも及ばない名演技が出きる、
凄い舞台が見せられるわけで、ねぇ(^^ゞ
そういう、能楽師さんはどうなんでしょうねぇ?
友枝さんですら、その日の出来不出来って感じる物!!
名優だからこそ、わずかの揺るぎが瑕疵になるわけで、
元から下手なら、ちょっとよくても上出来だしね♪
昔の名優って、わりとそういうパターンが多かったの。
今日はダメだ!って言ったら、もう、誰が見ている、と言っても投げちゃって駄目なんですよ。
その代わり、乗っているときは、本当に神が降りたか!と言うような至芸とはこういうものか、
という舞台を見せてくれます。
先代の松緑の悩みはね、「いつも70点」と言われることでした。
よくは出来ているけれど、スゲェ!と周囲が唸る、黙り込んでしまうほどの舞台が出来ない、と言う事でした。
それだって、並みの役者の「70点」とはわけが違うのよ!
並みの役者なら満点という所でも、松緑なら「70点」としか付けられない所が名役者の辛さです。
芸ってそういうもの。
勘三郎はね、そりゃあ凄い時は、
もう歌舞伎界の誰を持ってきても勝負にならないほど凄い舞台見せ付けるんですけど、
ひどい時は、「舞台に手拭でもぶつけてやりたいほど酷い」そうでした(母の話)。
私はそんな酷いのは見せられた事が無いですから、勘三郎は本当に好きでした(*^-^*)
酷い!と言う意味じゃ菊五郎以外見せられた事はないですが(^_^;
もっとも、菊五郎は、酷くない時も酷い時も同じだからね(^_^;
あの人の七代目菊五郎襲名の道成寺は酷かった!!
観客として、あれほど、赤っ恥をかかされた舞台って無いナァ・・・!!
最近は、頑張ってる子供たちの手前、まともな舞台を見せているそうですすが(^_^;
もっとも、名優でも、常にある程度のアベレージを必ず持ち続けられる人もいることはいます。
本当にわずかの役者たちですけど(^^ゞ
特殊な才能に本当に禁欲的で芝居だけしか考えていない
吉右衛門・仁左衛門・玉三郎・勘三郎・三津五郎なんて人たち、ねえ(^^)v
それでもやはり今日の出来不出来ってのが当然あって、
孝玉で「お祭り」を2日目に見たのよね。
確か、孝夫さんが病み上がりで、例の「待ってました!」「待っていたとはありがてえ♪」っての。
普段は、歌舞伎はたいてい中日過ぎに見るんだけど、
この時は待ちきれずに2日目に見たんだよ、確か・・・別の時かな・・・(^_^;
でも歌舞伎を2日目、しかも二回見たというのは、この時くらいだと思うんだけど。
これが、よくなくてネェ・・・!!
孝夫さんと玉三郎でこれか!ってくらいだった(^_^;
まあ、孝夫さん、所作事はまるでダメ男ですけど(^_^;
それにしてもアンマリ酷い!
でー、半ば過ぎに裏を返したら、もう!!凄くよくなっていて、惚れ惚れ(*^-^*)
やっぱり孝・玉だわぁ(^^)vって感じでした。
真面目に努力しているらしいけど、それが効果が上がってないのが団十郎と橋之介!!
まあ、この二人は特殊!
努力しているわりにはダメなんだけど、時々壷にはまった役に当たると凄いんだけどねぇ(^_^;
だから、団十郎、嫌いになれないのですよね!!
