5月28日(水)

ロマノフ王朝展

もう、ニュースになるたびに混んじゃうから、これ以上宣伝しないで〜、とハラハラしどうしだった↑ロマノフ王朝展に、
やぁ〜っと行って来ました(^^)v
期間としては、けっこう長いのですが、相当に良い物が来ているらしいので、
またヴェルサイユ展のようになったら困る、と心配していたのですが、案の定、開催一ヶ月足らず、というのに、相当な混雑でした。
大体「ロマノフ王朝展」のHPで「今日の混み具合」なんてのを流していて「平日はすいてます」という事になっているのに(^^ゞ

で、その結果は・・・よくもあんな素晴らしい貴重品を、あんな渋ちんのロシアが貸してくれたとビックリです(^_^;
よっぽど外貨が欲しいのだろう、とは確信しました。
それと、やはり、ロシアと言う国の持つ歴史と伝統の重みと底力ですね!!
これは、いくら、金持ち国のアメリカが頑張っても、このロシアの持つ文化性には勝てないわぁ(^^)

但し、その文化を形成することを許した莫大な富を提供するためにロシアの農奴たちがどれほどの酷い仕打ちを受けたかは、
この際、置いといて・・・ということにしなければ、その宝飾の数々に酔うことは出来ません。
で、また、ミーハーのワタクシメは簡単に忘れて見入ってしまいましたm(__)m

T. ロマノフ王朝の系譜

ロマノフ王朝は1613年〜1917年に亘り、約300年間の権勢を振るったロシア最後の王朝です。
時代も江戸時代と殆どWっているし、日本を徳川「王朝」時代とするならば、かたやロシア正教・片や朱子学という形での、
封建社会という風に、独断と偏見で「私」は捉えています。

でぇ、ロマノフ王朝の初代はミハイル・フョードロヴィチ・ロマノフです。
彼が初代ツァーリ(専制君主)であり、最後が皇帝ニコライ2世であることは、
彼が1891年の世に言う「大津事件」の主役ということもあり、また去年の「アナスターシャ・ブレイク」もあり、
けっこう記憶にあります。
後は、大黒屋光太夫を日本に帰国させてくれた、というだけでなく、
沈没しかけたロマノフ王朝を建て直したという名君の誉れ高いエカテリナ女王、
そのご亭主でどうしようもないフランスかぶれの馬鹿皇帝といわれるお気の毒なピョートル三世・・・もうそれくらいでネタがつきましたm(__)m
後は・・・知りませんねぇ・・・近くて遠い国!!
特に、ソ連になってから以後の遠さたるや!!

今回、目録に載っていたニコライ2世の「大津事件前後」の日記を読んでホントにビックリ!!
なんで、この友好的な状況を保ちつづけることが出来なかったのか?
残念ですねぇ・・・それほど、ニコライ2世の日記は親日の情に溢れています。
ただ、言わせてもらえば、去年のNHKの特集などを見ていた時も強く感じたのですが、
このニコライ2世と言う人は大変に優しくて繊細で、自分の家庭では、とってもいい人、良き夫・よき父で・・・
でも政治的能力というものが欠如していた、という印象があります。
ロシアが崩壊しても仕方のないことだったのかも、そして、ソ連・・・ゴルバチョフはいい人でしたけど、
そのおかげでソ連が崩壊したとも言える(^^ゞ
良い人が政治家になると国が持たない、とは言えるかもしれませんねぇ・・・(^_^;

あらら・・・、飛んだほうへ発展してしまったm(__)m

U. 華麗なるロマノフの宮廷生活

これが凄かった!!
ガードマンがこんなに少なくて大丈夫?と、思わず心配してしまいました(^_^;
それほど、豪華な宝飾類・金銀の食器類・夜会服・礼服・玉座まで持って来ちゃった!!
「イコン」は、Vに「ロシア正教とイコン」として別にまとめられていますが、特に豪華なものが、聖杯なども一緒に
このコーナーにも展示されています。

素晴らしかったのは、19世紀後半くらいの金銀をコーデイネイトしたティーセット!!
ひとつは茶器の7点セット(ケトル・ティーポット・コーヒーポット・クレーマー・シュガーポット・キャンディーポット、一点足りない?!)、
もうひとつは、「モスクワの風景付きティーセット」という17点セット!これはトレイからポットからカップ&ソーサーに至るまで、
全てに モスクワの風景画を焼き付けてあります(^o^)/〜
「黒金象嵌版画」というらしいですが、溜息ものです♪
もひとつ「ブリオートカ」という湯沸し器!蛇口の付いた大きめの金属ボールに脚をつけて、下からアルコールランプで温める、
という形式で、その優雅な曲線と材質(銀だった?)の質感が素晴らしいのです(^^)
金銀とエマイユ・螺鈿に彩られた「水差しとトレイ」の美しさ!!
「ブロンズの取って付きティーポット」の愛らしい豪華さ・・・いかにもマイセン♪という感じです・・・涎、涎!!

