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11月25日(木)

古筆と和歌

―国文学研究史料館 秋季特別展―

いやいや、先週19日に、この「古筆切」のシンポジゥムがあって、是非是非伺いたいと思っていたのに、
またもメニエル氏病の発作の名残があって、ダウンしてしまいました(;_;)

致し方ないので、展示の最終日が「平家物語」のセミナーの日に当たっているので、そこで展示だけ見せていただこうと。

凄い!凄い!個人所蔵のオンパレードでしたけど大変な逸品揃いでした(^^ゞ
それにしても、うちの源氏の先生始、大学の先生ってお金持ちネェ\(^^)/
まあ、お金持ちでなければ、大学の先生にはなれないのかな・・・(^_^;
思えばYちゃんちも、I さんちもお金持ちだ!!

第一部 和歌懐紙

まず初っ端に「春日懐紙」
丁度、国文学史料館の「今月の一冊」に出ています。
てことは、これは国文学史料館の所蔵品だったんだ(^_^;
「春日神社を中心とする南都社寺の神官・僧侶らが歌会を催した際の懐紙」と書かれていました。
しかも紙背文書に「万葉集」が書写されていると言う有名な品だそうです。
書写年代は鎌倉の前期〜中期と言う範囲らしいけれど、この時代でもなお、紙は相当の貴重品であることがわかりますね(^^ゞ
私的な手紙などでなく、半公的歌会の懐紙でさえ、リサイクルなのですよ〜(^^ゞ


第二部 古筆切

ここが凄かったです(^^ゞ
高野切や継色紙が出ているわけではないですけど、相当な逸品ぞろいで、まあ、ここが個人所蔵m(__)m

A.勅撰集
古今和歌集(石見切 いわみぎれ)」←これは国博のリンクですけどね、ご参考までに♪
「拾遺和歌集(八半切 やつはんぎれ)、筆者は二条爲忠だそうです。
彼は定家の子孫で、今検索したら五代目くらい(二条家でいえば四代目)にあたるらしい・・・
こんなの検索しなくちゃ知りませんでした(^_^;

「新古今和歌集」のイロイロ・・・「円山切」というのが有名なのだそうですが、それは出ていなくて「八坂切」というのがありました。
この辺は伝承筆者に慈円だとか甘露寺光経とかの名前がみえます。

甘露寺家は、昭和天皇の侍従かなんかをやって、その後明治神宮の宮司になられたお家、というくらいしか知らないな(^_^;
そういえば、↑の二条家はともかく、昭和天皇の名侍従長だった入江相政氏は冷泉家の流れでした。
千年前のお家が残って、未だに「貴族のお仕事」をしている、というのが凄いですねぇ♪
いずれも気品ある筆遣いで、貫之流の字だと思ったけど、どれだっけ・・・?と思う癖の強い字があったなぁ・・・忘れましたm(__)m

B.私撰集

この辺は名前初耳と言うのが多くて・・・m(__)m恥
でも、そういう名前を見ただけでも勉強になりました♪で、名前だけアップしときますね(^^)
解説も感想も書けない物ばかりですもの(^_^;

「雲葉和歌集」「未詳私撰集(六条切)」「続現葉(しょくげんよう)和歌集」
「新浜木綿和歌集」「松花(しょうか)和歌集」「藤葉(とうよう)和歌集」


C.類題集

「古今和歌六帖」「撰集佳句部類」「新撰六帖題和歌(大原切)」「夫木(ふぼく)和歌抄」「歌枕名寄」
「古今和歌六帖」は去年の佐竹先生の「万葉集」のところで、一応調べたものを下に書きました。
でも、今日の解説に「類題集の嚆矢たる『古今六帖』には古写の善本がなく、古筆切れの存在意義は大きい」とありました。


D.私歌集

ここは宝の山でした!!

「菅原道真集」「具平親王集(大富切)」「山家集」「源三位頼政集」「林葉和歌集」
「粟田口別当入道集」「拾遺愚草」「西園寺公経集」「法印珍誉集(高瀬切)」「宗尊親王御集」
「未詳私撰集(六条切)」「伏見院御集(広沢切)」

ことに、最初の「菅原道真集」は、お〜!という感じです。伝承筆者も藤原為家だったりして、
紙背に「御子左家為家卿」などとあるというと、有り難味が増しますm(__)mミーハー
しかも、この一ページ前の部分が、MOA美術館にある、と言われれば、もう〜これは(^^)v

「具平親王集(大富切)」は散失歌集の新出断簡で、おまけに定家が所持していたという可能性があるとのことで、
へぇ〜♪へぇ〜♪へぇ〜♪

「山家集」は極札が「和歌四天王之内頓阿法師」というところが、お〜!なんですね(^^ゞ
頓阿は、柿本人麻呂像も百体彫った、と言われる人ですが、もともとは二階堂貞宗という武家です(父は下総守)。
僧侶になって歌道に励み、二条為世から古今伝授を受け、關白二条良基の師にもなりました。
そういう人が極札を書いている、というのは面白いです♪