アレレ・・・話が歌舞伎に飛んじゃった(^_^;
ウーム!まあ、そういう風に話が飛ぶような所があります(^_^;
満足できなかった、と言う方が手っ取り早いm(__)m
まあね、よかったんですよ。
普通以上のレベルの舞台だったとは思います。
草笛光子はパブティスト派の牧師の未亡人リリー。
フロリダの豪華マンションに住んで、なぜだかダンスの出張個人レッスンを頼みました。
ソコに派遣されてきたダンス教師が今村ねずみのマイケル。
あのさ、バプティスト派ってのは、例の中絶した医師にクリニックの前で
「人殺し!」と叫んで石を投げるとか、
戦争に積極的なキリスト教ですよね(^_^;
ヒロシマの原爆投下に祝福を与えたってのは神父だから、バプティスト派ではないんでしょぅが。
まあ、そういった過激・苛酷な宗派です。
舞台はフロリダのオーシャンビューの眺望抜群のリリーのマンションのリビングの一杯セット。
美術・朝倉摂さん。
相変らず、よく出来てます。
一杯セットで、その優雅で寂しい生活観がよく現れています。
娘の写真を取り出すオルゴールもよくてね・・・曲もあれなんだっけ・・・よかったんだけど(^_^;
そこで、
一週目〜スゥイング
二週目〜タンゴ
三週目〜ワルツ
四週目〜フォックストロット
五週目〜チャチャチャ
六週目〜コンテンポラリー
そして10週目ボーナスレッスンまで2幕7場。
最初はお互いに弱みを見せまいとして、嘘をついたり、虚栄を張ったりしていた二人が、
お互いを罵ったり同情したり、自分を正当化したり卑下したりしながら、
少しずつ心を開いて、お互いの立場を受け入れて行く・・・というハートウォーミングなお芝居、
なんだけど・・・なぁ(^_^;
まず、一週目
初対面で、お互いの人間性に二人とも疑心暗疑になり、リリーがキャンセルしようとするので、
マイケルが嘘をつく。
二週目、
マイケルの嘘がばれて、険悪な雰囲気になるが、マイケルの生活を知り、ちょっとリリーに同情心も起きる。
そして、マイケルがゲイであることも知り、驚き、理解できないながらも安心する。
三週目
実はリリーが未亡人だとバレて、マイケルから自分にはうそつきと罵ったくせに、と罵倒される。
一人暮らしの心細さを訴えるリリー。
夫のことは亡くなってから理解できるようになった、と告白する。
リリーに娘があって、亡くなったことを告げる。
四週目
リリーは体調不良で、レッスンをキャンセルしたのに、
マイケルはそれを知らない振りをして、スープを持って見舞いに駆けつける。
リリーがダンスを習ったことがあり、教わるまでもなく上手に踊れる事を知る。
マイケルも母の介護のためニューヨークの踊り子生活に見切りをつけて戻ってきた事を話す。
そして五週目は、課外授業でダンスクラブへ踊りに行く約束をする。
五週目。
ご機嫌でダンスから帰ってきたところに、階下のアイーダの訃報が入る。
アイーダは、レッスンが始まるとすぐ苦情の電話を入れてくるが、今のリリーのかけがえの無い友人だった。
泣き崩れるリリーを抱きしめて慰めるマイケル。
そして、
六週目
またも、体調不良のリリー。
最後のレッスンなのにつんけんしてマイケルを怒らせる。
もうこれでレッスンは終り。
「ありがとうございました。又御用の節はどうぞ」と切り口上のマイケルに、
「ええ、ありがとう。大変有意義な時間でしたわ」と、これまた切り口上のリリー。
二人はまるで目も合わせない!!
