6月17日(木)

本日は「紫式部日記」の日でした。

お友達が、速達で「かながわの絵」展のチケットを送ってくれまして、昨日到着しましたのでラッキー♪
とばかり行って来ました(^^)

そごう美術館
いやぁ〜、予想はしていたのですが、予想以上!!
それで、解説イヤホン無料貸し出し(勿論保証金は500円預けますけど、もどりますからね)!!へぇ〜♪
まあ、私は、こういうの嫌いなので借りませんでしたけど

第1章 横浜の開港と日本洋画の誕生

最初のコーナーは、去年の「近代洋画への道」で始めて知って惚れこんだ五姓田義松という人の一族で、ワォ♪

まず、お父さんが五姓田芳柳という1827(文政2)年生まれで江戸赤坂の紀州藩邸に生まれる、ということで
あら、紀州藩士なの?と思ったら、その娘の幽香という、これも閨秀画家になった長女が久留米藩邸で生まれたそうで・・・。
まあ、芳柳自身も始めの姓は浅田、そこから何度も改めて維新後に五姓田に落ち着いたらしいので、
あちこち養子にでも行ったのでしょうか(^^ゞ
↓長崎にもいたことがあるらしいし(^^ゞ

五姓田義松という人は、
↑の「近代洋画への道」で200号くらいの大作「人形の着物」という作品がありまして、もう素晴らしい!!の一言でした。
明治16年、日本人として初めてパリのサロンで入選した作品だそうです!!
西洋の初老の婦人が孫娘?に人形の洋服を縫ってやっている構図でしたが、
当時の海外の絵と比較しても全く遜色ないホントに素晴らしい物でした。

で、その義松氏は芳柳の次男で、更に芳柳の長女の幽香と共に長じて画家となりました。
父の芳柳は、義松の弟子であった倉持子之吉を養子として三女に娶わせ芳柳の名を譲って自らは芳翁と名乗ったそうです。

今回はまず、親父の五姓田芳柳から――彼は長崎に居たことがあるようで、
「かって長崎で目にした写実性の強い西洋画を元に和洋折衷の独自の表現で、絹地に肖像や風俗を描いた“横浜絵”を描いた」
とありました。
今日出展されていたのは「浪花婦人像」と「西洋婦人像」ですが、
「浪花婦人像」は日本画と油絵の中間的な感じで、
ジャンルとしては当然日本画なのですが、今までの日本画の肖像画とはちょっと違う、という感じです。
「西洋婦人像」の方は、
「“西洋婦人像”の清作に当たっては、当時広まりつつあった写真も援用されたと思われる」とありました。
はっ?援用?援用って何よ!!
感じとしては、フランドル絵画の感じですが、これってもしや写真を下絵に使ったということなんですかね(^_^;
つまり写真の塗り絵・・・ん〜微妙だなぁ・・・過度期ではあるもののそんなのありかな・・・(^_^;

その隣に長女の渡辺幽香、あっちんと画業を続けながら結婚していたんだわ!!
あの時代に偉い♪

五姓田義松 高橋由一とそれぞれ「江ノ島」の風景を描いてました。
あれ・・・義松は一点だけだったかな(^_^;
高橋は「江ノ島」以外にチラシにも載っていた「墨水桜花輝耀の景」が素敵でした♪桜の花弁の盛り上がりが見事です。
チャールズ・ワーグマンの「街道」という風景画は、今なら日本画の範疇に入るかも・・・でも、
彼のおかげで、日本の洋画というものが育ったのですから、ありがたい人ですよねm(__)m

小林清新の切り絵のような「新橋ステイション」・「天王寺下衣川」は幻想的な世界です。ことに後者は好き♪
三代歌川広重「横浜鉄道家寿の図」というのはうちにもあるぞ、カレンダーの切り抜きで♪
北澤楽天の「時事漫画」のポスターはナマを始めて見ました・・・この辺は教科書に載ってますよね。

第2章 岡倉天心と原三溪 ─日本美術院の画家たち─

つまり、日本美術界の親のような岡倉天心と、
蚕糸業で財を成し芸術家のパトロンとして指導者として、君臨した原三渓、
そのふたりが生んだ、育てた画家たちのコーナーですが
でー、このコーナーが凄かった!!

