2004

2月6日(金)

「東山魁夷」展
「壮麗な屏風絵の世界」展


まずは
「東山魁夷」展
横浜美術館に行ってきました(^^)

私は速水御舟が好きなのですが、一番大本になっているのは東山魁夷なのです(^^)
勿論御舟のほうが先輩なのですが、私が知ったのは魁夷のほうが早かった・・・実は母が大ファンなのでした(^_^;
そういうトコは似ちゃいますネェ(^_^;

横浜美術館は中国展依頼の大混雑でした!!

何しろあの魁夷グリーンとでもいうのでしょうか・・・素晴らしい緑!!
深緑、明るい緑、影になった緑、光の当たった緑・・・様々な緑のバリエーション。
そして魁夷の白!!
靄の白、霧の白、白馬の白、雪の白、光の白・・・・。
まあ、花も紅葉もあるのですが・・・緑と白のバリエーションの多彩さには負けますネェ♪

そして、その緑と白が相俟って描き出される・・・深甚な哲学的とも思える清浄さと静けさとが支配する魁夷の世界ですが、
今日、新たに感じたのは、何しろその質感の素晴らしさ!!
なんで、魁夷の絵がこんなに素晴らしいのか、といえば、
その質感なんですね(^_^;
緑の美しさ・深さは葉の一枚ずつが重要な質感を持ち、その一枚ずつが重なり合って生み出す更なる質感が・・・と
大きなキャンバスに広がり、更に見る者の心に宇宙的に広がってくるのですね・・・拙い言葉でホントに申し訳ないです。
この素晴らしさをどうして伝えたらいいでしょうか・・・!!

緑に覆われた山麓に朝靄がかかっている・・・光が当たっている処と翳になっているところは勿論
例えば、梢にかかる雪は下の凍った雪とその上に降り積もった柔らかな新雪、そしてそれが落ちそうに緩んだ質感とか、
そうそう、「窓」という昭和46年の紙本着色・額装の大作はヨーロッパの街角のようなレンガの腰壁と敷石が素晴らしいです。
質感といえば、やはり、一部の作品は日本画というよりは、油絵のような質感があります。

とにかく、今回お奨めは
bX6「山霊」昭和62年、紙本着色・額装 改組第19回日展 長野県信濃美術館
bW4「雪の朝」昭和55年、紙本着色・額装 改組第12回日展 東京国立近代美術館
bU3「雪の城」紙本着色・額装 第2回新日展 
bR9「冬華」紙本着色額装 第7回新日展 東京国立近代美術館
・・・これは素晴らしいですね(^^)
で、ここはわりとまとまったコーナーにあったので・・・もう涙、涙(^_^;

ちょっと面白かったのは
bT5「花明かり」昭和43年、紙本着色・額装 京洛四季展・・・魁夷の櫻って初めてだったんですよ♪
大観のあの櫻や奥村土牛・加山又造・中島千波の櫻は勿論素晴らしいですが、これはこれでやっぱり素敵\(^^)/

bW「スケート」絹本着色・額装 東京芸術大学美術館
は、ちょっとフリューゲルの冬景色に似ていたりして(^^)
bP0「凪」昭和15年、紙本着色・額装 紀元2600年奉祝美術展
例の天啓を受けた、という白馬のモチーフを拡大した(ンじゃないか?)と思われる白馬と鹿毛の馬が
放牧されている図ですが、ちょっと魁夷にしては珍しい構図だと思うんだけど(^_^;

そうそう、唐招提寺の襖絵が出てました。が・・・これはねぇ(^_^;
最初、さすがに襖ははずせないから写真で復元デモしたのかな・・・と思ったほど迫力がなくてねぇ(^_^;
それが、その裏側に回ると、墨絵の襖絵が、これは素晴らしいのです!!
あ、本物持ってきたんだわ、と(^_^;
で、その墨絵のほうは、唐招提寺御影堂障壁画「黄山暁雲」、「揚州薫風」、「桂林月照」というのですが、
そそり立つ山壁に靄がかかり頂に松の孤影の深沈たる静けさ。
風雨に揺れる柳の影やかすむ向こう岸、水の色のざわめき。
高いけれどまろやかな山の稜線に穏やかな月光の静謐さ。

