7月19日(金)

韓国名宝展 に行って来ました。

サッカーW杯の共同開催事業の一環としての日韓文化交流事業です。

いやぁ・・・これは確かに名宝です!!
凄いものばかり!!よくぞお貸し下されたm(__)m

まず―文化財指定の「国宝」「宝物」とは大韓民国の制度によるものです―という記事を読むと、
やはり、かの国の歴史の一端を考えざるを得ません。
勿論、それは大陸と台湾とのそれぞれの「故宮博物館」にも言えることなのですが・・・。

一つの名宝・国宝の持つ「重み」―単に重要だというだけの意味でなく、いろいろな重みを感じます。

まず、「先史・三国時代」の高い鍛造技術の製品群。
ここで、驚いたのは、高度な製品群でなく、日本で、従来呼びなれている、高句麗・百済・新羅・加耶・の呼び方です。
こうくり・かやは同じなんだけど、百済は「くだら」でなく「ひゃくさい」、新羅は「しらぎ」でなく「しんら」と、
わざわざルビがふってある!!
へぇ!?そうなんですか?!
でも、日本史の仮名ふりのテストで「ひゃくさい」「しんら」と書いたら×が来そう(^_^;
そうなると白村江(はくすきのえ)は、なんと読むのやら・・・と考えていたら、あっ、韓国では、
「そんな地名にあたるところはない」
「『白村江の戦い』など朝鮮史上存在しない」という記事を読んだことを思い出しました。
どこで?忘れた(^_^;調べときます(^^ゞ

ここでは、新羅文化の白眉!といわれる豪華な金冠が目玉!!チケットやチラシになっています。
最初に世に知られた新羅の金製品としても有名で、ふだんは、韓国の国立中央博物館で国宝として鎮座している逸品です。
しかし、新羅と言うのは日本で言えば「平泉」のような黄金の国ではあつたのですねぇ・・・何もかも金尽くめ!!
やっぱり、朝鮮半島に台頭し、諸国を圧していくだけの財力があったのだと納得(^^ゞ

そう言えば、百済の「武寧王と王妃の墓」の発見による埋葬品などもありました。
この墓陵は、墓誌が残る百済の未盗掘墳として有名ですが、
冠飾・垂飾付耳飾・金製頸飾・金銀製訓飾(うでわ)の四点が出点されていました。
これもふだんは国立公州博物館に秘匿されているものです。
6世紀の百済の美的感覚と技術の繊細さがよく表されています。

「仏教美術」

日本では、百済から贈られたという「百済観音像」のイメージから、
百済の仏教美術で韓国全ての仏教美術をカバーしてしまいそうですが(自分のことです。スミマセン)
いやあ、当然のことながら、仏像にも時代によって多種多岐の流れというか、特徴があるのですね。

8世紀の統一新羅の薬師如来立像などという仏様はその時代の金銅仏の中で最大、といわれていて、
日本の大仏様のモデルでもおありになるそうで、当然のことながら、百済観音様とは大変にちがいますねぇ・・・(^^ゞ
大体、この時代の仏様は、みんなふっくらというか、ドーンと構えて、慈愛の仲にも、矢でも鉄砲でも持っておいで、
私がみんな払い落としてあげよう、というたくましさが強くていらっしゃるような・・・(^^)
個人的には、6世紀百済の「如来立像」という7〜8cmの仏様が、
勿体無いことながら「ペンダントトップ」にでもしたいようなお可愛らしさで好きでした(^^)
これ、ペンダントトップだなどと浅はかなこというから剣呑で、懐持仏として、いつも身に付けていたい、といえば立派なのですよね!!
そういえば、シガレットケースにしたいような経箱(高麗・11世紀)もありました。罰当たりですm(__)m

そうそう、「隅柱彫刻武人像及び獅子像」というのは、大きいだけで、別に・・・という感じでしたが、
「武人像が西域人として表される例は統一新羅時代の8世紀から」ということで、彫刻史として大事らしい。なるほど♪

高麗の「風鐸(ふうたく)」「龍頭吐首(りゅうとうとしゅ)」は、なかなかのエクステリアという感じです。
「風鐸」はゴッツイけれど、俗に言う風鈴で風に揺らされて音色を楽しむもの。
「龍頭吐首」は鬼瓦みたいな感じで、屋根の四隅に差し込んだ装飾で、口から水を吐いて煙を防ぐスプリンクーラー??
これ、二つで一具なんですが、どういうわけか、国宝指定は「龍頭吐首」だけ。なんで?

