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7月4日(日) 「景色の女君と叙情の女君」

玉鬘のことを書いてから2週間以上経ってしまいました。
ま、忙しかったわけでして、それにしても、いろいろ悩みも出てきてしまったのです。
こう ごちゃごちゃと日常雑多のあれこれの中に書いているのも不自由になってきて、
どうせなら、一応通して書き終えた時にはそれなりに纏まった形にしたい、
などと不遜な考えが頭をもたげてきて・・・どうしようかな・・・

ところで、源氏物語の女君のクラス分け(位分け)について触れておきたいのです。
一般には(源氏が)見上げる女性として藤壷、六条、朝顔があり、
同格として紫の上、葵上、朧月夜、花散里、末摘花、女三の宮(本来なら↑)
それより下の受領階級(紫式部もここに属する)の女性で空蝉、明石上、夕顔、玉鬘
となるわけですが、
私は「景色の女君」と「叙情の女君」とに分けられると思うのです。
勿論「叙情の女君」の方が重要で源氏の人生に深くかかわり、その生殺与奪権さえ握っているという、
藤壷、紫の上、朧月夜、そして六条御息所と女三の宮。
後の女君は皆々「景色の女君」だと思うのです。
正妻にして夕霧の母である葵上にしても、源氏物語中のハイライト玉鬘にしても、然りです。

「景色の女君」達は美しく、印象的な場面をあたえられ、それなりの舞台をみせて退場していきます。
その場その場の働き所はあっても、源氏にどういう影響をあたえるわけではないのです。
ただ、ここで、花散里だけは、例外的に「景色の女君」のようでありながら、
その実、「叙情の女君」として、源氏物語の殆ど全編を通じて自己の旋律を奏で続けるのです。

というわけで花散里を書こうと思ったのですが、その前に「景色の女君」について
もう少し書きたいので、また明日。

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