・・・墨色のかくも多彩に発色するものかと感心するばかりです。
そして、やはり、ここには、魁夷の強い魂が潜むように思われます。


とにかく、挙げて行ったら限がないほど感激!感動!素晴らしい!ため息!涙(^_^;の展覧会でした(^^)

だからさ・・・もう買わないでおこう、たって買っちゃいますよね・・・図録(^_^;
どこに入れるんでしょう・・・(;_;)


ただ、残念だったのは、8日が前後の入れ替えだと思っていたら、6日(今日)からだったので、
結局前半の分は見損なってしまいました・・・もう少しきちんとチェックしとかなくちゃ(^_^;



で、これだけのもの見ちゃうと辛いかなぁ・・・とは思いながら回ったのは高島屋で
「壮麗な屏風絵の世界」展

これは、山種美術館の所蔵品展です。
しかし、山種証券て凄いですネェ・・・日本画の所蔵美術館としては日本一といわれるだけのことはあります(^^)

チケット・ちらしにもなっている、川端龍子の「華曲(二曲一双)」は龍子らしい豪華な牡丹と獅子です。
光琳屏風に見まごう杜若の「八橋(6曲1双)」も豪華でインパクト強し♪
大観の「陶淵明」もありました。これ山種の所蔵だったのね(^_^;
下村観山の「老松白藤」紙本金地・彩色・屏風(6曲1双)・・・これは素敵です♪
奥村土牛の「兎」って屏風だったの(^_^;と無知な私(^_^;・・・ええ?絵の兎もあるよ、確か・・・(^_^;
橋本関雪に「生々流転」という屏風があるなんて知りませんでした(^^ゞ
紙本・墨画彩色・屏風(6曲2双)で大変素敵ですが・・・「生々流転」としては大観に負けるような気がしますm(__)m
関雪はやっぱり「猿」でしょう♪・・・と思っていたら「猿の関雪」というあだ名もあるくらい猿の絵には定評があるんですってね(^^)
どうりで、と思いました・・・残念ながら屏風絵には猿を使っていないのか今回は出てませんけど。
片岡珠子の「むすめ」というのが、あの人には珍しく、本当に娘々した感じで可愛いの♪

森田曠平の「投扇興(4曲1隻)」は艶やかな舞妓の華やかな投扇興に興じる姿が大変にみやびやかです(^^)
守屋多々志という人は私は始めてだったのですが爛漫たる桜の下に袿姿の上臈がひとり、という「聴花(式子内親王)」!!
たまの緒よ 絶えなば絶えね・・・と詠うような意思的な強い眼差しがいいですねぇ・・・。

川崎小虎の「春の訪れ」というのは伸びやかな天女の舞でほんわかとした気分になりました(^^)

歯医者さんの予約時間のせいで、ホントに駆け足でしたけど、とにかく行けてよかったです(^^)
あれだけの東山魁夷展見ちゃうと、軽い感じになっちゃうかな、と思いましたが、
まあ、そこはそれ、それなりの方たちの作品が出ていますのでそんなにギャップを感じることはありませんでした。


見終わって、2時38分の電車に乗らなくちゃ駄目なんだけど、今2時31分というわけで、
店内猛ダッシュ→(帰りの切符は買ってあるので)ホームめがけて駆け上る→でもお腹すいてフラフラ(^_^;
食べる時間なんてないので・・・嗚呼どうしょう?!
こういうときの十八番・・・グリーン車でお弁当!!
でも、もう、ホームに電車が着そう・・・とにかく、ホームにある崎陽軒の売り場に走る→「お弁当ひとつ!」
もう電車が止まってます!!嗚呼〜悲鳴!!
ひったくるようにもらって、グリーン車両目がけて走るドアの入り口に飛び込んで、フゥ〜(^_^;
アー、お茶!ない!!忘れたぁ!!!
仕方ないでしょ・・・で改札待てずにかぶりつく・・・中味はいなり寿司四個に太巻き三切れ・・・五分くらいで食べ終えました♪
嗚呼!幸せ♪
久しぶりの充実感(^^)v
実は、私が美術館めぐりをひとりでしたがる原因は、これじゃないか?と自分でも時々思うんですよ(^^)
いやぁ・・・いいねぇ・・・でも横浜からではソノアトぐっすりとは行かず、その展がちょっと心残りでした。