「高麗青磁」「朝鮮陶磁」

このあたりは、軒並み涎と溜息の連続になるような逸品〜国宝揃いで・・・
「青磁透彫七宝文香炉」「青磁亀型水注」「青磁魚龍形水注」・・・などはガラスにデコくっつけてアッチャコッチャから眺め回しました(^^ゞ
「白磁」も素晴らしくて、「白磁象嵌蓮唐草文鉢」なんて、溜息、溜息・・・このあたりの青磁・白磁は国立中央博物館の所蔵品です。
で、この青磁・白磁のほかに「粉青沙器(ふんせいさき)」というのがありまして・・・
これは、「灰地の胎土の上に白土を用いて様々な装飾を施した陶器の総称。略されて粉青。日本で言う三島・刷毛目。
高麗時代末期の象嵌青磁が新たな時代の要請にこたえて変貌を遂げた」と解説にありました。
「粉青象嵌蓮唐草文瓶」といのが、素敵だったのですが、
これは、先の「白磁象嵌蓮唐草文鉢」と同様「東垣 李洪根氏」という個人からの寄贈品なのですよ!!
韓国にも凄いお金持ちがいらっしゃるのですね(*^^*)

「絵画・書跡」

朝鮮時代(1392−1910)の絵画は、高麗時代(918−1392)に盛んであつた仏教絵画に代わり、
山水画、花鳥画・人物画が中心となり、多くの宮廷画家や文人画家が輩出した。
山水画は中国の影響を受け多様な展開を示したが、鄭善攵(善攵は一文字、チョンソン)により韓国固有の真景山水画も確立された。
花鳥画は墨竹・墨梅の他、猫の卞相壁(ビョンサンク)、花蝶の南啓宇(ナムケウ)などの傑出した画家達を輩出した。
―(会場、展示説明より)

鄭善攵(チョンソン)の「金剛全図」というのはチラシなどにも乗っており、一押しの大作らしいのですが・・・
まあ、よくもああんなに細かく描いた!という驚きは驚きとして・・・

「瀟湘八景図」(伝・安堅(アンキョン)・16世紀)というのが、よかったですが・・・
これ大観の「瀟湘八景」の元画なんだと思うのですが・・・身びいきなんでしょうが、大観の方が良いような・・・

南啓宇(ナムケウ)の花蝶はかなり派手系ですが、やはり目を引きます。芸術的かどうかは分かれるかもしれませんが・・・
着物の柄にはしたいかも(*^^*)

2メートル四方の韓国最大という「青竜頭」がありました。でかいだけ!!というか・・・
あと、「虎」について言えば、朝鮮時代の虎図は、支配層に属する画家によるものと、民間の職人によるものと二系統があるそうです。
今回はチラシの「猛虎図」は引っ込められてしまって、民間系の「虎図」が出展されていましたが、
これも国立中央博物館所蔵だそうです。

一般に、仏教美術・陶磁器の芸術性の高さから言うと、同じ国のモノとは思えないような・・・ゴメンナサイm(__)m
そういえば、「李朝の工芸品」展でも、そんなこといっていたような・・・スミマセンm(__)m
でも、それが私の正直な感想です(^_^;

「宮廷・両班」

ここはまた朝鮮・韓国の芸術生の高さと洗練された美意識・細工の技術の高さが伺われます。
色彩の取り合わせも欧米からかけ離れた独特の豪華さと優雅さを持ち、絢爛たる宮廷世界を垣間見せています。
水滴・書案・文机・書架・香炉・燭台・箪笥・文箱・・・・数え上げれば切りの無い逸品の数々が並んでいます。

個人的に面白かったのは「トンダリ」と呼ばれる武官が着用した軍服。
表地は黒なのですが、裏見頃は橙、袖は紅、と、かなり大胆な配色で、これが軍服?という感じです。
礼装用だったのでしょうか?

髪飾りの豪華さはここでも目を見張りました!!
それと、女性用の礼服「円衫(エンサン)」と王妃・王世子妃の平伏「唐衣」―いずれも19世紀末〜20世紀のもので、
宮中遺物展示館所蔵品です。


いやいや、見甲斐がありましたけど・・・疲れました。
それにしても、やはり、13世紀ころまでの芸術性の高さを考えれば・・・
日本も、イイモノは15〜6世紀くらいまでだし・・・
中国なんて、10世紀末ころまでなのかも・・・
芸術は・・・地球は終わりに向かっているのかな・・・(;_;)