入ってすぐ、菱田春草・安田靭彦・下村観山・横山大観・小林古径・前田青邨・・・BIGNAMEがゾロゾロ\(^^)/

菱田春草は「夏汀」という始めてみた夏の景色です。悲母観音のような神々しさは勿論ありませんが大変に上品で素敵です。
その隣に安田靭彦「松風」「日食」「草薙の剣」
ふい、と後ろを見たらナント、ナント・・・大観だぁ〜!!
これが、あなた、一目で大観だとわかる絹本墨画の六曲一双屏風・・・画風がね「生々流転」のままなのよ\(^^)/
いや、「生々流転」とは違うのでしょうが、「生々流転」はここから始まった、という画風です(^^)v
傍に「霊峰不二 」「虎渓三笑」の三幅対の内の1が出てましたが、ナント、これが三点とも横浜美術館!!
さっきの菱田もそうです♪この後もいろいろあるの・・・お金持ちねぇ、横浜は(^_^;
下村観山もあったけど・・・何が出てたかわすれちゃつた・・・大観のそばにあるのは気の毒です(^_^;
でも原三渓のカモメの絵の軸があったわ・・・横浜音頭みたいなのを書いて画賛になってます。
絵も書もたいしたものです(^^ゞ
よく見る絵が出てる・・・・飛んで行ったら小林古径の「竹取物語昇天図(習作)」ということで、院展に出品する寸前の下絵でしょうか。
これでもかなり凄い!素敵です!
原三渓氏は古径をかなり可愛がって、死ぬまで交流があったらしい。
この絵も三渓氏が買い取り、三渓園からの出品です。

牛田■邨という人の「蟹江ニ題」「藁町の夕」は幻想的な雰囲気があっていいんだけど、
ちょつと今時のJRのポスター、という感じもしないではない♪
荒井寛方という人の「竹林の聴法」が素敵でした。
もともと仏教画から出た人で、三渓氏の許へ写生に通っていて、
その真摯な取り組み方を見た三渓氏が、芸術家の援護者となった第一号の画家だそうです。

前田青邨「秋風五丈原」は、おなじみ・・・「丞相病篤かりき」をテーマに、って感じじゃないよね(^_^;
速水御舟はいつもの速水グリーンがなくて。。。そういえば、この間の新聞に、
今、横浜美術館の館長さんが色々裏話を書いているのですが、
東山魁夷の同じような大きさの絵でも青は高くて赤は安いと画商に言われた、と歎いてました(^_^;
そりゃそうだよねぇ・・・速見と魁夷はなんタッチグリーンです\(^^)/
速水御舟としては「水仙図」「松径」が出てました。両方とも小品軸装のものです。
チラシに載っている「ポンポンダリア」というのは小茂田青樹です。あんまり・・・(^_^;


第3章 湘南が育んだ美術

これは、「EP○ONの美の巨人たち」の世界ですねぇ(^^ゞ
湘南に生まれた、育った、住んだ画家たちの絵です。
まあ、そんなこといったら、安田靭彦も大磯・平塚だし、小林古径も大磯だし・・・後の方に出てくる三岸節子も二宮だし、
鎌倉も湘南というなら、小倉遊亀も鏑木清方も・・・って言ってたら、ここにあった(^_^;

まず、萬鉄五郎で、ビックリした一枚!紙本水墨の「水沼」というのが。
だって、萬鉄五郎といえば、赤を基調にした極彩色のそれでいて寒々しい感じのする絵じゃないですか(^_^;
まあ、傍にあったもう二枚はもそういう絵でした。
「湘南風景」「日傘の裸婦」――赤ではないけど赤のイメージが強い、
それでいて寒々しい世界(^_^;

岸田劉生は、いつもの「麗子」のシリーズ、「童女図―麗子立像」。それと「鵠沼風景」
「麗子」は今日の一枚、今回の一枚というべきか・・・チケットにもなっているし、
チラシの一番大きなスペースを陣取っています(^^)
相変わらず遠めには不気味なんでしょうけど、この間から、私はかなり麗子の可愛らしさに目覚めたので微笑ましかったですぞ!