「宗尊親王御集」は、「吾妻鏡」をやっている都合上のお〜(^_^;
なんだかこの人には歌集を遺すしか、生きた証がなかったのかなぁ、と(^^ゞ
そういう意味では実朝と一緒だったんだなぁ・・・と鎌倉将軍職の悲惨さを感じてしまいます(^^ゞ

E.歌合・歌会・定数歌・歌学書など

「堀河百首」「顕微抄」「増補本 和歌童蒙抄」「千五百番歌合」
「伊勢滝原社十七番歌合」「伏見院三十首」「北野社奉納三百三十首」
「足利尊氏奉納緒社法楽和歌(七社切)」「足利直義詩歌会」

ここでは、知っていたのは「堀河百首」だけ。しかも名前だけ(^^ゞ
伝承筆者と書写年代についてまだ未詳な部分があるらしく、書道史関係者は平安末の写し、と言い、
国文学者は冷泉家に所蔵される「藤原資経」と同筆として鎌倉末、と言う、とのことです。

「足利直義詩歌会」はね、そんな事は一行も書いていませんが、
なんとなく、兄尊氏に対する鬱憤を紛らわせる会であったか、あるいは、作戦を練る会だったのかなぁ〜、と考えちゃう(^_^;


F.物語

「河内本源氏物語」の 「薄雲」「若紫」「夕顔」「松風」「幻」
「狭衣物語」の巻四
「十二類絵巻」「栄花物語」「平家物語(長門切)」

このへんは、よく見ておかなくちゃいけなかったのに、ソロソロ疲れては来るし、
源氏は中院文庫の書写を必死こいて読んでる段階で、もういいや〜、という感じ(^_^;
「栄花物語」は、源氏の先生に見せて頂いたし・・・
というわけで、かなりおざなりになってきました(^_^;

そうそう、「薄雲」の伝承筆者は藤原為家、「夕顔」は伝承筆者阿仏尼だそうです。

G.漢詩・歌謡・連歌・謡曲
「和讃(仏餉切)」「竹林抄」「謡曲『竹雪(たけのゆき)』」「新撰類林抄(南院切)」「催馬楽」
このへんも、ざっと通ってきただけでしたm(__)m

H.史書・仏書・経・古記録など

は、実は見ていません(^_^;確信犯
だって時間がなくなっちゃったんだもの・・・「平家物語」の今日の講義が始まります!!
一応、目録から写して置きますがm(__)m
「日本書紀/性霊集(紙背)」「後鳥羽院宸記(宸記切)」「名月記」
「仮名観無量寿経」「判比量論(東寺切)」「未詳仏書/発心集(紙背)」「聖徳太子伝」



第三部 柿本人麻呂信仰関連資料

これは見た!!

だって、絵ですからね(^^)
なかなかこうは見比べられません・・・いろんな人麻呂さまが居ました(^^)
人麻呂像は一番有名な、脇息によりかかって横ズワリしているタイプと(仏教の維摩(ゆいま)型系というそうです)、
刀を横に置き、筆と紙を持って正座して像があるそうで、
こちらは、私はそういえば見た事あるな、くらいだと思ったら、こっちの方が有名なんですって!!
そのほかにも頭の角度や座り方でいろんな人麻呂様がいらっしゃるようです(^^ゞ
珍しいところでは木像・陶像の人麻呂様もいらっしゃいました。坐像としても両方とも小さくて、20センチに満たないくらいです。


こちらには銅像の人麻呂様がいらっしゃいました♪

横ズワリの人麻呂像だけでなく「千人万首」さんのサイトは歌人と歌の凄い集大成です。
御子左家の家系図も出るのでご参考までにm(__)m


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そうそう、「極付(きわめつき)」のお話です。
今回の陳列中に解説札が張ってありまして、
展示された古筆・書籍などに小さな2×10センチくらいの短冊が張ってある物があり、
それを「極札(きわめふだ)」と言うのだそうです。
つまり、鑑定した結果をそこに書き、鑑定人の名と花押を押しておくのだそうです。
「伝承筆者」などは当てにならない事が多いそうですが、
その書写された時代などの鑑定はかなり正確で、資料としても価値がある、ということでした。
古筆鑑定の最初は、その名も
「『古筆了佐(こひつりょうさ)』と言う人で、連歌と茶道に長じ、
近衛前久に書画の鑑定を学び、關白秀次に「金山」の印を受け極印とした(広辞苑より)」
そうです。

私は、「折紙」だけが「極書」だとばかり思っていたのですが(極書のあるものが極付です♪)、
「極札」というのが付いていたんですネェ・・・今まで見ていても、その書籍の一部だろう、とか、
付箋紙か、くらいの事しか考えていなかったなぁ・・・注意力散漫(^_^;