5月22日(金)

「日本画の100年展」
「奏楽堂」見学
「ルーベンスとその時代」


「日本画の100年展」

ついに行ってきたぞ!!
もう、先週18日のことだけど、芸大美術館の「日本画の100年展」!!
凄く行きたかったのだけど、なかなか、東京まで出るチャンスがなくて、
おまけに、5月3日、あんなことになって、ま〜あ、混雑振りがおっそろしいと思っていたし、
5月・6月は何かと多忙にして、しかもしんどい月で出たくはなかったんだけど無理して大正解!!

ありがたいことに、18日は雨!しかも朝方、結構強く降っていたので、これはそんなに混まないかも・・・
と読んでいったら、ばっちり!ガラガラで拍子抜けでした。
しかし、ありがたいことです。
「ロー・コレクション」に続いて、縦・横・斜め、遠・近・上・下・・・見たい放題(@_@)
しかも、架けてあるのが超ド級のウルトラ名画ばかり!
写真なんかでは見ていても、はじめまして、のものばかり!いやぁ、嬉しかったです!!

横山大観の「生々流転」の前では、ホントに足が震えたわ(涙)
ま、とにかく、最初から菱田春草なのですよ!
「四季山水」の淡彩な、それでいて豪華な雰囲気は独特のもので、私の大好きな
悲母観音だったっけ(芳崖の悲母観音に似た構図の)の神々しさとはかけ離れているけれど、
日本画らしい美しさのにじみ出る作品でした。
小林古径は、「加賀鳶」の粋のよさと(火事ーごめんなさい)華やかさが素敵だったけど、
せっかく古径なら、ちょっと他のが見たかった、という思いも・・・贅沢だなぁ(^^;

一号室の突き当たりの(真正面)はご贔屓、速水御舟の「洛北修学院村」!
例の速水グリーンというか、あの深緑で全編が覆われた静謐な雰囲気と言い知れぬパワーがある。
これ、24歳の時の作品よぉ〜!!
そう、だからかな、そのパワーが、ちょっと生々しいかな?とも思える。
静謐な雰囲気は凄くいいんだけど、パワーが、もう少し枯れてくるともっといいんじゃないのかな?
なんて生意気な独り言、それにしたって、ここでも、後からくる人たちの邪魔にならないよう気を遣いつつ
だいぶ粘ってしまいました(^^;

それで、大観の「生々流転」ですよぉ!
ホントは、その間に下村観山の「大原御幸」があったんだけど、チョイ期待はずれでした。
なんたって、「生々流転」!
私は生まれて初めて見たのです!!
ホントに話しだけは聞いていたけど幻の名画でしたから、もう、感激、感激!
今度いつ見られるか、わからないですからね、本当に縦横斜め遠近上下、あらゆる角度から見せていただきました。
最初、絵巻物の展示で、なぜガラスケースなのよぉ、見にくいジャン、と思っていたら、
考えれば、絵巻物は畳の上、とか机の上で開いてみるものですからね、これで正解。
しかも、こんなにゆったりあちこちから見られるなら、ガラスケースで上から見るのと、
腰を折って横から見るのと景色が違うのですよ。
これは、美術館側の配慮に感激!
あの細〜ぉい線を重ねて波頭を描いているのですが、それが上からのぞくとその細い線の力強さが、
横からのぞくと、のぞいた位置によって、波頭が強くなったり、弱くなったり、
そうすると、川の流れの速さも微妙に変わって、
岸辺の木々の梢が風にゆれているのだけれど、その揺らぎもまた変わってくるのです(涙、涙)
いやぁ、凄い!凄い!

女人像としては、松園の「序の舞」、何度も掛け違って私は、これも初めて!!
いやぁ、ど迫力!
女人像は、これと、小倉遊亀の「浴女」かな?
よく教科書に出ている清方の「一葉」も出ていたけど、構図が地味だし、
深水は、深水だけ見ているといいけれど、この中に入ると、ちょつとね。

橋本関雪の「玄猿」は迫力あったなぁ!画中の猿と目があったら、思わず伏せてしまいましたもの。
川端龍子「金閣炎上」はちょっと期待はずれ。あれ、どこかで写真で見た記憶があって、
そのほうがよかったかも・・・65歳なら、まだまだ、日本画としては衰えていない年だと思うのだけど・・・

そう、前田青邨が前期のみ展示で見られませんでした、くぅ〜!!

そういえば第二展示室に安田靫彦の「黄瀬川陣」があった!
これも、教科書やら美術雑誌みたいなものにはよく見るけれど、生は初めて!
いやぁ、あんなに大掛かりな屏風だったのですねぇ、感激感激!!
私は、この人の「王昭君」を見て日本画にはまったので特別な思い入れがあります。
でも、その「王昭君」のナマを見たことはないんですよぉ〜(^^ゞ

どこまで書いても尽きないけれど、こうなったら、最後まで!