それが・・・ここで面白かったのは、劉生の弟子の椿貞雄という人の絵が出ていたのですが、
これが全く劉生のタッチそのままで、モチーフまで同じなの(^_^;
本人は、相当劉生を尊敬していて、どこに行くにも付いて歩いた、というのですが、絵までそっくりにすることはない、と思うんですが(^_^;
それだけ、傑作というか、かなり描き込んでいる感じで、チラシにも載っているほど!!
でも「菊子坐像」「朝子像」挙句に「鵠沼風景」というのはあんまりじゃない!!
でも画風はともかく、ホントに真面目な絵、しかもしっかり描き込んでいるから悪い印象はないんだけど、
帰ってから、ダンナにチラシを見せたら、「え〜!(麗子と)同じじゃないの!!」とビックリしてました(^^ゞ
でも、ここまで来ると師匠としてはどう思っていたんだろう?
案外困った奴だ、と思っていたりして・・・「お前、このままだと一生俺の影法師だぞ」とか説教していたんじゃないかしら(^^ゞ
それでいて、本人は、ケロっとして、「いやぁ、先生の影法師なんてこれ以上の光栄はありません」なんて心底喜んでいたりして・・・
そう、劉生に比べると大変に明るい気がします・・・人柄よさそうな♪

ここで面白かったのは、朝井閑右衛門という人の絵――一枚は「電線風景」、
もう一つは題名メモしそこなっちゃったのですが、二点とも一竹辻が花の絞り染めのような画風というか・・・感触でした!!
横須賀市美術館開設準備室のバーチャル展示室に行くと相当数画見られます

朝井という人は全然知らなかったのですが
「詩人草野心平氏が、その墓碑銘に『独創傑出の画家』と書いた」画家らしいです。フゥン・・・確かに凄いものがある(^^ゞ

小山敬三は茅ヶ崎におなじみの画家で、この人の「夏祭り」というのは、茅ヶ崎名物浜降祭で、
絵をそのままに茅ヶ崎文化会館の緞帳に仕上がっています。
今日はその原画というか、実物を・・・200号くらい?
もともとは長野の小諸生まれだそうで、茅ヶ崎には父親の別荘があったそうで・・・金持ち!!
だから小さな頃から茅ヶ崎にはよく滞在していたらしい、で慶応・留学・茅ヶ崎にアトリエ!!
と、こういうお人もいるんだわねぇ・・・(´∧`)〜ハァー


第4章 神奈川ゆかりの作家たち

有島生馬のナマ絵を初めて見ました\(^^)/
そりゃぁ・・・名前だけは勿論知ってますし、写真とか画集などでは見てますけど、ナマは初めて!!
「舞台衣装」という題で、いかにもオペラのプリマドンナが歌いきって、アンコールの後(^o^)〜ホーっと溜息をついてるような(^^)
生馬のお父さんて横浜税関の税関長だったんですってね!これは初耳!
そりゃそりゃ・・・あの時代の横浜税関長って言ったらたいしたものだったでしょう!!
黒田清輝の「逗子五景」・・・「湖畔」の色調を思わせる色使いで風景小品の五連作です♪

村山槐多の木炭デッサンがありました!!珍しい!!
しかも作品としてのデッサン画ではなくて、本当に練習だったらしく、和服の婦人の全身像ですが、
耳の傍に、耳の練習、足の傍に、足だけの練習のデッサンが描いてあって・・・これはGOOD♪
その隣に「湖水と女」という、チラシにも載っている和服の婦人像がありました。

中川一政の「向日葵」は、ゴッホの向日葵を十分意識していると思うけど・・・(^_^;
そういえば、例の隠れていたゴッホの「農婦」は中川氏所蔵だったのよねぇ・・・絶対意識してたって!

森田曠平の「松下童子」は最近どっかで見てきたなぁ・・・(^^ゞ
小倉遊亀さんの「良夜」は遠目にもすぐわかる、遊亀さんだ!!

