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9月30日(木)

「平家物語とその周辺」展

国文学研究史料館の今年の連続講演は「平家物語」です。
この2〜3年は、「平家物語」がブームということで、サントリー美術館でも「平家納経」の展示があったり、
いろいろなところでセミナーがあったりしたのですが、いよいよ、国文学の牙城というか、お膝元でも、
「平家物語」が取り上げられました(^^)
激戦が予想されて心配してましたが、めでたく三年連続抽選に当たって\(^^)/

それがぁ・・・この日は「源氏物語」の横浜の方の受講日だったのですよ!!
でも、第一回ですし〜、
講師の日下先生にも大いに興味があったし・・・というわけで、行ってきました♪
その御講義の話は、「古典継色紙」の方で(^^ゞ

で、本日から、国文学研究史料館では、その連続講演にあわせて「平家物語とその周辺」という
関連資料の展示会をしてました(^^)



第一部 武家の世界

ここは、「将門記」「保元物語」「平治物語」などの軍記物語の冊子本・絵巻物などです。
こちらの展示の良いところは、さすがに「国文学」と、言うところから、パンフレットにもキチンとした解説があり、
展示箇所に(ポストイットを切り抜いた)矢印が付いていて、ちゃんと読めるようになっています(^^)

保元・平治の乱の絵を描いた読本も出てまして、江戸時代は太平記ばかりでもなかったんだなあ、
と当然事ながら今更思うm(__)m
「東鑑」も出ていて一寸嬉しい♪読めたよ〜ん♪

「百練抄」と言う本があるのを初めて知りました(^_^;
解説では「編者不詳、13世紀後半成立、平家物語と共通する記事を多く持つ」とあって、
もしかして、ドッカで習っているかも、と思うとドキドキ(^_^;


第二部 平家物語の世界

「平家物語」の流布本・長門本。

先日の A先生の分類法では、
「平家物語」は「広本(読み本系)」と「略本(語り本系)」と、その中間に「中間本」と散文されていました。
その広本系の「延慶本(えんぎょうぼん)」というのが「長門本(ながとぼん)」で(全く=という説でもないらしい(^_^;)、
「略本(語り本系)」の代表「覚一本(かくいちぼん)」の約二倍はあるそうです。
覚一は坂東覚一。「平家物語」の琵琶演奏の基本形を創って、琵琶法師の頂点に立った人。

「源平盛衰記」には「『平家物語』のヴァリアント(異本)」という解説があります。そうか・・・異本か、と改めて思う。
直ぐ忘れて、また次の時改めて思うのだけれど(^_^;

ついでに参考までに、某日、某セミナーで伺った話のメモです。

平家物語の伝本は、大きく分けてふたつの系統に分かれる。
一つは一般に語り物系といわれるもので、琵琶法師の台本として伝来した諸本である。
そのうち南北朝期に琵琶法師覚一の定めた「覚一本」は、『平家物語』の達成の頂点をしめすものとされる。
もう一つの系統は読み本系(非当道系)といわれる一群であり、
そのうち「延慶本」といわれるものは応永年間の書写とされ『原平家物語』の形態をもっともよく残す伝本とされる。
またこの系統の諸本のうち、「源平闘諍禄」は、坂東武士の記述が豊富で、
とくに千葉氏に関することが多いことから、東国に伝えられた『平家物語』を千葉氏に近い者が手を加えたと推定される。
他に近世以降、一般によく流布した「源平盛衰記」も、東国関係の記事が多く収録された『平家物語』の異本として知られる。

「平家物語図絵」というのは江戸時代の平家物語ダイジェスト版の読本。
「平家正節(へいけまぶし)」というのは平曲の譜本です。江戸中期の荻野検校と言う人が定めたものだそうで、
覚一本の系統なんだけど、それを整理して編集した、とこないだA先生のご講義で伺ったんだよね(^^)

「徒然草」の書写本もありました。
展示は、例の「此行長入道、平家の物語を作りて・・・生仏と言われる盲目に教へて語らせけり」という
226段の問題発言のところです。
頂いたパンフには「今なお議論を呼んでいる」と書かれていますが、
先日のA先生としては、「けり」という助動詞を詠嘆or伝聞推定?で、常に出典を明らかにする兼好が、
出典を殊更に書いていないと言う事から伝聞推定の助動詞として、
「これは聞いた話を書いたのです」ということでしたねぇ〜(^^ゞ


第三部 乱世の歌人たち

千載和歌集・建礼門院右京太夫集・式子内親王集・金塊和歌集・新古今和歌集・・・
などのポピュラー版に加えて、初耳は拾遺愚草・月詣和歌集(賀茂重保編)です(^_^;
艶詞(つやことば/藤原隆房編)を初耳!と書いてアカッパシ゛(^_^;
古文書でやったんだった・・・「あしで」の講義でも使ったし・・・小督の話も合わせて。
その代わり知った振りしてかいてしまったのは拾遺愚草の方です。知りません!!
そういえば、これまた解説で定家の母の名前がわかった!!
父親は当然俊成ですが、母は美福門院加賀ですって♪まぁ、別に名前ではないですが、
要するに美福門院に使えていた加賀に関係ある女性ということですけどね。タブン父親が加賀の受領かな(^_^;


