水谷良重

―― 日本で始めての有名人ダイエット――


本当は今の名前は二代目水谷八重子と言います。
ここでは、母の初代水谷八重子と区別するために、それと私が大好きな良重のために良重と呼びます。

今、「新派」という劇団を率いています。
副座長に波野久里子、つまり勘九郎のオネエサン。
この人は、初代水谷八重子の大ファンで新派に入りました。

良重は玉三郎の義理の姉、と言う事にもなっています。
良重自身が、玉三郎を「弟」と紹介したり、呼んだりしています。
つまり、良重の父守田勘弥の養子が玉三郎なのです。
良重の母八重子と勘弥は、スター同士の結婚の常で離婚して、
勘弥は其の後さんと再婚したけれど、子供に恵まれず芸養子を迎えたんですね。
その一人が玉三郎\(^^)/

良重の母、初代水谷八重子は、岡鬼太郎という劇評家から、
新人の頃、「こんな女優は一生大根で終わるだろう」と劇評を書かれ、それを悔しく思って、
その新聞の劇評欄を切り抜き、定期入れに入れて何十年も持って歩いた、という人ですが・・・
新派を背負う大スターになっても、本当に大根で、私など、岡鬼太郎という劇評家は慧眼であった!!と感心していました(^^)
という、私と同じように思う人たちも多かったのです。
何しろ紫綬褒章かな、もらった時も、「あの人は七十になっても十八の役が出来る、ということで貰ったんですから」とかね。
いや、本当に「七十になっても十八の役が出来る」ならそれはたいした物ですが・・・(^_^;

「花岡青洲の妻」という芝居、これは、嫁姑の確執を描いた物ですが、八重子は姑の役もやりましたが、
ヌァ〜ント!年下の大女優にして名女優杉村春子を姑役にして嫁の役をやりました(^_^;
(八重子が七十、杉村は四つ下くらいかな・・・1905年生まれと1909年生まれですって)
これが、まあ綺麗、といえば綺麗なんですが枯れてるんです(;_;)
杉村春子は、綺麗さでは八重子に適わないかもしれませんが瑞々しくて色気があるのですね♪
もう、演技力では小学生と博士みたいな物ですから(^_^;

水谷八重子は大女優だ!という人も多く、うちの母なども大々大ファンでした(^_^;
これほど評価の分かれる大女優も珍しいですよ!!
まあ、演技はともかく大スターではありましたよ(^^ゞ
それと、あの時代の女優に珍しい、大変知的で理性的な人でした(^^)
まあ、そこがもうひとつ、巧くなれなかったところなのかも知れません(^_^;
とにかく綺麗と言われれば綺麗かもねぇ♪
何しろ、久里子は熱烈な八重子のファンで、演技力から言えば、断然出藍の誉れ!という所なんだけど、
今直、八重子を尊敬してるから、やはりたいしたカリスマ性を持った人だったんですよね(^^ゞ

まあ、私は、一番最初に八重子の最悪の芝居を見ちゃったせいかもしれません(^_^;
というより、相手、ライバル役を(「明治一代女」の秀吉を)やった英太郎(はなぶさたろう)という女形が素ン晴らしい役者だったのです(*^-^*)
当代の英太郎も良い役者ですが、先代は本当に名人よ!!
私が、先代英の若い役にぶつかったのはね後にも先にもソレ一本ですが、
今も目に焼きついてる!!
それっくらい巧かった!!
それと比べられちゃ、八重子が可哀想だったかも(^_^;
まぁ、いいじゃない、世間の人は、みんな大女優だと言うんだから(^_^;

でー、その大女優が、離婚に際して娘の良重を引き取りました。
男なら当然勘弥の手元に引き取られたのでしょうが、女の子だったからでしょうね、八重子が引き取りました。
良重が男だったら玉三郎はいなかった?
でも、その代わり骨太の良い立ち役の良重がいたでしょう(^^)v

良重は、当時としては珍しい八頭身(古い!)の背高ノッポで、顔も雰囲気もバタ臭く(これも死語(^_^;)、
とても新派の女優など務まりそうもないキャラでした(^_^;
・・・というのは、母たちのような水谷八重子の美貌が素敵、と言う年代の人たちの評価ね(^_^;
あ、でも、さすがに晩年、最後のお蔦はよかつた!相手も良かったんですよ!吉右衛門の主税ですもの(^^)
これだけは、私も良かったと思う(^^)v
「湯島」の場面はたいした事なかったけど、愛する主税を待ちながら、死んでいく最後の場面は凄みさえあって泣かせたな(;_;)