宝飾類は箱自体が宝石だ、という宝石箱から始まって、ダイヤ・真珠・金が圧倒的に多く、そこへルビー・ガーネットが入り、
エメラルド・サファイアは思ったより少なかったですね・・・これは今回の中では、ということなのか、
エルミタージュの特色なのかわかりません(^^ゞ
しかし、ダイヤが半端じゃなく凄い量で使われています。
チラシ・チケットに使われているペンダント・ブローチの素晴らしさはクラクラしちゃうほど!!
でも、輝き自体は以外にそうでもなくて、クラリティはそれほどでもないのか、あるいは、ホワイトサファイアのコピー?
ヴェルサイユ展の例もありますし(^_^;

ガーネットのペンダント・ブローチも素敵でした(^^)
日本人は、ガーネットって安物扱いしますが(最近はそうでもないか(^_^;)、ヨーロッパの王室ではけっこう大事にしますよね(^^)
ガーネットの赤は血行をよくする、と言いますし・・・そういえば、その話をした時、
某友人が、じゃあ、グリーンガーネットはどうなの?と、すかさず聞いて来たけど・・・どうなんでしょう?
ヨーロッパ王室と言えば暗紅色というか赤のガーネットですからねぇ(^^ゞ
真珠は大粒のバロックタイプを一粒垂らす、というデザインもありますが少なくて、精々6〜7ミリの真珠を少し並べるか、
多くはシードパール・芥子パールをぎゅっと並べるような物が多いですね。
 
パナギアというのは「エマイユ」というキリストや聖職者を描いた小さな絵を真中に貼り付け、
その回りを宝石で飾りつけた大き目の胸飾りのようなものですが、それが、豪華でしたよぅぉ!!
これはダイヤだけでなく色石をたくさん使ってカラフルな仕上がりです(^^)

衣裳のところでは、エカテリナ二世が実際に着用したと言う近衛連隊将軍の制服がありました。

V.ロシア正教とイコン

「ロシア正教とは?」というのは、
世界史では「キエフ大公ウラジミールが領土拡大のために一神教であるキリスト教を受け入れ、
従来の土着の信仰ととけあってロシア正教が生まれた」・・・・と、そこまでは覚えていたのですが・・・
意味わからない、丸覚えね(^_^;

「キエフ大公国」というのはロシア史上初めての国家である、
キエフ(現ウクライナの首都)を中心とする東スラヴ人の連合国家で「リューリック朝」というなんてのは私は初耳でしたm(__)m

15世紀以降、「モスクワ公国」によりロシア統一がなされると「モスクワは第三のローマだ(ア!このフレーズも記憶ある♪ルンルン♪」として、
ロシア正教はコンスタンチノープルから独立しました。
以後、教会は権力を強め、ロシア帝政の存続に密接に関わっていきます。
そのため、1917年のロシア革命以後は、ロシア正教は弾圧を受けましたが、
1985年のペレストロイカによって信教の自由が認められて復活しました。
以上、目録&インターネットをまとめました(^^ゞ

「イコン」というのは、「東方キリスト教世界で使用されている礼拝用の板絵」(富田知佐子・大東文化大学講師の目録解説文より)
だそうで、語源は「像」を意味するギリシァ語だそうです。
私は、絵画を縁取っている宝飾の部分をいうのかと、ずっと思っていましたm(__)m

もともと、ロシア正教では聖書にある「偶像崇拝の否定」ということから、「聖画像」を信仰の対象にしていたそうです。
えっ?画像だって偶像崇拝じゃん!と私は思うのですが・・・(^_^;
で、まあ、その聖画像が木にテンペラ絵の具で描いてありますから、傷みやすいんですね。
そこへ持ってきて、「イコンは地上と天国の間の窓」という発想、
「イコンを通して神の国を覗くことができる」という考え方があるそうです。
大体、神の国(日本なら仏の国)を覗く為には、豪華な装飾を施す物なのですね・・・洋の東西を問わず、って不思議(^^ゞ
イコンも、アンコールワットも、日本なら宇治平等院など大伽藍はみんなそうでしょ(^^ゞ
そして、その聖人の絵画などがランプや蝋燭の煤に汚れたりする事を嫌って、その汚れ防止にカバーをつけたそうですが、
それを宝石で飾るなんて!!

で、まあ、ここはイコンをはじめ聖職者の祭祀服・福音書など、ロシア正教関係の美術品を集めています。
「ヤロスラブリ」という地方は特に有名で、王家の人々だけでなく大公・貴族・名高い市民達もこぞって寄進したと言うわけで、
17世紀後半には、ヤロスラブリの銀細工師たちの流派は隆盛したということでした。
聖職者達の祭祀服も豪華な宝飾やビーズで飾られていて、その権威の強大さがわかります。
そうそう、福音書といのは聖書とは違うのかしら(^_^;
それにも、イコンのように華麗な装飾がありました。
これは読むのではなく、祭壇に飾るための聖書(祭壇用福音書)なんですね。

いやぁ・・・駆け足でしたが、なかなか充実した一時間でした(^^)v
しかし、ロシアはお金持ちだワァ!!
あっ、今のロシアではなくて、昔の帝政ロシアです・・・で、冒頭の感想に戻るのですけどね(^_^;