でも、本当にこれで帰ってしまうのか、と畏れるリリーに、
マイケルもなんだか府に落ちない様子で戻ってくる・・・でー、とにかく最後のレッスンを、と
コンテンポラリーで踊りだす。
コンテンポラリーも上手じゃない、とマイケルに褒められて、
「娘に教わったのよ」と言い出すリリー。
「夫が寝た後で、音楽を低い音で掛けて二人で踊ったの。それから何ヶ月後かに娘は死んだわ」
実は娘は中絶手術の合併症で死んだのだった。
母のリリーに告白し相談したのにバプティスト派の牧師の夫の言いつけで、見殺しにしてしまつたのだった。
その夫に従って娘を見殺しにしたことで、リリーは見えない傷に苛まれていた。
今度はマイケルが、恋人がニューヨークで亡くなったことを告げた為に、
マイケルがAIDSに感染しているのかと尋ねてまた怒らせてしまう。
しかし、実は、リリー自身が癌の再発で、放射線治療を始めたのだった。
それが最近のリリーの体調不良の原因であったことを知るマイケル。
そして、それがリリーの最後の告白。
マイケルは一生懸命励まして、次に病院に行く時は自分が送っていこうと言う。
「デートだよ♪」と言うマイケル。
戸惑うリリーに「海の見えるテラスでお茶を飲むなんて楽しいじゃない」と説得して。
ボーナスレッスン
二週間後、病院から帰ってきた二人。
さすがに、リリーは疲れた様子。
甲斐甲斐しく世話をするマイケル。
そこにアイーダの息子ロバートから電話が入る。電話すらもマイケルにとってもらう。
「宜しければ一緒にお茶を飲みましょう、と伝えて」とリリー。
実は、アイーダの息子は三十過ぎて結婚もしていないし、付き合っている女性もいない。
もしかして〜と、マイケルをけしかけていたのだった。
照れてグニャグニャになるマイケル。
「もしかして百万人目の相手かもしれないわよ」と言うリリーに、
「百万人目の相手は貴方だよ」と答えるマイケル。
ふたりで微笑み合って、ロバートを待つ。
そして、フィナーレはふたりで課外レッスンに行った時のバイオレットカラーのドレスと黒のタキシード!!
キャア〜♪ですよ。
えー、私の場面解説が一週目から六週目に向かって、だんだん長くなるの、お気づきですか?
つまりね、そうやって、二人の間がだんだん親密になって行くのです。
そういう脚本はよく出来ているんだけど・・・ちょっと空回りもしているんじゃない?って気がするな(^_^;
草笛光子という人は、勿論日本を代表する女優なんだから、綺麗で華やかで当たり前!
しかもこれは舞台なんだから、綺麗に見せるのが当たり前。
でもさ、72歳の所です。
勿論、今時の72歳は普通のオバサンでも若くて綺麗なんですよ♪
でも、ふだん若くて綺麗な人が、突然老けて見える瞬間があって、
ア!あの人、凄く若く見えるけど、ホントは年なんだ!と、感じる時、
第三者でも、凄い寂寥感を感じさせられるよねぇ〜。
それを狙って欲しいのよ(^^ゞ
ことに体調不良でいるときは、もう少し老いを感じさせてもいいんじゃないかな、と思う。
それに長年牧師の夫に仕えて、娘を失った悲しみに耐えようと学位をとって教師になった、というキャリアです。
もうちょっと、そういう固くなさや、↑ふとした時に老いを感じさせる所があれば、
もっと、ジーンと独居老人の寂しさが伝わるのにな、と思いました。
勿論、老人の気持ちの揺らぎ、小さなことに傷ついたり一喜一憂することもありがちなことですし、
友人の死にショックを受けてヒステリックになってしまうのは老人じゃなくてもありがちですし、
当然の脚本なんですが・・・ちょっとうそ臭く感じさせるよね(^_^;
対する今村ねずみは、こんなに背が高いと思わなかったわぁ・・・(^_^;
CONVOYの連中と一緒にいると埋没してるもん!!