「錦百人一首あづま織」(安永四年版/勝川春章画)なんてものがあったのにびっくり!
錦絵のこれまた綺麗でびっくり(^^ゞ
ご参考までに♪


第四部 平家物語以後

「鎌倉源氏一統史」というのが出ていて、初めてだし珍しくて\(^^)/
「頼朝三代記」は、今この解説目録を見て、ギャー!見落とした!!
せっかく「丹緑本」て習ったばかりだったのに・・・実際に見られるチャンスだったのに(^_^;絶対、もう一度行ってこなくちゃ(^_^;

「承久記」は名前だけは知っていても、写真さえ見たことがなかったので、オー!!
「太平記」の古活字版がありました。状態も綺麗です(^^)

「曾我物語」「神皇正統記」はおぼえてないなぁ・・・見たっけ(^_^;
「義経記」「明徳記」「応仁記」・・・すみません・・・この辺は見てませんm(__)m
絶対、もう一度行って来ます・・・そしたら書き直しますのでm(__)m

謡曲の本はたくさん出てまして・・・そちらはしっかり記憶にあります(^^ゞ
「千手」「小原御幸」「実盛」など。
御伽草子・浄瑠璃の「小敦盛」があって、敦盛人気も再確認♪
そういえば、私は「源氏」関係のお能ばかり見て、「平家」のお能とは縁が薄い(^_^;
この間も「清経」を見損なったし、まず一月の「忠度」から見てないもの(^_^;
六月か・・・「知盛」も見損なったわぁ(^_^;
こちらもご参考までに(^^ゞ


第五部 奈良絵と絵巻

「平治物語絵巻(三条殿夜討巻・模本)」が出ていました!
某カルチャースクールの講義後に、先生のコレクションから「後三年合戦絵巻」を見せて頂いたばかりですが、
こちらもなかなか迫力があってワァお\(^^)/

「保元・平治物語奈良絵」というのもあって、貞享〜元禄頃の全21枚のうちの12枚です。
これは土佐絵風の筆致で金彩も美しくて、やっぱり奈良絵かあ・・・と言う感じですねぇ。
奈良絵の本買うっきゃないか(^_^;


おまけ
展示室の前にショーケースがありまして、そこには、ちょっと平家関係ではない絵巻物が四点、特別展示してありました。
いずれも私の好きな白描絵巻です。

「枕草子絵巻」は、淺野家伝来の白描絵巻。13世紀に成立。「枕草子」の六段分。
散逸を免れた物が纏められたと思しい、とのことでした。

「豊明絵草子(とよのあかりのえぞうし)」は、前田育徳会尊経閣文庫所蔵。13世紀末〜14世紀の白描絵巻。
他に伝本を見ぬ物語、だそうです。
冒頭に「豊明かりのよなよなは・・・」という詞書があって、そこからつけた名前だそうです・・・イージーm(__)m
ストーリーも出ていたので、「他に伝本を見ぬ」と言われてはメモって来るっきゃないではないか!!

才能に恵まれ若くして中納言となった主人公が、愛する妻を病で失い、無常を悟って隠遁生活を送るものの、
幼い末子の死を知らされ、悲嘆のうちに念仏を唱え往生を遂げる。

んだそうです(^^ゞ
というわけで、かなり中世っぽい筋立てですねぇ(^^ゞ

「隆房卿艶詞絵巻」。これは、展示の本会場にもある「艶詞」の絵巻物です。国立歴史民族博物館所蔵。
昭和初期には益田鈍翁が所蔵していたそうです。
そういえば、あの鈍翁博物館はどうしたんでしょう・・・私たちが見に行った後、
直ぐに館長さんと言うか管理人さんが交通事故で亡くなってしまったそうです(^_^;

「鳥獣人物戯画」は、栂尾高山寺所蔵。甲・乙・丙・丁の四巻もの。教科書でもお馴染みの絵巻ですが、
びっくりしたのは「かつては鳥羽僧正・作という伝承もあったが」と言う記事!!
えっ?!違うの?・・・違うんですって!!
鳥羽僧正は(?〜1140)で、絵巻の、甲・乙巻は12世紀後半、1179年以降。
丙・丁巻は13世紀なんだそうで・・・ブブブ(>_<)
絵巻の名前も、現在の名は1952年に国宝新?指定の時に変えられて・・・本来はなんだっけ・・・メモ忘れましたm(__)m



でも、とっても内容の濃い展示なのでいらっしゃれる方は是非実地に出かけてみてくださいませm(__)m

9月30日〜10月28日、無料です♪