15年09月17日

「伽羅先代萩」

いやぁ!よかった!!
帰りは、また電車事故(並行している路線の人身事故!)で遅れて大混雑!!
だから、夜の部はダメなんだよ~!と、言いながらも、感激の舞台で良かったです!!!

夜の部はダメだ、行けない、と思いつつ、吉右衛門の仁木弾正は見てないし、これ見なきゃ歌舞伎ファンとは言えないんじゃないのオ~!と思って、ま、床下から引っ込みまでみれば諦めがつくだろう、とチケット取りました(^^ゞ

勿論、玉三郎の政岡ってことも大ありなごやのコンコンチキ♪なんですが(^^)

よかった(^^)
掛け値なしに千両役者のオールスター\(^o^)/

序幕の花水橋は頼兼が梅玉で、今、これが最高の頼兼でしょう。前回の福助も想像以上によかったけど、梅玉は、今考えられる最高の頼兼。品があって毅然として、遊び人の余裕があって・・・いま、梅玉以外なら染五郎なんだろうけど、あの人だとちょっと軽くなっちゃうところが、梅玉は大身の貫禄があるのです。

又五郎は、なかなか恵まれないけど、絹川、ホンの一役ですが、いいですよ(^^)
この人は昔から何をやらせてもカスがない!その割には恵まれない。努力の人なのにねぇ・・・吉右衛門がバックアップしたくなる気持ちがよくわかりますm( )m
でも、なんとなく、肉布団要らなさそうな感じは、大事な襲名興業で足の怪我したことを思い出しても自重して欲しいよねぇ(^^;

さて、竹の間~御殿。
ここはまあ充実の歌舞伎の今の絶頂みたいな舞台でした\(^o^)/
先日の新聞の戯評で、「玉三郎の乳母政岡が新境地を開いている。」と、これはいつもの天野さんの道映節とも思うけど、確かに今までの「元々沈着冷静な、しっかり者の乳母」というんじゃない政岡でした。

竹の間は、だだただ、若君大事のどちらかと言えば凄い心配性じゃね?みたいなふうつのオバサン風なんですよ(^^ゞ
まま炊き場は、歌右衛門みたいにダラダラじゃれ尽さず、手早く、きりきりと動くけれど、若君をいさめ、千松をたしなめて、ままが炊く間に歌う歌の寂しく儚げな風情がもう、キューンとなって、政岡って、こんなに普通のお母さんなんだったんだ!って思っちゃった(^^)
そうそう、若君に対しても母ですよ!

それが、だんだんと追い込まれて、御殿で我が子が刺殺されても一顧だにせず、若君を抱えて立っている時、ハッとするほどの女武者になるんだよ、これが\(^o^)/

天野さんは「御殿で自分の子を歌六の八汐に殺されると若君を裲襠に囲って立つ。その息を詰め意識の流れを断ち切った仁王像のような力強さ。」とありました。
はてさて、渡辺保氏は何と書く?

それで、後はまあいつも通りの政岡か?と思うと、花道で「嗚呼!勘違い♪の栄御前」を見送って、ホゥッと息を吐くように体が小さくなる。そしてよろよろ立ち上がる!文字通りよろよろなんです。
その後ろ姿の力が抜けた、一回り小さくなったような後ろ姿がよいんだわ!これで泣いた!!

いつも、どうしても、あの勘違いマダムの下りはバカらしい気がするんだけどね。今日はもうこれ、本気で一緒になってホゥ!と溜息をついて、よかった!と思ったよ(^^ゞ

でまあ、舞台正面でのくどき。「三千世界に子を持って~」っての、お約束ですが、ハンカチで涙と鼻水吹きまくり(*^^*)
周りでも、みんなハンカチヒラヒラ、鼻水ズルズルでした(^^;
我慢して、床下への暗転の時、盛大に鼻かみましたm( )m

でねぇ、これ、出色は、若君と千松の二人の子役たち。Wキャストで今日は誰だったかわかりませんが、子役らしいかん声で高い調子で、いかにも歌舞伎の子役らしい\(^o^)/
ずっと昔、誰の政岡だったか忘れたけど、我當の子だから、たぶん玉三郎なんだと思うけど、千松が凄いハスキーボイスでねぇ・・・こりゃあ、子役無理だよ、と思っちゃったもん。はっきり言ってぶち壊し気味でした。
その点、今日の子役は、子柄もソコソコいいと思うし、まず歌舞伎の子役の声ってのがとにかく一番でした。
それと、玉三郎にかなり指導されたと思うんだけど、セリフを歌えるところがよい♪
昨今、大人の役者でも、セリフが歌えないヤツ多い。涙。

あ、歌と言えば、竹本が歌いすぎ!浄瑠璃竹本愛太夫・三味線豊竹淳一郎というコンビ。凄い声もいいし巧いんだろうけど、ちょっと歌いすぎ。昔のチョボというレベルなんかはるかに超えて巧いと思うけど・・・あんなに歌って、が鳴っては、煩い!もっと、声も抑えて良いと思うんだけどな・・・役者と掛け合いって場じゃないんだからね(^^ゞ