それと、古いVTRで、最近発見したのですが、玉三郎の立ち姿の美しさは、かなり八重子の立ち姿から参考にしてます(^^)
ところが、オリジナルの八重子だと寸法がちょっと足りないのですね。
それを玉三郎の長身でやると寸法キッチリになるのです。
だから、考えた八重子は偉いけど、ちょっと寸法に対する感覚が鈍かった(^_^;
まあ、とにかく頭の良い人ではあったのです!!

私に言わせれば、1960年代に初めて見たミュージカル・とショーのできる女優よ!!
そりゃ江梨チエミや雪村いずみはいましたけど、彼女たちにない雰囲気があったもの!!
それにまずダンスがダイナミックでした(^^)
あれだけ大きけりゃ見栄えがするもの♪
日劇なんかにゲストで出ても、見劣りなく踊っていたし(勿論、ソレナリのダンスね(^_^;)

でも、最初はジャズ歌手として活動し、
東郷青児の娘東郷たまみ・伊東深水の娘の朝丘雪路たちと「七光り会」なんて作って親の名前でしか売れない悲哀を託っていました。
ところが大きいだけなら良かったのですが、もの凄く太っちゃって、最初はグラマーでよかったんだけど、
グラマーもとうり越して、大変なデブになっちゃったんですよ(^_^;
それを大阪にホテル住まいしている間に、フルーツとタバコで何十キロか痩せたの(^_^;
まあ、当時の平凡とか明星とかいう雑誌にも大いに話題を提供しました(^^ゞ

ところが、これも天才ドラマーとして、一世を風靡した白木秀雄と結婚して、離婚してから、・・・
その頃じゃないかな、女優として目覚めていったのは(^_^;
新派にもゲスト出演して、「花のいのち」なんて可愛い娘役やってたし♪
最初アバズレ風なのに、実父の実家に引き取られてお嬢さん生活をしていくうちに、だんだん上品なお嬢様に成っていく・・・
って、その過程が巧かったと思う(^^)
映画では、片岡千恵蔵の「籠釣瓶」を映画化したものに「八橋」をやって、私は相当是印象に残ってます(^^)
歌舞伎とは違って、安女郎から太夫の位に登るなどと無謀な野心で、豪商のブオトコを誑し込んでいく過程、
そして、太夫としての教養をつけるために必死に稽古に励む姿・・・
良かったと思う。本当に!!

「婦系図」の「めの惣の場」という一場が名作として知られていますが、
将来、主演を張るように期待される娘役は、まず゜、この場面の「妙子」と言う役を通らなくてはなりません。
初代八重子も、波野久里子も、良重・波野と新派三人娘と称された光本幸子も、これで大好評を得て、スターになりました。
ところが、良重はやってません!!
同じ「めの惣」の場ではもっと大人の主演に近い、お蔦をやっています。
本来「婦系図」のヒロインの役なのですが、この場面では、ちょっと退いてワキになり、
「小芳」という役がこの「めの惣」の場の主役です。

小芳とお蔦は姉妹芸者、お蔦の恋人は芸者と恋をしたということで、恩師から責められて、
恩師への義理立てに恋人と別れることになります。
これ、コントでも有名な「湯島の白梅」ね♪
その恋人との別離の悲しみの余り体を壊して、めの惣という魚屋で世話になっているお蔦の元に、
姉芸者の小芳が見舞いにやってくる。
そこへ、また、恩師の娘の妙子が見舞いにやってくる。
実は、妙子は恩師と小芳との間に出来た娘で、
恩師がお蔦と恋人主計との間を裂いたのも、妙子を主計と一緒にしたかったからだ、というウラがあったというドロドロのお話(^_^;

ところが、この妙子というご令嬢が、これほど、純粋で可愛い娘はない、というキャラで、
大好きな主計さんの大事な恋人が病気だと聞いて、それは大変、と見舞いに来た、と言うわけなのですね(^_^;
そして、「私からもお父様に頼んであげるから、早くご病気を治してね」なんて涙ぐましい事を言うのですよ(^^ゞ
で、これが「将来主演を期待される娘役の登竜門」というのは分かるでしょ!
これが、良重には出来ない(^_^;
良重は最初からお蔦です(^^)・・・「花のいのち」のようなアバズレからお嬢様に、と言うくらいは出来ますが、
浮き世離れした純粋さを出すには、ちょっと世俗の垢に染まってしまった!!

