快い夢の世界

まずは生臭い話から・・・
「オペラとバレエ」と銘打っても、現実はオペラの鑑賞記なんて書けるのか疑問です!!
ナンタッチ、今のオペラの御値段はまともではありません(^_^;
確かにオペラは仕込みにお金が掛かります。
でも、だからと言って、このご時世に、3万・5万出せる人がどれだけいるか?
普通の演劇(バレエでも)なら、三階でもバルコニーでも気にしない私ですが、
さすがにオペラやクラシックのコンサートを文化会館の5階で聞こうとは思いません。
まあ・・・失敗しているからですけど・・・リヒテルのコンサートを文化会館の4階で聴いてひどい目にあった(;_;)
もう〜あれだけ遠いと音が遅れるのですよぉ〜(;_;)
と言うわけで、せめて二階くらいで聴きたい・・・とするとン万円です!!
文化国家っていったいどこの国のことでしょうねぇ??

と、いうことなのですが大昔の独身貴族の頃はけっこう観てました(^^)
二期会の会員になろうと思ったくらいですから・・・今なら、二期会鑑賞会?後援会?
新国立劇場の会員募集があった時、応募したんだけど駄目でした・・・その後また募集したんですけど、
やっぱりちょっと高価なので、そのままパスすることに・・・。
あ、で、その時の印象で言いますと、
日本のオペラと海外のオペラとは違います。
よく、野球とベースボールは違う、という言い方をしますが、日本のオペラはオペラとは言えないんじゃないか、と思っています。
まあ、私がナマでオペラ見たのは30年近く昔ですから、
あの頃のバレエと今のバレエのレベルの差は大変な物ですから、オペラだってそれなりに向上していると思いますけどね

でも、昔ファンだった者として無関心ではいられない、新芸術監督の問題!!
樋口さんがご執心だった今内定中の人は、ヨーロッパ流シングルキャスト方針で、
二期会や藤原歌劇団の代表者はそれに反対だと言うのです。
シングルキャストにしてしまったら、日本人の出番がなくなって新人の養成ができない!って・・・!!

それって、少しおかしくないでしょぅか?
二期会の代表は、私が昔好きだった栗林義信なんですけどあの人そんなに愚かだったの(^_^;
栗林義信は文化会館の前から四列目でオペラグラスで追っかけたことあります(^_^;

だって、考えても御覧なさいよ!!
日本でも、一流だと思うオペラ歌手は、みんな海外で育てられ、海外で活躍して、海外で通用しなくなると帰国してくるのですよ!!
実力あるオペラ歌手はみんな海外に行っちゃうじゃないの!!
はっきり言って、海外に行きそびれた栗林君も藤原歌劇団の五十嵐君も海外で活躍できるほどの力が無かったからでしょうに!!

もし、実力があるなら、シングルだろうがダブルだろうが自力で新国立のシングルキャストでプリマを取れるでしょう。
要するにそのオペラのその役にふさわしい声と歌唱力、できればイメージもあれば文句無いのです!!
それが御情けで日本人だからと言って役をもらって、高い入場料払って育ててもらう、なんておかしいです。
確かに、オペラでもバレエでも商業演劇でも観客に育てられる物ですが、
はっきり言ってまだまだ日本人の観客と日本の風土にオペラ歌手を育てられるだけの力はありません。
ただ単に甘ったれた役もらいの公演が生まれるだけです。
大体オペラ歌手としてのプライドはそういうことも受け入れるのかしら?


というわけで
東敦子さんを偲んで
これは、どこにも乗せるところが無くて暖めていた文ですが・・・・

「私が死んでも絶対泣かないで」と妻は言った。しかし、追悼ミサで五年間の闘病生活を振り返った夫は途中で涙が溢れ、最後まで読みきることができなかった。(平成12年1月14日「夕刊フジ」から・・・以後□内の記述は同紙からの要約です)

