前ページへ/表紙へ

10月25日(月) 「若菜のラジオドラマ」

私が女三宮を初めて意識したのは、この「私の源氏物語」の始めの頃に書いたラジオドラマからです。
その頃は、たぶん、まだ小学生用に書かれたものしか読んでいなかったと思うので、
「私の源氏物語」としては、須磨・明石から帰って「二条院を造成し女君達を集めて楽しく暮らしましたとさ、めでたし、めでたし」というところだったのではないか、と思うのです。
で、母から、源氏物語にはまだまだ先があることを聞いて、ちゃんとした源氏物語を読みたい、読まなくちゃ!と思っていた頃でしょう。

なんたって「柏木」が大谷友右衛門(当時、今の雀右衛門)、「夕霧」が守田勘弥(死去、坂東玉三郎の養父)ですからね!聞かないわけは無い!大大ファンですもの!
きれいだったんですよぉ〜!当時の友右衛門!今の玉三郎と言うほど。しかも、この人は男性としても素敵なの!現に、稲垣浩監督の「佐々木小次郎」(昭和28年東宝)で主役の佐々木小次郎を演じて絶賛を博していたのです。だから、私としては「柏木」としてラジオドラマをききながら、「光の君」のイメージを彼においていたかもしれません。

その時の「柏木」の台詞、まだ、耳に残っています。
臨終近く見舞いに来た夕霧に告白するの!(ここ、原作と違うのは、後で知りました)
それで「俺は女三宮(にょさんのみや、と発音していましたね。)に俺の子を生ませたことが嬉しい」と息も絶え絶えに言うのです。
夕霧は夕霧で父親のことは忘れて、柏木の親友としてのみ受け答えするのです。
で、笛のやりとりがあって、柏木が死に、源氏のところに届に行くのだけど、夕霧は遠慮がちに冷たいのよ。「あの男をそこまで追いこんだのはあなたさまです。」なんて感じて゛。
女三宮に対しても、直接の応答はないのだけれど、「父を裏切り、親友を自滅させた」と言う風に良い印象は持ってません。
しかる後、落葉宮には同情的で優しいのです。落葉宮は加藤道子、これがまたいいの!
優しくて、つつましやかで、いつも日の当たる場所にいた妹に対して引け目こそ感じているけれど、素直で
夫柏木を深く愛していて、だから、夕霧が落葉宮に惹かれていくのがあったりまえでしょう、という気になってきます。
(ドラマでは本妻がいるとはしていますが、詳しくは出てこないので、原文読んで「雲居の雁」に同情してしまうと、あとちょっと辛いです)
女三宮はそれこそ誰がどうやったか全く、印象もないくらいでしたが、夕霧が柏木の死を告げに行った時も(ここも原作とは違いますが)、ああそう、なんて感じで、なんの反応も希薄なのです。
それが薄情とか冷酷とかいう描き方ではなくて、殆どハクチ状態なのです。
だから、私としては、「女三宮は白痴のお姫様」というところから始まったのです。
さて、原文を読んでからの「女三宮」の印象は?というと、あとは明日ということで・・・

次ページへ/表紙へ