菊池芳文という人は寡聞にして知らず初めての見参!
すばらしい桜の屏風絵でしたが「小雨降る吉野」という題名が、雨に濡れてる感じがあまり・・・
でも、華やかで、きれいで、私好み(^^)
後で気づけば、朝日新聞のこの展覧会の紹介記事の写真はこれだったのですね。

さぁ〜、来たよ、来たよぉ〜!!!!
第3展自室は、しょっぱなから、奥村土牛と東山魁夷ですよ!
そんな贅沢していいのかな?ってなもんです、うきうき(@_@)
で、それがね、慌てて近づくと、二点ともあまりよくないの。
えー、こんなかなぁ、とか思いつつ、行きかけて、ふと後ろを振り返ると、
土迫力の土牛の「信濃の山」と魁夷の「残照」が迫ってくるのです。
「信濃の山」も涙が出そうだったけれど、
「残照」はホントに泣けました!!
柔らかな山並みがいつもの魁夷の緑色とはすこし違った山岳色というのかな、そこに強い落日の日差しではなく、もう茜色とも言えない、そこはかとない日の「残り香」のような光がいいんですよぉ〜(ウルウル)

そいで、
いつもはアブストラクト一歩手前みたいな片岡珠子が「渇仰」という能の石橋物を描いてるんですが、
これがいい!横浜美術館迷っていたんだけど行こう!って思ったもの。

あ、その前に杉山寧、平山郁夫、高山辰雄!
高山辰雄はここで3人というと、チョイ落ちるかな?
今回の展示品が悪かったかな?
平山郁夫も、今回の杉山寧に比べればやはり一歩譲るでしょ。
というくらい、この杉山寧「穹」はすばらしい!!!
大昔からこの人が大変好きで、いろいろ噂も聞いていても絵さえよければいいと思ってますので・・・
そういえば、その頃、平山郁夫は、あんまりいいと思わなかったのです。
ただ、凄く人格者だというお話は聞いていて、杉山寧との比較で、
よく、「いくら人格的に立派でも、絵がよくなくちゃ。たとえ人でなしだって絵描きは絵が命」とか嘯いていたのですけど、
そのうち、平山郁夫さんは絵も凄くいい絵をお描きになって(昔からいい絵で、私がわからなかっただけかもしれないけど)好きになって、
でも、それでも、杉山寧は杉山寧!
たとえ権力亡者でも、絵がよければそれでいい、と私は思うのです。

今回の看板やチケットに使われた加山又造の「春秋波涛」はいうまでもなくすばらしい!
幻想的で、華やかで私好みです(えっらそう〜)
とどめは中嶋千波の「坪井の枝垂桜」1999年製作というから最新作でしょうか?
中島千波は桜だけ、といわれても、好きです!
でも、加山又造とか見ちゃうと・・・ちょっとカレンダーかな、とか(^_^;
いやぁ、桜って、本物見るより、絵に描かれた桜が好き。
なんだろう?描いた人の思いが宿るからでしょうか??
桜の華やかさとはかなさとが描く人によっていろんな構図と彩色を施されて、浮き上がってくるというより、
引き込んでいく、ではないですか、あれがこたえられないですね。

いやぁ〜、よかった!

奏楽堂

帰りに、ちょうど奏楽堂を公開していたので、なかなか、音楽聴きに来ることはできないので、
せめて中だけでも、と入館してみました。
いやいや、ホールがよくできていて、あの時代に(明治23年完成、昭和58年移築のため立て替えられてはいるけれど殆ど復元)ホントに小さいけれどパイプオルガンもありで、
いすの配置もよく考えられているし、すばらしいものでした。

「ルーベンスとその時代」

もひとつ「ルーベンスとその時代」をがんばったんだけど、こちらは、もともとルーベンスという名前が
集合名詞的に使われていることも多いので、
「ルーベンス」とでていても「?」っという感じのもあったり、「ローコレクション」で見てきたばかりの時代に合致するものが多かったせいか、インパクト薄し!
ま、芸大美術館でだいぶ気合入れて見たからね、かなり、疲れていて、
そのせいもあったかもしれませんる

翌日、絵の好きなお友達にご報告!「凄くよかった」の連発で責め立てる!
彼女は「明日、ホノルル美術館見に行く予定だったのですよぉー」と悩む!
そうお、ホノルル美術館もいいかもしれないけど、日本画の100年もよかつたわよぉ〜、とつつく!

で、後日ご報告の電話が!「もう、最高でした!」とのお言葉。
ホノルル美術館パスして、芸大に出かけられたそうな。
やはり、「生々流転」!今度いつ見られるかと思って、縦横斜め遠近上下の口だったようです。
お母様も同行されて、よかった、よかったと喜んでくださったそうなので、嬉しいです。
我が家?我が家は、彼女に電話した後、やはり母に相当吹き込んでおきましたから・・・
でも今週はBSで勘三郎特集があるからなぁ。

それにしても、いい絵(いい音楽、いいお芝居もね)はいいものです。
すばらしい作品を残してくださった芸術家の皆様方に感謝感謝!