東敦子さんは長年イタリア・ミラノを中心にヨーロッパ各国の国立オペラ劇場でで活躍し、
「蝶々夫人」のタイトルロールを演じて、27カ国450回(この記事では27カ国約445回とありました)と言われています。
その他、私が好きだったのは「トスカ」・・・これは五十嵐喜義のカバラドッシでスカルピオは外国からの出演だったと思う・・・?
勿論ナマで観たことはありませんm(__)m
みんな、テレビ録画ですから、大きなことは言えませんが、私の観た中で(聴いた中で、と断言できないのは辛いですが)
最高に素晴らしい、と言っても過言ではないオペラ歌手でした。

蝶々夫人などは着付けもしっかりしていて、何人だか国籍不明の蝶々だかわからない!なんてことはないし、
ドラマチックな雰囲気はあるし、歌唱力も勿論抜群だし♪
大体日本人のオペラ歌手って破綻無く歌うことだけで精一杯、と言う時代に、
堂々とドラマの中に歌がある、というか、歌は心の動きを吐露するものだ、というコンセプトが感じられる人でした。
まあ、美しい、華やか、というのは大きいですよね(^^ゞ
私などは、砂原美知子さんと伊藤京子さんくらいしか、美しいと思われるプリマを知らなくて、
しかも、私が聴いたときには御二人とも絶頂をかなりすぎた頃でしたから。
その頃は中沢桂という凄いソプラノがいたのですが、これはもうその・・・ン〜(^_^;
「カバレリアルスティカーナ」のときサントゥツァという純情な娘役で、婚約者に裏切られるんだけど、
裏切りたくなる婚約者の気持ちがよくわかる!!という外見なんですよ(;_;)
そりゃカヴァリエの椿姫よりはいいかもしれませんが・・・いい勝負だった、と思います(^^ゞ

その後、やはり海外での活動が難しくなって日本の帰り、藤原歌劇団で何回か主演した後、引退して横浜の港北区に住んで、
その町の地域的な音楽活動などにも協力なさっていたようです。

その東敦子さんが、癌に冒されました。乳がんです。放っておけば五年・・・

「最善の治療は・・・左の乳房を全部摘出することです」
その時、彼女は断固として言い放ったのです。
「そのような手術は絶対に嫌です。私がそんな惨めな姿で舞台の上に立つことは許されません。帰ります」
それでも、彼女はご主人や御医者様の説得で乳房再建手術を条件に手術を受け入れたそうです。
しかし、それに伴う「ホルモン治療」はきっぱり拒否したそうです。曰く
「私の声は神より授かったものです。声帯に悪い結果をもたらすような治療を受けるわけには行きません!」

そして、ご主人との最後のギリシア旅行。

デルフォイ、オリンピアと古代の聖域を廻りエピダウロスの古代劇場に達した時のことでした。
劇場はちょうど全ての観客席が円形の祭壇を中心として上へ上へと広がっていく・・・彼女はかつてデイオニッソスの祭壇があったその中心にたって歌いだしたのです。「主よお聞きください!」トウランドットのリューの嘆きのアリアを・・・・。そして歌い終わってからも放心したように佇んでいたという・・・。

もう何度読んでも涙が止まりませんでした。

オリンピアでの古代劇場は芸術の神様が東さんに贈った最後のプレゼントだったのでしょうねぇ。
あの年代のプリマには珍しく結婚もして子供も産んでという、才能にも愛にも恵まれ幸せな方だと思うし、
オペラの本場で歌いたいだけ歌って(それでもご本人には歌い足りないでしょうが)、全てに充足した人生であったと思います。
でも、プリマドンナ東敦子としてご自分の人生を歌いきった、演じきった、という思いは深い感動となって私を包みます。
そして、また神様がそういう人生の舞台をお許しになった稀有な才能の持ち主として畏敬すら感じます。

東敦子さん、どうぞやすらかに・・・

バレエの話は・・・どうしょう?
東敦子さんの追悼文をここに入れてしまうと、バレエの話がしにくくなりますが・・・(^_^;
私が歌舞伎の次に見たのはナント!バレエなのです!!
で、14歳くらい・・・たしか中学二年だと思うんだけど・・・大原永子(おおはらのりこ)さんというバレリーナで、
多分「白鳥の湖」だと思うのですが、黒鳥しか覚えてないのです(^_^;
それと、みんなが凄く太っていてあまり、良いイメージがない!!
母が「やっぱり日本人にはバレエは無理だね」と言っていたのが印象に残っているのです(^_^;