それにこんなにハンサムだとも思いませんでしたm(__)m
「アパッシユの男S」ですよ〜♪
ダンス踊らなくとも、ちょっとした仕草、挙措だけで十分ダンサーということがわかります。
ついでに、なんとなく危なげな生活も透けてみえる雰囲気なんだけど、ね(^_^;
でも、実は・・・なんでしょぅ。その実は〜になった時の演技が弱いです。
(実は母親の介護生活をして、見送って、さらに、ママのおかげで助かったんだ、と言える優しさがある!ってこと。)
キャラとしてはピッタシカンカンなんだけど、
俳優、としてはちょっと無理があるなぁ・・・マイノリティーとしての哀しみ、心細さ・・・
屈折したプライドと神経の尖った部分に隠された本来の優しさを出し切れてないな・・・。
多重人格振りは出ているけれど、一人の人間の中の多重性というよりは、
多重性を出してみました、見たいな雰囲気ですね・・・ちょっと違うんじゃないかな(^_^;
まして草笛光子と二人芝居、というのは、演技力として荷が重い気がする。
じゃあ、誰が?と言われると、やはりこんな雰囲気を出せる人は・・・市村正親?
若手・・・あんまり若手じゃないけど吉野圭吾?
あのねぇ・・・要するに、今村ねずみって、ゲイになれないのよ(^_^;
勿論、市村正親や吉野圭吾がゲイってことじゃなくて、彼らは表現としてゲイの雰囲気が出せるのです(*^-^*)
今村くんは、あくまで男性として、ふつうに女の子が好きなんだろう、ということですね。
そしたら、市村や吉野が相手なら、
草笛光子もあんなピンヒール履かなくても、ダンスのポジションとれたんじゃないかな(^^ゞ
あのピンヒールはかなり引っかかりましたねぇ(^_^;
それと、↑でも言いましたが、リリーが若すぎる、素敵過ぎる事ね(^^ゞ
靴もヒールが高い、ホントにピンヒールと言っていいハイヒールを履いて踊ります。
そりゃぁ、舞台の嘘ですけど、それはやはりおかしい(^_^;
花井幸子さんが、「70歳になってもハイヒールをはきたいから、今から鍛えています」と仰って、
あの方は、ジムのインストラクターを自宅に呼んで、週二回のレッスンをしていらっしゃいます。
それ位しなければ、まあ日本人は、ですが・・・リリーは24時間靴をはくことが生活のアメリカ人ですが(^_^;
それでも
やはり、ここはローヒールじゃないと、それで無理にピンヒールを履いてみるようになる、とかね(^^ゞ
大体、踊れる草笛にまるで踊れない振りをさせるのは、かえって難しいですし、
舞台の演出上もソンですから、
ソコはそれ・・・実は以前習ったこともあって、ダンスは上手に踊れるけれど、ということになってます。
で、まあ、それなのに、なんでダンス教師の出張を頼んだか、という種明かしも一寸あります。
そこは、ちょっと孤老の寂しさを感じさせますが、
なぜかアンマリ強調しないで、わりとサラリと流します。
だから、ダンス教師の出張を頼んだ、と強調したほうが分かりやすい、と思うんだけど、
それでは平凡になるのかな(^_^;
ただ、カーテンコールのご挨拶になると、二人とも、さすが、超のつく名エンターテイメント振りです\(^^)/
これだけ見るだけの為に行っても良いくらいかも(^_-)-☆
このお芝居の中で一番グサッと来た台詞はね、「母の日記」に書きました、ってか、移しました(^_^;
そうそう、見終わって、ちょっと考えた(^_^;
この後、もし、マイケルがロバートと巧く行ったとしても、行かなかったとしても、
リリーが死んだら、リリーの財産は、マイケルに行くんだろうな〜(^_^;
私の体調不良の折、三谷先生の論文集と、クリスティで食いつなぎましたからね(^_^;
クリスティはそういうの多いんです!!
イギリスの財産家の老婦人って、
周囲のお気に入りのコンパニオンなんかに、ヒョイと全財産残すものらしい♪
ウーム!そしたら、筋立ても変わってくるよなあ・・・って(^_^;
アハハ・・・夢が無いですかねぇ・・・いや、マイケルの夢ですよ(*^-^*)
そしたら、彼は老婦人のためのダンス教室かなんか作ってボランティアで教えてくれるかな♪