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11月8日(水)インターミッション@ 「源氏物語絵巻展」見聞録

行ってきました〜!

ちと風邪気味ではあったのですががんばった!
それが、上野毛の五島美術館なんですよ!
うちからは、けっこう遠いので、今まで行きたい展示があってもなかなか行けなかったのですが、
今回はどうしても行かねばならぬ!くらいの思いがあって、体調もあまりよくなかったけれど強行したのです(^_^;

ところが、着いたら11時半で二時間待ち!
もう図録買って帰ろうか、と思ったけれど、ナンセ東京では十年ぶりの一挙公開!
これを逃したら、徳川美術館のブンは名古屋まで見に行かなきゃなんないではあ〜りませんか!?
おばさんはがんばるもんさ(^_-)

というわけでがんばった!2時間まではいかなくて12時50分に展示室入り口にたどり着き1時10分には入室できました(^.^)
で、見るのは40分!というところでしょうか?
展示室は展示品の品質保持のために照明は相当暗くしてあるので、
絵も、絵の具の剥落が激しいこともあるけれど定かでないし、詞書はなおのこと、料紙の金銀箔が落ちて読みにくい。
墨の色はたいしたもので落ちてないんだけれど(^_^;
ホント墨って大した物ですよ!

源氏物語絵巻といっても、全巻残っているわけではなく、54帖全体を10巻に分けて描き、その4分の一にあたる4巻が、
徳川美術館(尾張徳川家所蔵)3巻、五島美術館(阿波蜂須賀家所蔵)一巻という具合で所蔵されているわけです。
例の二千円札の鈴虫の部分は、五島の所蔵部分で、
森総理名で「これを原本にして作成したのでこの御札を贈る」みたいな文書と5の二千円札が飾ってありました(^_^;
どうりで、図録をかうのに5千円札を出したら1500円しかおつりをくれない!あれれ?と思ってよく見たら二千円札だったわけで・・・
これでは二千円札の普及はおぼつかないですよ(>_<)

で、先ほども言うように、絵巻物としては、かなり絵の具が剥離していて、中には幻のような絵もあります。
ここで偉いのが、今回の五島美術館!
1200円払うと、入場券と一緒にちょっとしたパンフレットをくれるのですが、これが大したもので、
絵巻の図柄の大雑把なアウトラインを描いて、これが誰、それが誰と書き込んで、どういう場面か解説つき!
当然、詞書は原文の釈文を印刷してある!さすがに訳文までは書いてないけれど、それは絵を見ればいいわけだし、ね。

五島美術館開館40周年記念ということで、こういうものにも力を入れたのかもしれないけれど、とにかく感動!

源氏物語絵巻なんて見に来るのはよっぽどのマニアか源氏フリークと思いきや、けっこう素人のおば様族も多くて、
ほほえましい会話もちらほら(^.^)
かと思うと、私の前に並んでいらしたおじい様は、「わたしゃほんとうは近世文学が専門なんですが」などとおっしゃりながら詳しいこと、詳しいこと!
三田村先生のおっかけよろしく、あちこちの講座に首突っ込んでいらっしゃるらしく、あれこれ見せて自慢なさってました(^.^)

そういえば、こないだNHKの「デジタル国宝探訪」でやっていた源氏の衣装の描かれた当時の「色の再現」VTRを流していて、
あ、ここもNHKか!と感心!?

やっと展示室の入り口にたどり着いた頃には、さっきまで、「入場者が多くて館の外まで人が溢れたので間隔を詰めてください」と
スタッフが声を嗄らしていたのがウソのように人が少なくなっている感じ!

1時50分に展示室を出た頃には、もう殆ど、待ち時間40分くらいのところになってました(^^ゞ
スタッフの人に聞いたら、午後の方が好いているんですって!
ま、9時半の朝一ならすいているけれど、後は3時半過ぎ、4時(最終入館時)を過ぎるとがらがらでゆっくりみられるそうです。
「ゆっくりみてもだいたい30分もあれば十分と思われますので」とスタッフも言っていたし、
現実問題として、詞書一つづつ読んでいるわけに行かないし、いいとこ粘って40分、というところでしょうか?

肝心の絵巻!
素晴らしいの一語につきます、なんてことは言えませんが、やはり、原本の重みはあったように思います。
だってさ、いくら絵自体の品質保持のためとはいえ、カステラの箱の蓋みたいなのに貼り付けてあるのよ!
(昔のカステラの桐箱は知っている人の方が少ないかも?)
それは、ちょっとね〜・・・

だからサイズ的には、絵の方が、縦21〜2センチ、横は、48〜9センチのが13枚、39センチ前後のが6枚、それに若紫の分が「断簡(補筆)」となって展示されているけれど、これは全点19枚のうちには入れないみたい。
詞書の方は、殆ど、縦21〜2センチで(絵巻物だから当然だけど)、横幅は4〜6センチくらいの「詞書断簡」ものから21〜24センチのものまで。それも絵巻物の時には、当然何枚か連ねて一巻の詞書になっていたわけで一番長いのは「柏木」の巻の八枚綴りというところでしょうか。
絵の方が絵の具の剥離でかなりまぼろし風になっているのと比べると、墨色は衰えなく、ただ料紙の金銀箔が落ちているので、かなり読みにくくはありますが、明かりさえあればそこそこ読めるようです。もっと光を!なぁんちゃつて(^_^;いや、それほど暗かった!!ま、無理もないですが(^^ゞ

ただ、人物像の曲線とか、描き方は写真で見るより柔らかくて、それでいて強い感じはありました。
これは原画に特有の強さですしね。

かえって、江戸時代・昭和初期の模写本に鮮やかな古色の色彩がうまく施されていて結構良かったです。でも、気のせいか、やはり品格に劣るような気がするのは「模写」だと侮ってみるこちらの気の迷いでしょうか?おなじ画家が書いたとしても、本絵と下絵は違うしね、気合入れても模写は模写、自分のオリジナルとはやはり違うものですし。そういう意味合いでは、たとえおぼろおぼろの絵だとしても、原画にはそれなりの品格と重みが感じられます。

図録は展示の全部が載っているとのことで買ったんだけれど、絵巻の分は、
うちの昔の世界文化社の本が、殆ど載せていてくれたことを再確認させてくれた、ということで(^_^;
でも、詞書はさすがに半分も載っていなかったので、やはり買ってよかったかな?そうだ!絵巻全体を見開きで見られるようになっているのです。これはいいですよ!五島の学芸員はたいしたものです(^.^)

翌朝、疲れきって朝寝しているところへ友人からTELあり!「五島美術館の源氏絵巻見に行こう!」
「え〜、きのう行っちゃったぁ〜」
「なぁ〜んで誘ってくれなかったのよぉ!」としかられる、という一幕もありました(^.^)




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