でも、社会人になって東京バレエ団だったかの会員になって・・・そこは、会員になると大変安くチケットを回してくれて、
そのころで1650円というのを覚えています・・・勿論A席でですよ!!
さすがにSではなかったけれど、それでナタリヤ・マカロウの「コッペリア」などを観ました(^^)
ところが、あるとき忘れもしない「眠れる森の美女」でリフトされていた女性バレリーナを落っことした!のか落っこちたのか!!
本公演の舞台ですよ!!
ビックリしちゃって・・・もう私自身が恐怖症になってしまって・・・(^_^;
それから、その恐怖症を抜き去るのに二年くらい掛かりました(^^ゞ

でも、その頃森下洋子さんが台頭してきて、それが今までのバレリーナと全然レベルが違うのです!!
それまで、マーゴ・フォンテーンなど海外のバレエのテレビ中継を見るたびに彼我の違いに、
母ではないけれど「やっぱり日本人にはバレエは無理だね」と思っていたのが、
日本にもこんな凄い人がいる!!というのがわかって、またちょっと観るようになったのです(^^)
ことに「白鳥の湖」のあの両腕の羽の動き♪
あれはマーゴ・フォンテーンに匹敵する柔らかさ、美しさで・・・もう信じられないほどでした!!
それと清水洋子さん・・・この方は結局森下さんの陰になって、日本では延びきれず
ロンドンに移住してロイヤルバレエに行ってしまい結婚しちゃいましたけど・・・(^^ゞ

で、もう結婚してしまうとやはりバレエは無理ですね(^_^;
歌舞伎はまあアゴ足つきで行けたけど、後は年一回の「ラマンチャ」が精一杯でしたから(^_^;
それだって、ふつうの主婦に比べれば恵まれていた、といえるでしょう♪

で〜、娘が大きくなって、十年ぶりか15年ぶりで見たのが牧阿佐美バレエ団の吉田都・草刈民代、もう一人誰だっけ(^_^;
トリプルキャストで話題を呼んだ「ロミオとジュリエット」
私たちが観たのは吉田都で、客席の草刈民代の美しさとオーラがまず印象に残っているのは?
まだ「ShallWeDance?」の前です(^^ゞ
吉田都さんは今や英国ロイヤルバレエのプリマで、その時も三人の中では圧倒的に評価が高かったのですが、
私も娘もうまい、とは思っても、やはり綺麗じゃないと主役は勤まらない、と不服ではありましたm(__)m

それは今でも同じ考え方です!!
森下洋子さんが、どんなに素晴らしいバレリーナであったとしても、やはりあの美貌が先ず第一条件ですよね(^_^;
今話題の上野水香だって、美貌と言う言葉は似合わなくても、非常にチャーミングな容姿を備えていますもの(^^ゞ
でもね吉田さんは英国で立派にプリマとして通用するだけの実力があるのですから、
それはそれで尊敬m(__)m

熊川哲也に関してはあっちこっちで威張って言いふらしてますが・・・
「ローザンヌ・バレエコンクール」のテレビ中継の途中から観て、あっ!この子凄い!!と思っていたらグランプリ!!
今や世界の熊川でぇ〜す♪

日本人にバレエは無理、と言うところから森下洋子さんが現れて女性陣は続々と有力バレリーナが出現してきて
男はやっぱり無理なのか、と思っていたらジョルジュ・ドンの代役をしたという首藤康之が現れて
熊川哲也が現れて、堀内元がアメリカで台頭して・・・金森穣が今ブームを起こして・・・と凄いことになってきた!!
でも熊川哲也が若い盛りの恐い物知らずで「35歳を過ぎて踊りつづけるのは趣味じゃないのか」なんて言って、
反発は一寸感じるけれど・・・やはりごもっとも、と言う現象も出て来て・・・
猫の首に鈴をつけるのは難しい!!

でも、とにかく「やっぱり日本人にはバレエは無理だね」と言うところから、
世界で活躍する日本人バレリーナが多くなってスタイルも遜色なくて、その辺はオペラより有利で楽しみではあります(^^)v



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