でー、これがさ、母等に言わせると、芸者に見えない、あれじゃぁ女郎の出養生だ!ちゅう訳です(^_^;
芸者と女郎の違い?そりゃ、あなた、芸(まあ、だけじゃないけど)を売るのが芸者、色を売るのが女郎なんですね(^^ゞ
同じウォーターフロントギャルでも違いが有るんですよ(^_^;
でも、私は母が言うほど悪いとは思わなかったのですね。
要するに演技としては巧いですよ!!
雰囲気がちょつと芸者じゃなくて女郎っぽいけどさ、確かに(^_^;
でも、小芳の八重子の台詞に比べたら、よっぽと真味があったと思う。

というわけで、とにかく母たちの世代は煩い!!

でも、私もとにかく新派の良重は余り評価しなかったんですね。
と・に・か・く、良重はミュージカル&ショーね\(^^)/
日劇の「LADYLONGLEGS」は、そのナンガイアンヨを最大限にチャームポイントにして踊り謡いまくったんですね(^^)

「ボーイング・ボーイング」みたいな、超アメリカンなスッチーの、
「新しいKissを覚えたの、ちょっと試させてね♪」と初対面の男性に平気でフレンチキスをしちゃうような
カラっとした女性の役は、あの時代、他の女優には出来なかったもの(^_^;

「若い季節」などで見せた、普通感覚のOLシーンもよかったし、
ファンファン岡田真澄と並んで負けない女優って彼女くらいだった!!

それが何を哀しくて、新派よ!!と思うじゃない(^_^;
新派は波野久里子に任せとけばいいよ〜。
芸者の雰囲気なら、朝丘雪路の方が巧く出せます、って!!
ミュージカルやればいいのに・・・と思っていたんで好けどネェ(^_^;

一時は新派の主導権争いで久里子とかなりもめたらしい!!
二人とも幼馴染で、親同士も仲が良い♪
勘三郎は、八重この事を「おねえちゃん」と呼んでいたくらいで、家族ぐるみの付き合いだし(^^ゞ
勘三郎は勘弥とも仲が良くて家族ぐるみのお付き合い・・・それで玉三郎と勘九郎も仲いいんです♪
久里子は良重の事を「よしえおねえちゃま」とは呼んでいるけど、
自分こそ、初代水谷八重子の傍を離れず、内弟子同様に仕えた正当な後継者だという思いがある。
実力だって久里子は負けてない!!
良重には出来ない八重子の演目も出来ます(^^)v
但し、体型だけでなく、芸が小粒!!
あの勘三郎の娘で、勘九郎の姉で、どうしてあんなに地味なんでしょう?!

良重がいつか、芸術院会員の偉大な母と、人間国宝のお嬢さんが、
お掃除をしている傍で(八重子と久里子は几帳面の綺麗好き)、
酔っ払いの私は何をしていればよかったか、て言うと、
ずっと酔っ払って寝た振りしているしかないんです、と言ったことがあったよね。
その辺の雰囲気もあったんじゃないのかな(^_^;

何さ、あんたなんか、途中からじゃないの!ってなことまで言ったかどうかは知らないけどね(^_^;
でも新派全体にそういう気分はあったろうな(^_^;
でも、結局、昔風で不器用な連中ばかりの中で、外に向かって発信できるのが彼女しかいなかった、てなことはあるよね。
企画力も含めて。
おまけに演技力ということだけは確かにあるわけだから♪

何時の間にやら新派の頭領になって演出とかしちゃつて・・・ドノテイドノ演出力かは分からないけどね(^_^;
まあ、とにかく、新派に根を生やしてしまった(^_^;

良重ファンとしても残念だけど仕方ない!
新派飛び出してくるの待っていたんだけど(^_^;

とにかく、今、ヤフーで水谷八重子で検索すると一万以上のヒットが出ます(^^ゞ
それだけの女優になったんだよね\(^^)/
勿論公式HPもあります(^^)