そして、菊之助!お辞儀!!菊之助様と様をつけてもいいよ(^^ゞ
沖の井は芝翫の名演が、ってより、芝翫しか記憶にないんですけど、いや、芝翫に迫るほどよかった(^^)
びっくりだよ!!あのやくざで大根の菊五郎の息子にしたら、誰の子?と思うほどまじめで、そのマジメなだけが取り柄で、その分あまり面白みがないし、イマイチ羽ばたけないなぁ、ちったぁお姉ちゃん(寺島しのぶ)見習えよ!と、思っていたんだけど、いやぁ、今月は、凄い!!
片はずしの格調の高さにも裲襠の重さにも負けてない!プログラムにも「『竹の間』は台詞劇の要素が強いので、ひとつひとつの言葉を大事にしなければと思います。」と書いていました。これがわかって、その通りできたのは素晴らしいです(^^)
フーム、「玉手御前」凄く褒められていたもんねぇ・・・見ればよかった。一応VTRは取ってあるので、ま、見ようと思えば一応は見えるのですが。

それと、八汐!この役はけっこう好きなんです(^^ゞ
なんだか、年中(17代目)勘三郎ばっか、見てた気がするけど、仁左衛門のも団十郎のも見てますけど、印象としては勘三郎の八汐で出来上がっちゃっているから、愛嬌が強すぎる気がしてました。
ま、えぐい役だから、愛嬌がないと、本気でお客が石でもぶつけてきそうだけど(^^ゞ
それにしたら、今日の歌六の八汐は愛嬌に流れず、かといって、ちょっとおかしみもあって結構でした(^^)

この人、最近カスがない!おまけに大事にされてます(^^)

さあ、問題の栄御前。これがね・・・可もなく不可もなく、というよりは、セリフも佇まいもけっこうなんです♪きれいだし品もいい…ただ格がない!これ致命的(^^;
誰だろう?と思っていたんだよね。今、プログラム見たら上村吉弥でした。フウン、でも、平成13年の松竹座から栄御前て二度目なのね・・・。あ、こないだ田之助の栄御前が床几にかけてアレレ、そうだっけ?とか思ったけど、あれかけるものなのね。今日、思った。執権の奥方という格でかけるのか、と、今更気が着いた・・・バカですm( )m

ま、いいや。
今月は、端端の腰元連中まで、きちんとしつけができていて(芝喜松や志のぶも出てます)、立ち居振る舞いもきれいだし、第一台詞に気合が入ってる!全員若い腰元ってわかるのはよいんだけど、その分台詞の声が高くて、宝塚の研一生が張り切って言ってます、って感じが強いです。
そういえば、裲襠は、八汐と沖の井だけで、松島とか出ないのね。これは役者の顔ぶれによって、沖の井と松島で良い役柄を分けるんだなぁと、こちらも今日、納得。

そうだ、小槙という役柄で、それが夫の仇を討つために栄御前に勘違いさせる種をまいたことになってます。その役を児太郎かやりました。召しだされて花道から出て、本舞台・所作・台詞、地味だけど一通り過不足なくて、「成駒屋」と飛んでると、ん?魁春?と思ったけど、まあいくらなんでもそれはありえなさそうなので、誰だ?と思ったら児太郎でした。福助の執念なんだろうか?地味だけどよく育ってます。まあ、地味ってのがナンですが(^^;

さあて!今月、無理して夜のチケット取ったのはこのため!
たった2~3分で終わるのは覚悟!!
だけど、その2~3分が、私の一生の観劇記念になるかも、と思っていったんだけどね・・・涙!
行ってよかったなぁ(*^^*)

本当に2~3分!ただ、一生の2~3分だった!!

孝夫さんの仁木弾正は、颯爽としていてモノスゴク光り輝いて、歌舞伎座中孝夫さんにして、ウワァ\(^o^)/と言う感じでした。
吉右衛門はねぇ、暗いの。照明の当て方も違うんでしょ。今日は殆どツラ灯だけみたいなものでした。
孝夫さんは、勿論ツラ灯と、それにしても明るかったなぁ・・・定式幕に孝夫さんの影が大きく映って、それも見ものだったのです。
吉右衛門は定式幕には、それほど大きく映してないもの。それと、ちょっと柄が悪くて、あっネズミに化けてたヤツなんだ!と思い出させて、それでもなおスケールがでかくて、歌舞伎座中の観客全部を奈落の底に引きずり込むみたいでした!!

ゾゾッとするのは、ふたりとも同じだけど、ゾゾっの意味が全く反対なんだよ!!
で、これ見ると、後の「問注所対決・刃傷」見たいんだよねぇ・・・でも、しかたないっす!それ考えて三階ってこもあるんだから。ここでサヨナラしてきました。涙。

吉右衛門と仁左衛門。正に東西の横綱。歌舞伎座の天井支える二人なんだなぁ・・・と確信。
でもさ、対談とかトーク番組なんか見ると、これは圧倒的に孝夫さんの方が面白いし若い♪
元々、万之助のころから、老成してたし爺むさかったし、これは個性で仕方ないんだろうけど「幸四郎は兄」です。息子に見えたりする。技術的にも、だけど(^^;

プログラムの上演記録を見ると、私の見ている「先代萩」で対決・刃傷まで見たのは、昭和42年の新橋演舞場の雀右衛門の政岡で猿之助の弾正・竹之丞の八汐だわぁ。これだけです。
竹の間・御殿と床下まではもう何度も見てますが・・・歌右衛門だけでも三回くらいは見てます(^^)
梅幸の政岡は一回しか見てないなぁ・・・。幸四郎(白鴎)の仁木弾正も二回は見てる。松緑は一回だけですねぇ。


それにしても、夜はもうだめですねぇ・・・事故で遅れて大混雑で、元々通勤電車の通勤時間帯ですから、G車にしとけばよかったんだけど、帰りも地元駅はタクシーになるし、ちょっとケチったら大変な目にあいました(^^;
でも、途中で、席を譲ってくれた若い女性がいて、もう感謝、感謝でございましたm( )m
もう、夜は出かけられません(^^;