山口逢春の「南嶋薄暮」というのがちょっとレトロな南国風景でチラシにも載ってます。
山口逢春ってこんな絵だったっけ・・・とくびをかしげながら、
今村紫紅も同じような南国のモチーフで「水汲む女」「牛飼う男」というのがあった・・・チラシを見て、今思い出したわ(^_^;
メモにもとってなかったけど(^_^;

棟方志功を見る・・・「湧然の柵」これはあんまり・・・後のほうに小品二点出てくるんですけど、「星座の花嫁」というのが、
なにやら偉くメルヘンチックで、え〜、棟方志功ってこんなの描いたのぉ〜(彫ったんだけどさ)という感じ(^_^;

岡本太郎の絵が二点。一点はいつもの「あ、岡本太郎」という絵なのですが、
もう一点が青というか蒼、藍、碧・・・をモチーフにした具象に近い絵で「まいこの夜」
伊藤深水の「祇王寺の秋」これはもう絵を見れば一発、モデルは智照尼さん(^^ゞ
―祇王寺と書けばなまめく牡丹雪―と、言うけど、これは秋なのだぁ・・・。

竹内栖鳳の六曲一双の金屏風「喜雀」というのがありました・・・というだけ(^_^;
その隣の鏑木清方の「ためさるる日々」というのは、題と絵が一致しないような気もするけど素敵♪
中村岳陵が自分の愛犬コマを描いた「白狗」というのはチラシにも載っているけど素敵です。二曲屏風に仕立てています。

加藤栄三の「馬」は馬の博物館からの出展ですが1.8×2.5メートルくらいの超大作♪
ホントに迫力あるの!!

ここにはないですが土牛の兎にしても、猿の閑雪の猿にしても、若冲の鳥にしても
やはり画家って動物は必須アイテムなのねん♪

川上澄生の「横浜回顧」というのは、ロートレックの(ポスター画を)コースター(にしたもの)を偲ばせる♪
木版手刷彩色紙で7×10センチ位のホントに小型の絵がだ〜っと並んでいるのは壮観です。
このままプリントしてお土産に出来そうです(^^)
最後の最後に三岸節子の「エッフェル塔」があった!!
これもナマは初めて!三岸節子の出世作と聞いてましたけど・・・凄い!とは思うけど・・・。
でもエピソードが面白かった!!
パリで修行中のある夜、凄い雷がエッフェル塔に落ちて、避雷針を通って行くのを見て、
絵画の技法を悟ったそうです。そういわれればインパクトは確かに感じるのよね・・・好き、とは言いませんが(^^ゞ


川端画学校という説明がアチコチにて出来て、なんだっけ?と思って検索したら
東京芸大日本画科の前身であり、東京小石川にあった川端玉章が主宰する川端画学校――ということでありました。



神奈川県立近代美術館 高橋は「江ノ島」/黒田「逗子五景」/萬鉄五郎「日傘の女」など
横浜美術館菱田「夏汀」/大観「江上舟遊」「霊峰不二 」「虎渓三笑」の三幅対の内の1など
平塚市美術館 安田「日食」椿「菊子座像」紫紅「水汲む女」など
横須賀市美術館開設準備室大観「陶靖節」岳陵「白狗」朝井閑右衛門「電線風景」など

そのほか、馬の博物館/大佛次郎記念館/神奈川県立歴史博物館
鎌倉市鏑木清方記念美術館/川崎市岡本太郎美術館/川崎市市民ミュージアム/三溪園/
女子美術大学/そごう美術館/茅ヶ崎市美術館/彫刻の森美術館
中村正義の美術館/日本新聞博物館 箱根・芦ノ湖 成川美術館/ポーラ美術館/真鶴町立中川一政美術館
棟方板画美術館/山口蓬春記念館 湯河原ゆかりの美術館/横浜開港資料館/横浜市民ギャラリー
などが協力していました\(^^)/

いやぁ、よかつた、ホントによかった\(^^)/
久しぶりに快く疲れた(^^)v